神聖円卓領域キャメロットIV−9


二画目の令呪を使用して、エミヤに固有結界を発動させた。ボロボロの回廊は荒野に代わり、無数の剣が地面に刺さる夕暮れの光景となる。


「フン、贋作者め…唯斗、結界による防御は意味をなさない。それは理解しているな」


この空間になった途端、エミヤは空中に無数の剣を浮かべ、まるでアーチャー・ギルガメッシュのように無数の剣をガウェインに向かって放ち始める。また、自身も地面に刺さる剣を引き抜いて近接戦を行った。

それを見ながらギルガメッシュに言われ、唯斗は頷く。


「だいぶ俺も魔力を持ってかれてる…じり貧じゃ負けだ、決着つけるなら、アキレウスの移動で避ける形のがいい」

「その通り。もはや守るより避けることに専念し、常に攻撃を続けるほかあるまい」

「分かった。ありがとう」


エミヤの結界にいるうちに、ギルガメッシュを戻してアキレウスに切り替えることにする。ギルガメッシュが消えたあと、「アキレウス、」と呼んだ途端、体に痛みが走る。


「いよいよか、ってマスター!?大丈夫か!」


アキレウスはそばに現れるなり唯斗を支えた。ふらついたのは魔力の欠乏によるものだ。

アメリカでも同じようなことがあったが、あのときの比ではない。

オジマンディアスに令呪を使ったときに、それ以上の魔力を持っていかれているため、その時点でかなり疲労があった。そこにギルガメッシュとアキレウスの長時間の召喚や、エミヤへの令呪の使用が重なったため、今こうして再びアキレウスを呼び出したことで、魔術回路に痛みが走ったのだ。

激しい剣戟と無数に降り注ぐ剣の雨の中、ガウェインはかなりダメージを負ってはいるようだったが、それでもやはり上手だった。
エミヤと鎬を削ったタイミングで、その膂力によってエミヤを吹き飛ばし、さらにその腹をガラティーンで貫いて炎を噴き出したのだ。


「ぐあああッ!!!」

「エミヤ!!」


突如として固有結界は崩壊し、元の回廊に戻る。差し込む陽光の中、エミヤはぐったりと大理石に血だまりを作り、その血とともに消失した。

これで、唯斗はアーラシュ、サンソン、オジマンディアス、エミヤを呼び出せなくなった。また、アキレウスとギルガメッシュは同時には呼び出せない。
ここは、ダメージを確実に蓄積させることに重きを置いた方がいいだろう。


「ディルムッド!」

「ここに。彼が相手ですね」


相性は不利だが、黄色の槍で受けた傷は治らない。なかなかダメージを与えられない相手であるからこそ、蓄積を重視するべきだ。


「アキレウスも近接戦、範囲攻撃を察知し次第俺を頼む」

「了解」


すぐに状況を理解して交戦を開始したディルムッドに加勢する形で、アキレウスも槍を携えて攻撃を始めた。
槍兵としてトップクラスである二人の攻撃を前に、さすがのガウェインも苦戦している。何度かディルムッドの攻撃が深く入って、治らないことにこちらの意図を察したのか、露骨にディルムッドから距離を取ろうとし始めた。

しかし、アキレウスの現界を維持するために、どんどん魔力が奪われていく。息を切らして、唯斗は視界がかすみそうになるのを強引に擦って誤魔化した。

なんとか視界を維持しつつ、二人がガウェインに攻撃を畳みかけているのを見つめる。次はどうするべきか。もうすぐでアキレウスの現界を維持するだけの魔力すら枯渇するだろう。それまでに決着をつけたいが、治らない傷こそ多くできているガウェインは、それでも倒れる気配がない。
ディルムッドやアキレウスも表情に焦りが見える。唯斗の魔力が心もとないことに気づいているのだ。

その次の瞬間、ガウェインがディルムッドの槍を思い切り弾き、それによってアキレウスの攻撃が止まった。その一瞬の隙に、ガウェインはアキレウスに対して強烈な一突きをお見舞いした。それこそ槍のようにガラティーンが突き出され、アキレウスの鎧が消失し、吹き飛ばされて唯斗のすぐ右横に叩きつけられる。大理石を砕いて倒れたアキレウスの頭からは血が流れていた。


「ッ、アキレウス!」

「ぐあっ!!」


さらに続けて、ディルムッドまでも唯斗の左横に吹っ飛んできた。蹴り飛ばされたのだ。アキレウスほどのダメージは受けていないようだが、内臓をやられたのか、血を吐きだしている。


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