永続狂気帝国セプテムII−4
荊軻が宮殿内の経路を調べている間、周辺での掃討にあたった。ロムルスは一度宮殿の中に戻ったため、唯斗とアーサーは立香たちと離れて市内での敵兵の駆逐を行った。
敵兵はまるで洗脳でもされているかのようにこちらに向かってきて、市民までもが戦ってきた。
戦いづらいを思いをしながらも、やがて荊軻がやってきて宮殿への突入を告げた。
荊軻について宮殿の入り口へと向かうと、フォルム・ロマヌムを模した広場でスパルタクスたちが暴れているのが見えた。バーサーカーたちが戻ってきてくれたらしい。
立香たちと合流して宮殿に入り、玉座へと廊下を走る。途中の敵を倒しながら進むのは、オルレアンでジャンヌ・オルタに向かっていったときを彷彿とさせた。
今は隣にアーサーが走ってくれる。やはり、一緒にいてくれるサーヴァントがいるというのはまったく違うものだ。
やがて、廊下の果て、最奥にたどり着いた。
そこに君臨するのは、とてつもない威圧感を放つ神祖・ロムルス。
「…来たか」
「うむ、余は来たぞ!誉れ高くも建国成し遂げた王、神祖ロムルスよ!」
「…よい輝きだ。ならば、今一度呼びかける必要はあるか、皇帝よ」
「いいや、必要はない。今、そなたが口にした通りに、過去も現在も未来であっても、余こそがローマ帝国第5代皇帝に他ならぬ!故にこそ神祖ロムルスよ!余は、余の剣たる強者たちでそなたに相対する!」
「許すぞ、ネロ・クラウディウス。
私の愛、お前の愛で見事蹂躙してみせよ。そして見るがよい。我が槍…
私がここにあることを!」
巨大な槍を構えたロムルスは、ネロに次いでアーサーを睥睨した。アーサーは珍しく不敵に笑い、剣を構える。その表情には強い警戒が滲んでいた。
「…サンソン、エミヤ」
「はい、マスター」
「次は神祖ロムルスとは、また大物ばかりだな」
呼びかけに出てきたサンソンとエミヤは、ロムルスを見てすぐに剣を構える。警戒を滲ませる二人には、ロムルスの背後から現れたライオンを示す。キメラだろう。
「サンソン、エミヤは周りのザコ相手だ。相手は強敵だが単騎、あまり多くの数で挑むとその方が危険だ。アーサー、ネロと一緒にロムルス相手」
「了解しました」
「承知した」
「マスター、宝具が解放される。警戒して」
サンソンとエミヤはすぐに、広大な玉座の間に散ってキメラと戦い始めた。
立香はマシュ、ネロ、荊軻に加えて、クラス相性の良いセイバーであるランスロットを召喚した。
その直後、ロムルスは槍をかざして宝具を解放する。
「
すべては我が槍に通ず」
すると、大理石の床が砕けるのと同時に、下から大量の太い木々が生えてきた。轟音とともに木々が床や壁、柱を破壊して突き上げてきて、唯斗はアーサーに抱えられて逃れる。
立香はランスロットに抱えられ、マシュ、荊軻、ネロはそれぞれ避けていたが、それでも変則的な動きをする木々に突き飛ばされ床や壁に叩き付けられる。
なんとかアーサーとランスロットは壁に剣を突き刺して着地する。偶然近くになったため、ランスロットはアーサーを見て一礼する。
「異世界の我が王、ともに剣を構えられること、光栄に存じます」
「よろしく頼むよ、こちらの世界のランスロット卿。ネロ帝とともに神祖を相手取ろう。藤丸君、マシュ殿とともになるべく攻撃を食らわないよう気をつけて。マスターは自衛優先、サンソン殿やエミヤ殿を場合によっては下がらせるんだ」
「…分かった」
アーサーがここまで指揮することは珍しい。それだけ、強敵を相手に警戒を強めている。
ロムルスが宝具解放を止めると、木々は消えて破壊されたホールだけが残る。砕けた大理石の床に着地するアーサーから降りて、立香、マシュとともに後方に下がる。
アーサーとランスロット、ネロはロムルスに同時に斬り掛かった。
「…なんつー太刀筋……」
呆然と唯斗は3人の剣を見つめる。もともと見えないアーサーの剣は別として、3人とも、その剣筋はまったく目に追えない。立香とマシュも、3人に圧倒されていた。ネロがサーヴァントになったら確実にセイバーだ。
ロムルスはそれでも単騎で3人を相手取って戦い続けたが、さすがにこの3人相手というのは厳しかったらしい。
大量の出血をしながらも巨大な槍を振るい続け、度々3人を吹き飛ばしたが、ついに限界を迎えた。