神聖円卓領域キャメロットI−7
エジプト領を東へと100キロほど進むと決まったあと、ダ・ヴィンチはオジマンディアスからもらった木材によって、見事なバギーを作り上げ、それによって移動することになった。バギーは魔力で動くものであるらしく、エンジンを使用することで時代に対して不適合性を高めることを防いでいるとのことだが、スピンクス号と名付けられたそれを見て、天才とバカは紙一重とはまさにと思わざるを得なかった。
とはいえ、極めて楽になったのも確かで、唯斗は後部座席でダ・ヴィンチと、前方には立香とマシュが運転をする形で分乗した。ちなみに、後部座席といっても中央部は動力部と何やら羽のようなものが格納されているため、運転席とは距離がある。
晴れ渡った砂漠を東に進む道中、唯斗はこれまでの情報を整理しつつ、今のうちにダ・ヴィンチと情報を合わせておくことにした。こちらの会話は立香たちには聞こえていないだろう。
「ダ・ヴィンチ、あのルキウスと名乗ったサーヴァントの正体は分かってるんだよな」
「もちろん。サー・ベディヴィエール、円卓の騎士だろう。それにしても君もよく気づいたね」
「…俺、マシュの中にいる英霊を知ってる。アーサーに確認したから間違いない」
「まぁ、今までの会話や情報を繋げれば、分かる人には分かるだろうね。私も君が知っているであろうことは予想していたよ」
「アガートラムについては分からないけどな」
「それは私もだ。なぜ彼がレプリカらしきアガートラムを所有しているのか…こればかりは現段階では推測もできない」
マシュの中にいる英霊がギャラハッドであることを前提に考えればルキウスがベディヴィエールであることも分かる。アガートラムについてはダ・ヴィンチもお手上げだ。
「聖都にいる者たちの正体が円卓の騎士である可能性、あと、獅子王についてはどう思う」
「そうだね、マシュを見て聖都の騎士を連想したということは、少なくとも5世紀ごろのイングランドに関連する者だということになる。それはもう円卓の騎士と見ていいだろう、ベディヴィエールも召喚されていることだしね。しかし、エルサレムを破壊して新たな聖都を築く理由は正直分からない。それに、円卓の騎士がオジマンディアスと敵対するのも、山の民という人々を敵対するのもね」
「たとえば、円卓の騎士が全員オルタ化していて、その中の中心人物が獅子王を名乗っている、あるいはリチャード1世がサーヴァントとして召喚されオルタ化している…とか?」
「特異点Fにオルタ化したアーサー王がいたことを考えれば、ありえなくはないね。第四特異点でも、ランサークラスのこの世界のアーサー王…女性名でアルトリアといったか。アルトリアが複数の霊基で存在しているのは確かだ」
この世界の女性のアーサー王、もといアルトリアにしても、リチャード1世にしても、エルサレムを破壊して新たな都市を築くということは考えにくい。円卓の騎士が敵対勢力を多く作りながら組織化していることも謎だ。だとすると、全員オルタ化しているというのが、今のところ辻褄を合わせられる考え方になる。
「でも、ジャンヌもクー・フーリンも、オルタ化したのは聖杯にジルやメイヴが願ったからだ。第四特異点のランサー・アルトリアも、魔霧から生み出されたことで敵対した。そういう第三者がいるとすればそいつが特異点を生み出した元凶になりそうなもんだけど、でもここはソロモンによる特異点化の前に人理が崩壊したらしい。まったく目的も、聖都の勢力も理解できない」
「そこからは、実際に聖都に着いてからのお楽しみということさ」
「……そうだな」
現段階では、聖都の勢力についての考察はこれが限界だ。ここから先は、実際にこの目で確かめる必要がある。