北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナムII−23
さすがにギルガメッシュとアキレウスを同時に呼び出して戦うのは、唯斗の魔力だけでなくカルデアの電力も激しく消耗していることだろう。恐らく、カルデアの施設の半分で電力供給を絶ってこちらに回しているはず。きっと帰ったら極寒だ。
魔力を激しく消費する戦い方に、息が上がる唯斗。そこに、魔神柱から吹き飛ばされたエリザベートとブラヴァツキーが地面に叩き付けられた。
エジソンは急いで駆け寄って、ひどい状態の二人に悲痛な声を上げる。
「エリザベート嬢!ブラヴァツキー!このままでは…!」
一瞬だけそちらに目を遣ったその隙に、魔神柱が唯斗に迫り来る。すぐ視線を戻したが、ディルムッドが槍で攻撃を受け止める。
しかし今度は別の魔神柱が唯斗へと攻撃しようと伸びてきていた。その速さは俊敏で、力が拮抗しているディルムッドがそちらまで応戦できない。
すると、ロビンフッドが唯斗を抱き締めるようにしながら飛びかかってきて、そのまま魔神柱の攻撃を避けて地面に倒れ込む。そして、唯斗に覆い被さって庇いながら、右手を魔神柱に向けてボウガンを連続して放った。
草原に仰向けになった唯斗と、見上げた先で宝具を使用し続けるロビンフッド。ロビンフッドもかなり息を切らしており、誰もが限界に近かった。通信では、依然としてクー・フーリン・オルタが健在であることが窺える。
「ブラヴァツキー!君たちだけでも撤退するんだ!」
「撤退って…!」
「宝具暴走、
W・F・D!!」
そこへ、エジソンがそう雄叫びのように叫んで、両肩の電球が急速に眩く光り始めた。
しかも今、宝具「暴走」と言った。宝具を暴走させながら展開させるとなると、霊基にすら影響が出かねない。
「自爆する気!?」
ブラヴァツキーは驚いて止めようとするが、エジソンは「これしかない!」と固い意志を見せる。
ロビンフッドは唯斗の上から退きながら、「おいおっさんやめとけ!」と叫ぶ。ロビンフッドに起こされながら、唯斗も立ち上がってエジソンを止めようとしたが、先に李書文が声をかけた。
「その勇気は買うが、せいぜい一分保つか分からんぞ」
「それでも構わん!私には彼らを、ほんの少しでも長く守る責務がある!大統王だからでも、発明王だからでも、トーマス・アルバ・エジソンだからでもない!私は人間だからだ!遠い未来、この土地を収奪し、この国に住まうようになった人間として、その責務がある!」
悪い言い方をすれば、それは自己犠牲に酔っているだけなのかもしれない。アメリカという国の人には良くも悪くもそういうところがある。
しかしだからこそ、アメリカには、世界を変える人間が現れるのだ。大きな過ちを犯す国だからこそ、大いなる偉業を成そうとする者が現れる、そういう国なのだろう。
そう思った直後、突然、エジソンの両肩の電球に集まっていた光が消え、辺りには魔神柱の蠢く音以外の音が消える。一瞬の静けさに驚きが満ちる。
それを切り裂くように、高笑いが響き始めた。
「ははははは!!無様なり、無様なりエジソン!所詮は凡骨、この私の前に立ちはだかる資格などない!疾く、項垂れ消え去るがいい!」
「この声…無駄な高笑い……まさか、」
エジソンが愕然とする一方、聞き覚えのある声に唯斗は急いでそちらを振り向く。ギルガメッシュは呆れたようにしていた。
「そのまさか、だ!この真の天才、星を拓く使命を帯びたる我が名は…」
「素っ頓狂!ミスター・素っ頓狂かぁーーー!!!!」
「ニコラ・テスラである!!!!!」
どちらもやかましい。やかましいが、現れた男、ニコラ・テスラに全員再度驚いた。これまで大陸にいた様子はなかった、エジソンのライバルだ。
そして、第四特異点で唯斗が戦った相手である。
「貴様、私を助けに来たとでも言うのか!」
「戯れ言を!何度召喚されようと、貴様など助けるものか!!私が救うのはこの時代であり、そして…借りを作った彼らだ」