神聖円卓領域キャメロットIV−2


吹きすさぶ砂嵐の中、唯斗はランスロットとともにモードレッドの遊撃部隊を駆逐し、城壁の弓兵たちを減らしながら、聖都周辺を縦横無尽に走っていた。

西部ではスフィンクスたちが暴れまわり、東部では連合軍の民間人が城壁の弓兵と戦う。その間を、機動力の高い唯斗たちが回っているが、それでもやはりなかなか市内に入ることはできない。
このままではいたずらに戦力が削られる一方だ、と思っていたそのときだった。

突然、正門から轟音とともに爆発が起き、大量の瓦礫が市内に飛散していくのが見えた。正門が突破されたのだ。
突然のことにランスロットたちは止まり、唯斗もオーニソプターを停止する。助手席のギルガメッシュはなぜか疲弊していた。


『莫大な魔力放出を確認、これは三蔵の魔術だ!正門は突破され、連合軍が侵入を開始している。しかし、この魔力放出によって玄奘三蔵の霊基消滅を確認した』

『そんな…!三蔵さんが…!』


ロマニの報告で、どうやら三蔵が捨て身の攻撃で正門を破ったのだと分かった。
正門は悪意ある攻撃では決して破れない。きっと、三蔵は呆気なく散っていく人々の命を良しとしなかった。いかなる犠牲も認められなかった。
だから、彼女は宗教に関係なく、すべての人々に道を示したのだ。そのための攻撃であり、人々を導く力の前に、正門は崩壊した。


「立香、三蔵は俺たちを導いてくれた。すぐに王城へ向かうんだ。俺は一人でも多く市内に入れるように、もう少し数を減らす」

『了解、任せた!』


城壁の外にいる兵団が市街地に戻れば、突入した連合軍が市内の戦力と挟撃されてしまう。壁外の戦力を放逐しなければならない。


「ギルガメッシュ、ありがとう。こっからは本格的な城攻めだから、いったん戻ってくれ」

「いいか、二度と運転するな。二度とだ」


ギルガメッシュはそう言い残してカルデアに戻った。なぜだかさっぱり分からないまま、唯斗はアキレウスを呼び出した。
やはりどうしても魔力消費が激しいため、ギルガメッシュとアキレウスは同時に召喚できない。今回は特異点とカルデアの間の繋がりが、特異点そのものが人理から外れつつあるため非常に脆弱になっており、アメリカのときのように無理してでも同時に召喚するということは不可能だ。


「今回は出番が多くて嬉しいぜマスター」

「アキレウス、都市攻めだ。得意だって聞いたんだけど」

「実はめちゃくちゃ得意なんだなこれが」


聳える城壁を見たアキレウスは、唯斗の言葉にニヤリとする。まさにイリアスを彷彿とさせる都市攻陥戦だ。

トロイアを落とすときのように、アキレウスは戦車を呼び出すと、砂嵐の中を一気に飛び立っていった。すぐに悲鳴や爆音が砂嵐の中から響き始める。


「ディルムッド、」

「は、ここに」

「ちょっと助手席乗ってくれ。ドライブがてら敵戦力の掃討だ」

「なんと、我が主のお隣にお供できるとは!」


次いでディルムッドを呼び出すと、助手席に座ってもらい戦場を移動することにした。ディルムッドは目を輝かせて隣に座る。

そうしてランスロットとともにさらなる掃討戦を始めたが、走り出してすぐにディルムッドは青い顔になった。


「マスター!スピード違反です!マスター!これは!!」

「道交法ねぇだろこの時代!」

「く…ッ!しかしこのディルムッド、貴重な主との戦場ドライブ、不満などありましょうか!ってあーッ!危険ですマスター!ぶつかります!」


正直うるさいが、敵部隊に接敵するとすぐにこれをぶちのめしていくディルムッドはさすがだ。しかし、助手席に戻るときに、毎回意を決したような表情になるのが解せなかった。


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