終局特異点: 冠位時間神殿ソロモン−13
相手はキャスター、一応クラス相性を考慮して、唯斗はアキレウスを、立香はアストルフォを召喚した。
相変わらずカルデアとのパスは脆弱なままで、一度に呼び出せる数が限られている上に、同じ空間に重複召喚ができないこともあって、今魔神柱たちと戦っている者たちを召喚することもできないだろう。
「うっはぁ〜、あれが魔術王かぁ!きっも!」
アストルフォは相変わらず飄々としており、アキレウスもニヤリとする。
「いよいよだなァ、マスター!」
「あぁ、これが最後の戦いだ。任せたぞ、アキレウス」
唯斗はアキレウスに空中からの攻撃を指示し、アーサーには近距離攻撃を行わせる。アストルフォもアキレウス同様にヒポグリフで飛び回って攻撃を行い、マシュが盾で打撃を食らわせる。
玉座に堂々と立つ魔術王に、まずアーサーの剣が迫る。しかし魔術王は微動だにせずにアーサーの攻撃を結界で跳ね返した。あのアーサーの剣を無造作に防いだのだ。
さらに、アキレウスが飛び退いたアーサーに代わって戦車で突撃し槍を突き出すが、それすらも結界によってはじき返し、さらに空中から突如として爆風を噴き出した。
白い草原を駆ける暴風に、唯斗は立香とともに結界で防いだが、魔術王に迫っていたマシュ、アーサー、アストルフォももろともに全員を吹き飛ばした。
4人とも草原に着地すると、その表情に険しい色を浮かべつつ、再び飛び出す。
アーサーは風王結界を外したエクスカリバーで再び斬り掛かり、今度は跳ね飛ばされないように足を踏ん張って結界に剣を突き立てる。
それによって、結界に亀裂が入り、魔力が火花となって散った。さすがに魔術王の眉間に皺が寄る。
そこにさらにアキレウスとアストルフォが迫り、先に到達したアキレウスの槍が結界の亀裂に突き刺さると、結界がはじけ飛んだ。
直後、ヒポグリフはほぼ瞬間移動のような速さで消失し、魔術王の背後に出現、アストルフォがヒポグリフごと魔術王を吹き飛ばした。
さらに、バランスを崩した魔術王をアーサーが切りつけ、アキレウスが槍で脇腹を突き刺す。
血が飛び散ったが、しかし魔術王はにやりと笑った。効いている様子はない。
それを見てすぐにアーサーたちは距離を取って唯斗たちのすぐそばに着地した。
「…ハッ、やっぱありゃ、格がちげぇな」
アキレウスが不敵に笑うが、その額には冷や汗が浮かんでいる。こちらで見ている以上の緊張感の中にいたのだろう。
魔術王は醜悪な笑みを浮かべながらこちらを見る。
「…なるほど、さすがにここまで来ただけある。この私に血を吐かせたこと、その健闘を称え、我が真体拝謁の栄誉を与えよう!」
そう言うと、魔術王は黒い光に包まれる。さらに、魔神柱が柱をへし折り、白い草原の地面を砕き覆っていく。
「顕現せよ。祝福せよ。ここに災害の獣、人類悪のひとつを成さん。私は何者か、という問いに答えよう。魔術王の分身であり、機構であり、お前たち魔術師の基盤として作り出された最初の使い魔。ソロモンと共に国を統べるも、ソロモンの死をもって置いて行かれた原初の呪い。ソロモンの遺体を巣とし、その内部で受肉を果たした召喚式」
急速に魔力が集積していき、空間に占める体積が増大する。肌を撫でる殺気と、空気をビリビリと震わせるエネルギー。
アーサーはエクスカリバーを構えて腰を低く落とす。
「すなわち、人理焼却式…魔神王、ゲーティアである」
ゴエティアの英語名を名乗った魔術王、もといゲーティア。鹿のような獣めいた頭に聳える禍々しい角、胸元にぎょろりとこちらを睥睨する巨大な眼球。
ビーストIが、ここに現界したのだ。