藍色の愛−5


「食堂を担当できる者が外から補充されるまで、食堂を預かった身として責任をもって残る必要があるからな」

「おや、それではマスターのためではないようだね。まぁ、マスターの食生活が外に戻っても悪化しないように習慣づける、という意図だろうけれど。さてマスター、僕はギリギリまであなたのために残ります。ナイチンゲールとともに医務室を預かるという責務もありますから」

「私は戦闘以外ではお役に立てないかもしれませんが、特異点がまた発生する可能性もあります。100%安全が証明されるまではあなたを守ります」


第三特異点までの間にやってきたエミヤ、サンソン、ディルムッドは本当に長いこと一緒にいてくれた。特にエミヤとサンソンはそれぞれ役割があることもあるが、3人とも、唯斗のために残ってくれている。


「我がいつまでも貴様らに力を貸してやる道理はないが、不完全な仕事を残すような半端なことはしない。カルデアの経営維持のために必要な残務くらいは片していってやる」

「それ知ってるぞ、ツンデレってヤツだろ。俺は特異点の俺と違って最後までマスターといられるのが有利な点だからな、最後まで供するぜ」

「俺ァせっかくならいろんなサーヴァントと打ち合いしていきてェしな。何より、俺はマスターと1年も一緒にいられてねぇから不公平だろ」


ギルガメッシュはカルデアの運営に関わっていたが、それを引き続きやってくれるらしい。アーラシュがそれをツンデレ呼ばわりして口元をひくつかせていた。マーリンも何かを言おうとして、言う前に天の鎖で殴られていた。
アーラシュは第六特異点のアーラシュと違って、ずっと一緒にいられるということを利点だと言ってくれている。
アキレウスはここ1年の間に来たサーヴァントだが、活躍頻度は極めて高かった。よく頼ってしまったが、アキレウスはそれでもなお、他のサーヴァントより一緒にいられていないことを不公平だと感じているらしい。


「余が通常の召喚に応じるなどまずあり得ぬことだ。この僥倖、あっという間に終わるというのも王として狭量というもの」

「私ももう少し、あなたとお話がしてみたいと思っています。よければこのガウェイン、もう少しそばに置いていただきたい」

「私に至っては来たばかりだからねぇ。終局特異点の際にはカルデアの防衛と維持に専念していたとはいえ、それしか活躍がないというのも味気ないだろう?せっかく来たからにはもう少し楽しませてもらうよ、マイロード」


比較的来たばかりのオジマンディアスは、彼にしてはかなり優しい言葉で一緒にいると言ってくれた。シミュレーターに引きこもっているわりに、ラムセス2世ファンである唯斗のために残ってくれるそうだ。
ガウェインは直接的に一緒にいたいと言ってくれた。だがガウェインは、自分が唯斗にとって、普段言えないようなことを気軽に言える相手として重要な立ち位置にいると理解しているため、残ってくれたのだろう。
そして最後にやってきたマーリンは、もっと楽しみたいということだ。恐らくそれは完全に事実だろう。とはいえ、ウルクでマーリンは、この旅の終わりに晴れ渡る青空があることを祈ってくれて、その通りになった形だ。

いずれにせよ、こうして全員が残ってくれるというだけで、唯斗は心がずっと楽になるのを感じた。
どんな別れをするべきだろう、ということを考えるには、終局特異点の戦いは動揺が大きかった。

これから世界がどうなるか、カルデアがどうなるか分からないからこそ、様々な形で支えようとしてくれる彼らが一緒にいてくれるのなら、大丈夫だと思える。


「…あなたたちと出会えて、戦えて良かった。召喚に応じてくれて、本当にありがとう。もう少し、よろしくな」


この青空を取り戻すために戦ってくれた彼らに、この時代の空を見せられて良かった。
そして、空の青さの尊さを知る今だからこそ、唯斗は、これから続く新しい1秒1秒を彼らと少しでも過ごせることが嬉しかった。


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