神聖円卓領域キャメロットIV−4
『ロンゴミニアドの外装消滅!…同時に、エジプト領が消失した。オジマンディアスとニトクリスの霊基も確認できない』
「…別れは済ませられた。俺も王城に急行する」
『了解、ありがとう唯斗』
ロマニの報告通り、すでにオジマンディアスとニトクリスとともに、エジプト領は消えた。スフィンクスたちも消えているが、映画のようなとんでもない光景と、消滅したロンゴミニアドの光に、聖都軍の一般兵の戦意は喪失しつつあった。
いつの間にか砂嵐も止まっていて、度重なるエネルギーの放出によって雲がすべて消えた高い青空が広がっていた。
白亜の都からは黒煙がいくつも立ち上っており、王城はむき出しになっている。
「唯斗殿、ガウェイン卿は王城に戻ったようだ。すでに城壁周辺に目立った戦力はなし、我々も市内へ」
「…わかった。アキレウス、ディルムッド、戻ってくれ。ありがとう」
「お気をつけて」
ディルムッドはそう言ってカルデアに戻る。アキレウスも、空間内から反応が消えるのが感覚で分かる。
恐らく市内は車で走れるような状況ではないだろうことから、唯斗はようやくオーニソプターを降りた。
「唯斗殿、少々狭いが私の前へ。王城へ向かおう」
「あぁ、頼んだ」
唯斗はランスロットの馬に乗せてもらい、ランスロットの腕の中に囲われるような形になった。ランスロットは部下たちに城壁周辺の掃討を引き続き指示して、唯斗を乗せた単騎で市内へと入った。
掌の形に大きく崩れた正門を抜ければ、そこはあちこちから火の手が上がるキャメロットの都が広がる。
すでに立香たちはモードレッドを倒しているようで、彼らも王城へ向かっていた。さすがにランスロットの馬は早く、飛び去るように街並みが過ぎていった。
「それにしても、あなたはとてつもない英霊たちを従えているのだな」
すると、後ろからランスロットがそんなことを言ってきた。手綱を握って馬を走らせる精悍な顔をちらりと見上げると、視線に気づいたランスロットが小さく微笑む。
「東方の大英雄アーラシュ、トロイアの英雄アキレウス、ケルト神話の槍兵ディルムッド、古代ウルクの王ギルガメッシュ…オジマンディアス王も、もともと契約があったのだろう」
「従えてるんじゃない、力を貸してくれてるんだ。彼らが俺たちに託してくれたものを、俺たちが次に託せるように」
「あなたのサーヴァントになれるのなら、誰も文句はあるまい」
「アーサーも言ってたな」
「……今なんと?」
ランスロットは励ましてくれているのだろうが、唯斗がぽつりと漏らした言葉に当然、反応する。そういえばベディヴィエールにしか言っていなかった、と思っていると、ちょうど前方に立香たちが見えた。
「異世界のアーサー王もサーヴァントになってくれてるんだ。男だけど」
「え…な、それは、なんと…!」
動揺する様子をおかしく思いながらも、ランスロットの馬が立香たちに追いついたことで話は切り上げた。まだ、倒すべき相手は多くいるのだ。
「立香!」
「唯斗!良かった」
立香は朗らかに迎えてくれて、馬から降りる唯斗を支えてくれたが、ランスロットを見てマシュは「今更ノコノコお疲れ様です!」と声をかけた。
「とぅわ!」と情けない声で驚くランスロットだったが、情報共有と今後の方針の話となればきりりと表情を改める。
すでに城壁の聖都軍は潰走、連合軍による聖都侵攻は成功した。一方、立香たちもモードレッドを撃破した。
残る聖都軍の戦力は、ガウェイン、トリスタン、アグラヴェインだ。アグラヴェインはランスロットが単騎で討ち取りに行くことになり、ガウェインが追いつく前に王城へとカルデア側は進むことになる。