神聖円卓領域キャメロットIV−17


「もし君たち二人ともが、打つ手をなくしてしまったのなら、僕が出よう。だから安心して戦うといい」


アーサーはそう言って、唯斗と立香の背後に立った。いつでも動けるようにしている。
これなら、マシュも全面的に戦闘に参加できるだろう。

こちらの戦力は、唯斗がベディヴィエールに指示を出し、立香はマシュとダ・ヴィンチ、カルデアから呼んだ沖田とネロを指揮する。


「マシュはセイバー二人を庇いながら前へ!ダ・ヴィンチちゃんはフォロー!」

「ベディヴィエールはネロ、沖田の二人から距離を取って隙を探って攻撃」


そして、立香と唯斗は同時にオーダーを出す。それが合図となって、戦闘が始まった。
一気に距離を詰めたネロと沖田に対して、すぐさまアルトリアは聖槍を振るう。聖槍は常にエネルギーが螺旋状に取り巻いており、一撃一撃が極めて重い。
それをマシュが盾で弾いて防ぎ、その間に俊敏な動きでネロと沖田は横から回り込んだ。

ネロの華やかな赤い裾がひらりと回って、ネロの剣が横からアルトリアに入りそうになったが、アルトリアも目にも止まらぬ速さで避ける。
だがその先には沖田が気配もなく迫っており、日本刀を水平に構えていた。


「無明三段突き!!」


その速さはもはや人の技ではなく、物理法則すら捻じ曲げるほどのものだった。後ろでアーサーすら「おお、」と感嘆の声を上げているほどだ。
さすがに避け切れず、アルトリアの甲冑に罅が入って顔をしかめる。すぐにアルトリアはロンゴミニアドを横に振るって、ネロと沖田の両方を牽制するが、今度はその背後頭上からベディヴィエールが左手で剣を構えて振り下ろしていた。

アルトリアは槍でそれを受け止めるが、恐ろしい膂力で知られるベディヴィエールは、そのまま右手のアガートラムで直接突きを行った。

その衝撃でアルトリアの胸部の甲冑に亀裂が走ったが、それでも大きなダメージとはなっていない。マシュはベディヴィエールにカウンターを行おうとするアルトリアの槍を盾で弾き、その勢いのまま回転しながら盾を今度は殴打する。

その衝撃をいなすためにアルトリアはそれを槍で受けながら勢いよく後退し、そのまま空中に飛び上がって、どこからともなく馬を出現させた。

甲冑と飾りのついた馬具を装着した白馬に空中で乗ったアルトリアは、真名を即座に解放する。


最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)


輝く光に包まれたアルトリアは、槍を前方に突き出した状態で馬をこちらに突進させた。まるで一角獣のようになった姿は、そのものが槍のようだった。

猛烈な速さとエネルギーを纏って接近するアルトリアから、避けることは難しい。


「これヤバいやつです!?」

「これが神霊化したブリテン王!やるではないか!」


沖田もネロもあまり焦っているように見えないが、避けられないことを悟ってすぐに防御態勢に入る。マシュも盾で第一波を防ごうと仁王立ちになった。

そして、ロンゴミニアドがマシュの盾に直撃すると、マシュは一瞬耐えるがすぐに吹き飛ばされる。


「ぐ、ぁあッ!!」

「マシュ!」


即座に立香は令呪を一画解放してマシュに送り回復させる。それくらいの傷を一撃で負っていた。

だがマシュが一次防御を行ったおかげで、沖田とネロは第二次攻撃となり、衝撃をある程度躱しつつあえて力を抜いて空中に飛ばされる方法を取ることができた。それでも、二人ともかなりのダメージを与えられている。

さらにアルトリアは止まらず、こちらに迫る。とてつもない速さで、避けたベディヴィエールや飛ばされたマシュはこちらの防御には間に合わないだろう。

唯斗と立香は息を飲むが、すぐに二人の目の前にアーサーが立ちはだかった。
その聖剣は、アルトリアの槍を受け止めると、眩い光を放つ。槍と剣がぶつかっただけなのに、それだけで爆風が吹いた。

よろめいた唯斗を、ベディヴィエールが後ろから支え、マシュも立香の元に到着して庇う。


「悪いが、この二人にまで攻撃するのなら私も出張ろう」

「おかしな星の元を歩んでいるな、お前()も」


アルトリアはふっと小さく笑うと、聖剣で攻撃を受け止めるアーサーから離れ、玉座の近くに降り立つ。


「沖田さんもう一回宝具解放!」

「了解です!」

「ネロはとにかく牽制してくれ!」

「うむ!」


すかさず、立香は沖田とネロに追撃を命じる。
マシュにもフォローを指示して、ダ・ヴィンチが牽制のために爆破術式を玉座周辺で次々と展開していく中で、その爆炎に紛れて三人が向かった。


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