神聖円卓領域キャメロットIII−3
ランスロットとその部下たちに対して、こちらはマシュとベディヴィエール、藤太、三蔵の4騎に加えて、立香はアーチャーのギルガメッシュを、唯斗はエミヤを召喚して挑んだ。
計6騎を相手にしているにも関わらず、ランスロットは倒れるそぶりを見せない。アーチャー・ギルガメッシュによる宝具の大量爆撃のような攻撃を受けてすら、その体に攻撃が通っている様子がなかった。
恐らく、防御力を高めるタイプのギフトがかけられているのだろう。
ガウェインには攻撃力が、ランスロットに防御力が上がるギフトということだ。そしてランスロットは、ギフトによる性質の変化をあまり受けていないようで、だからこそ獅子王は間違っていると認めた。
ならば、ガウェインはトリスタンのように性質が変わっていないにも関わらず、あの獅子王に従っているということなのだろうか。それは、元からこのような残虐な行為を許容する人間性を生前から持っていたということか。
あのガウェインがそんな人物だとはとても思いたくなく、唯斗はまずは目の前の戦闘に集中しようとガウェインのことをいったん忘れた。
しかし、一向にランスロットは倒れない。
「ええいどうなっておるのだあのイロモノ騎士は!」
しびれを切らしたギルガメッシュがキレ始めたところで、マシュも盾を構えて立香のそばに戻る。
「マスター!これでは埒が明きません、戦闘の継続は困難です!心の底から悔しいですが、ここは撤退を…!」
「そんなに悔しいの!?」
「…いえ、つい…私も、こんなに負けたくないと感じたのは初めてのことだったので…」
カルデアのランスロットにもあたりが強かったマシュだが、それは中にいる英霊がギャラハッドだからだろう。生前、あまり仲は良くなかったという。
唯斗もロンドンでギャラハッドであると理解するまでは謎に思っていた。今となっては極めて納得だ。
「諦めろ。ここでは助けてくれる山の民もいない。話は道すがらゆっくり…」
ランスロットも投降を呼びかける。先ほどから拘束するという立場を崩さずにいるあたり、やはりランスロットはこれまで出会った敵性の円卓の騎士と比べれば、カルデアにいるような元の姿に最も近しいように思える。
すると突然、砂漠全体に雷のように大きな声が轟いた。
「何をやっているのです、この不届き者!ここが太陽王ご執心の地と知っての狼藉ですか!」
上空を見上げると、なんと砂嵐越しにも分かる程巨大な影が立っていた。100メートルはくらだないような巨大な姿で、ニトクリスがこちらを見降ろしているのである。
「我が名はニトクリス!太陽王にこのアトラス院を任されたファラオなり!」
初めてニトクリスを見た三蔵は「如来様クラスよあれ!」と怯えており、敵の騎士も恐怖に震えているが、ランスロットは一喝する。
「バカ者!あれこそ魔術による幻影だ!本人はここにはいない!それより円陣を乱すな!」
「今のうちに!」
動揺する騎士たちの間に道を見出した立香は、瞬時にそちらへと指示する。アーチャー・ギルガメッシュとエミヤはカルデアに戻り、それ以外の全員は慌てて騎士たちの隙間から包囲を突破し、スフィンクスの群れに突っ込んだ。
「ありがとうニトクリス!」
「礼を言う暇があるなら逃げなさい!まったく世話の焼ける…!」
立香の礼は聞こえていたようで、ニトクリスはそう言いながらも、スフィンクスたちがこちらを攻撃してくることはなかった。
本当に、なんだかんだ心優しい人だ。
スフィンクスの群れによってランスロットたちはこちらを追いかけることはできない。その隙に遺跡へと走るが、その直後、マシュの姿が消えた。
続けて三蔵も消えて、すぐに立香や唯斗も足元が突然なくなって体が宙に浮く。重力がかかり、内臓が置いて行かれるような感覚。これは、落下している。
「う、わ…!」
すぐに落ちる先の地面を見ようとしたが、真っ暗で高さすら分からない。これでは強化によって着地することも難しいだろう。