神聖円卓領域キャメロットIV−18


「ギルガメッシュ!」

「…貴様、まだ我を呼び出せたか」


そこで、唯斗もギルガメッシュを呼び出した。また体に痛みが走ったが、やはり、先ほどアーサーに魔力供給してもらったおかげでなんとかなっている。
ギルガメッシュはアーサーを見てそのあたりのことを察したのか、ニヤリとしてからアルトリアを見遣る。


「あれが聖槍の化身と化した獅子王か。人の身には過ぎた業を背負う騎士といい、哀れなものよ」

「それが私の罪ということです」


ベディヴィエールはギルガメッシュにそう返す。ギルガメッシュはつまらなさそうに「フン」と鼻を鳴らしてから、アルトリアに視線を戻した。


「ならば、その手で終わらせよ。貴様一人の悔恨で人理を揺るがすなど不敬。我が直接手を貸してやること、光栄に思うがいい」

「もちろんです、シュメール王。人類最古にして最大の王よ」

「…ギルガメッシュ、ゲートは3門まで、鎖による拘束後に開門して相手の動きを読みやすくしてくれ。ベディヴィエールはさっきと同じように隙を突く形に集中」

「了解です」


ギルガメッシュは無言で鎖をアルトリアの足元から出現させていく。だがアルトリアは次々とそれを避けていき、同時に切りかかってくる沖田とネロを迎撃、吹き飛ばす。二人ともかなりボロボロだ。マシュが防いでいなければもっと深刻なダメージになっていただろう。

そして、鎖がついにアルトリアの足を捉え、アルトリアの動きが止まる。同時に、ダ・ヴィンチが目くらましの爆発を起こし、ネロと沖田がその煙から攻撃を仕掛ける。
一方、ギルガメッシュはゲートを3門、アルトリアの頭上に開いて魔杖によるスタン攻撃を行った。

アルトリアは、まず魔杖を、続いて迫るネロと沖田とマシュと打ち払おうと、頭上と自分の右側に意識を向ける。
その一瞬の隙で十分だった。


「これで、すべて終わりです」

「なに…ッ!?」


がら空きとなった左側から、ベディヴィエールが肉薄していた。すでに沖田とネロは迫っており、攻撃が間近となっている。そのためアルトリアは気づかなかったし、このタイミングでアガートラムを解放するとも思わなかっただろう。確実に他のサーヴァントを巻き込む位置だからだ。


今は遥か理想の城(ロード・キャメロット)!!」


しかしそこでマシュが宝具を解放したため、白亜の城がネロ、沖田を守るように聳え立ち、同時にアルトリアの動きを封じる。
足を鎖に固定され、頭上に魔杖が迫り、右側はマシュの宝具が覆う。動くことも逃げることもできず、アルトリアは追い詰められていた。


「っ!やめろ、それを使うな!それを使えば貴卿は…!」

「あなたに礼を。あの暗い時代を、あなた一人に背負わせた。あの華やかな円卓を、あなた一人知らなかった。勇ましき騎士の王。ブリテンを救ったお方。あなたこそ、我らにとって輝ける星。我が王、我が主よ、今こそ…いえ、今度こそ、この剣をお返しします」


唯斗は、すぐ隣に立つアーサーの腕を思わず掴んでいた。あまりに長い旅が終わろうとしている。王が生きることを願った不忠を晴らそうと1500年を耐えてきた、円卓の騎士最大の忠義の騎士が、今、その右腕を輝かせる。


剣を摂れ、銀色の腕(スイッチオン・アガートラム)…!」


その眩い聖剣の輝きは、聖槍の光をも打ち消し、そこに込められていた膨大な魔力を放出させる。暴風が吹き、唯斗は慌ててアーサーの反対側の隣に立っている立香の腕を掴む。
アーサーに支えられ、立香を支えながら、光と爆風の向こうに、微笑んだベディヴィエールの最後の姿を見た。

直後、その光と風は急速に消えて、マシュのキャメロットも消失し、そして、ベディヴィエールの姿もなくなっていた。


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