神聖円卓領域キャメロットIII−8


ホームズと別れ、一同は地上に戻ってきた。
砂漠の眩い日差しは、地下に慣れた目には少しきついものがある。それでも、高い青空と広大な砂漠は閉塞感を拭ってくれた。

しかし、それだけではないことも、分かってはいたことだった。


「マスター!包囲されています、あれはサー・ランスロット…!」

「逃走劇はここまでだ。もはや逃げ道はない。おとなしく縄につけ」


やはりここでも、まだ殺すつもりはないらしい。それならば、ということで、再びベディヴィエールが前に出た。


「ランスロット卿、戦う前にひとつ尋ねます!卿は聖槍の正体を、獅子王の目的を知っていますか!」

「…なに?」

「聖槍とは最果ての塔!それが成ったとき、この大地はすべて消滅する!獅子王の行いは人の領域を超えている!」


ベディヴィエールの言葉を聞いたランスロットは表情を険しくした。

その直後、ベディヴィエールを思い切り剣で弾き飛ばした。咄嗟に受け止めたベディヴィエールだったが、大きく後ろに後退する。

ランスロットは、ベディヴィエールとこちらをゆっくりと見渡した。


「まさか、そこまで知っているとは。この者たちも同様というわけか。ますます逃がすわけにはいかん」

「あなた…!聖槍を知っていながら王に仕えるのですか!過ちを知った上で、なお!」

「くどい!我ら円卓に王への不忠はない!聖抜が終わり、相応しい人間が聖都を満たせば、最果ての塔の扉は開かれる、王は我らを召喚して真っ先にそう告げた!そして我々は同胞である十字軍を屠り、時代すべての人間を敵に回すことを決めたのだ!話はここまで、異論あらば首をかけて王の御前で語るがいい!」


どうやらランスロットは、いや円卓の騎士は全員、知っていて獅子王に仕えているらしい。召喚時に告げたということは、当然、ガウェインのような比較的まともそうな者も知っていて加担しているということだ。

話は終わりだとランスロットはベディヴィエールに再度切りかかるが、今度はそれをマシュが受け止めた。まさかマシュが円卓の二人に割って入るとは思わず、全員驚く。


「っ!?君は…いや、その盾、その気配は…!?」

「怒りました!完全に怒り心頭です!私の中にはもういませんが、きっと彼もそうだと思います!ですので代弁させていただきます!サー・ランスロット!いい加減にしてください!!」

「な、いい加減にしてください…だと?まさか、私は叱られているのか…!?」


ギャラハッドという真名を知った今、マシュは自身の中で本能のように、しかし己の感情とは分離した感覚を、きちんと自覚するようになった。

生前から仲は決して良くなかったギャラハッドとランスロットを考えれば、マシュの言動も頷ける。


「いいえ、憤慨しているのです!それでもアーサー王が最も敬愛した騎士ですか!王に間違いがあるならこれを糾す!それがあなたの騎士道であり、あなただけに託された使命だったはず!」

「待て、待つんだ、その親を親とも思わない口ぶり、片目を隠す前髪、君はもしや…!」

「もはや言葉は不要です!サー・ランスロット、改めてあなたに決闘を申し込みます!」

「ちょ、ちょっとマシュ!?」


さすがに立香も止めようとするが、マシュは引かない。むしろ、盾をより深く構えなおした。


「大丈夫です、マスター、私は決してこの人には負けません!なぜなら…」


その途端、マシュの礼装が輝き、腰からたなびく濃紫のマントと十字架のような剣が出現する。霊基そのものの格が向上する現象、再臨と呼ばれるものだ。


「私はマシュ・キリエライト、与えられた英霊の真名はギャラハッド。この体にかけて、今こそ円卓の不浄を絶ちましょう!」


297/460
prev next
back
表紙へ戻る