終局特異点: 冠位時間神殿ソロモン−10


やってきた第七の拠点、序列43位の悪魔サブナックの管轄である場所だ。
サブナックは高層建築や市街地を生み出し、傷を癒やして使い魔をもたらす力も持つとされる。

そして人類最古の高層建築にして、その建造で人類が意思の疎通をできないよう無数の言語を持つことになったものこそがバベルの塔、バビロンにあったとされる塔である。

となればここにいるのも彼らで間違いないだろう。

早速、魔神柱たちを消滅させると同時に援護射撃で殺されそうになっていたイシュタルが見えた。そのイシュタルを魔神柱もろとも殺そうとしていたのがエルキドゥだ。
あれはキングゥではなく、本物のエルキドゥである。


「イシュタル!来てくれたんだね!」

「特別にね!感謝しなさいよ、立香!」


イシュタルは快活に笑うと、マアンナに乗って魔神柱への攻撃を再開する。エルキドゥはこちらを見て少しだけ困ったようにする。彼とは直接関わりがあったわけではないからだ。

さらに、驚くことに、ゴルゴーンとアナまで現れた。


「アナ…!!」

「アナさん、ゴルゴーンさんまで…!?」


立香もマシュも二人の姿に驚く。まさかゴルゴーンが現れるとは思わなかったし、アナも別の霊基として現界できるとは。
アナは鎌を持って微笑む。


「藤丸さん、ですね。私も、そのゴルゴーンも、あなたの知る英霊ではありませんが…私たちの核になる魂が、あなたへの感謝を覚えています。怪物に覚えられても迷惑かもしれませんが…」

「…そんなことないよ。嬉しい」


立香はまっすぐアナとゴルゴーンの目を笑った。ゴルゴーンは照れを誤魔化すように咳払いをする。


「…私はどちらでも良かったのだ。だが、そこの女がとにかく喧しくてな」

「もちろんデース!このままだとゴルゴーン、一生ぼっちデース!」

「ケツァル・コアトル!!」

「私もいるニャー!ククルんが立香に会いたい会いたいってうるさくて、特別に私が手をグボァ!!?」

「はは、ジャガーマンまで…」


どうやらケツァル・コアトルが立香に会いたいあまりゴルゴーンとともにやってきたらしく、それを手引きしたのがジャガーマンだという。
つい最近まで一緒にいた女神たちのはずだが、懐かしく感じてしまう。

さらに、感情を隠し切れていないツンとした声も現れる。


「わ、私は別に、一時でも私の冥界に落ちた英霊をこうして運んできてあげただけなんだから」

「エレシュキガル!」


立香は嬉しそうな表情を全面に浮かべると、エレシュキガルに駆け寄った。クールぶろうとしていたらしいエレシュキガルは、顔を赤くしてあたふたしている。
アナたちにしてもケツァル・コアトルにしてもイシュタルにしても、立香は第七特異点で随分と女神たちに気に入られていた。


「罪な男だな…」

「君がそれを言うのかい?マスター」

「え、」


しみじみと言うと、アーサーがそんなことを言ってきた。英霊たちと立香、唯斗が再会を喜ぶのを見守っていたアーサーだったが、振り返ると不服そうにしている。


「各特異点で色々引っかけてきただろう」

「な、そんなこと、」

「サンソン、ヘクトール、ニコラ・テスラ、ロビンフッド、オジマンディアス王にアーラシュ…第七特異点ではギルガメッシュ王やマーリンまで」

「だ、第二特異点はなんもなかったし…」

「そりゃ第二特異点では僕が君に強く惹かれることになったわけだからね」

「うぐ…」


言い返せずにいると、救いの神とはほど遠いはずのイシュタルがこちらに向かって叫ぶ。


「ちょっと!いつまで油売ってんのよ!」


立香はエレシュキガルが甦らせた牛若丸、弁慶、レオニダスたちとも再会を喜んでおり、イシュタルがしびれを切らした形だ。

そういえばギルガメッシュはいないのだな、と思ったが、これだけの神霊と強者が揃っているのだ、十分だろう。
牛若丸が目にも留まらぬ速さで魔神柱を文字通り微塵切りにすると、開けた道に向かって4人で走り出す。

玉座は目前に迫っていた。


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