太陽王と元無気力少年−4
すると、オジマンディアスはさらに宝具を解放した。直後にその背後に現れたのは大きな燃え盛る太陽のような船。かろうじて、その形状がピラミッド付近で発掘された死者を乗せる箱舟に似ていることが分かる。
ライダークラスであるためあの船に乗るのかと思ったが、その船はこちらに光線を放ってきた。
「いや乗らないのかよ…!」
熱光線はアーラシュの矢をすべてかき消したあとギルガメッシュの結界に弾かれたが、その衝撃と熱は結界越しにも伝わってくる。結界内のアーラシュ、サンソン、唯斗、ギルガメッシュは、その暑さに顔をしかめた。
攻撃が止むのと同時に結界が消える。周囲はオジマンディアス自身の固有結界のため傷一つないが、あの熱量は一瞬で市街地の一区画を焼き払えるだろう。
「スケールがでかすぎる…エミヤ、攻撃開始」
あえてエミヤだけに攻撃させると、エミヤの弓から射出された剣はオジマンディアスに当たる前に掻き消える。
(アーサー、風王結界の解除を許可する。ディルムッド、ゲイ・ジャルグの方で攻撃)
唯斗が続けて指示すれば、アーサーはすぐにエクスカリバーを露出させオジマンディアスに切りかかる。しかし、その攻撃はオジマンディアスの鎧に弾かれて通らず、ディルムッドの紅の長槍もオジマンディアスに届かない。
「やっぱりか…!編成変更、エミヤはいったん離脱してこちらに戻れ。アキレウスは集中的に攻撃を開始、アーラシュはアキレウスのフォロー。ディルムッドはゲイ・ボウでの攻撃に特化!」
「ほう、もう気づいたか」
オジマンディアスは唯斗の指示を聞いてこちらの意図を理解したようだ。
サーヴァントとしてのオジマンディアスには、恐らく神性が付与されている。そのうえでこの固有結界の効果を考えたとき、神性がある攻撃しか通らない可能性があった。
エミヤの剣はもちろん、エクスカリバーやゲイ・ジャルグにも神性はないし、彼ら自身にもない。しかしアーラシュの矢は女神アールマティの加護を受けているためオジマンディアスは攻撃をかき消したし、神性のあるギルガメッシュの防御で防げたのだろう。
アーラシュは神性があるわけではないため、恐らく神性の有無というよりもやや定義は広く、神に関連する逸話があれば有効である可能性がある。
ディルムッドのゲイ・ジャルグはドルイドが用意したものだが、ゲイ・ボウは妖精王が生み出したものだ。そしてアキレウスはまさに神の血を引く。
「ギルガメッシュ、同じ古代王のよしみだ、ゲート開門を8まで許可する」
「フン、我は神話級だがヤツは所詮人間だ、格の違いを見せてやろう」
ギルガメッシュの背後に浮かぶゲートは8門まで開き、魔杖から連続して攻撃が浴びせられる。その隙を縫ってアキレウスが槍による攻撃を仕掛け、アーラシュの矢が雨のように降り注いだ。ディルムッドも黄色い槍での攻撃に切り替えて、アキレウスと競うように攻撃を繰り出していた。
そこにエミヤが戻ってきて、唯斗のそばに着地する。アーサーもいったん戻ってきている。
「エミヤ、宝具を展開して、この空間を上書きできるか」
「さすがに完全に乗っ取ることは難しいだろう」
エミヤの宝具も固有結界だ。衝突させて上書きできるかと思ったが、一筋縄ではいかない。
「…アーサー、エクスカリバーを解放してこの空間を壊せるか」
「確実に歪は起こせるだろう。エミヤ殿、その状態であれば上書きできるかい?」
「侵食して権能を制約することは確実にできるはずだ。完全に上書きするには至らないかもしれない。マスターの魔力が持たないだろう」
「出し惜しみはしない。令呪を使う。やれるか、エミヤ」
エミヤの精悍な顔を見上げると、少し驚いたようにしたあと、頷いた。
「君がそこまで言うのなら応じないわけにはいかないさ」
「よし。サンソン、アーサーとエミヤでこの固有結界を破壊したあと、すぐに攻撃に転じよう」
「はい」
「アーサー、エクスカリバー解放」
「了解」