永続狂気帝国セプテムII−7
立香はランスロットをカルデアに戻し、他のサーヴァントを呼ぼうとしたが、呻いてよろめく。魔力が厳しいようだ。
ランスロットが消えたため、現在、決め手になるのはアーサーだけだ。他のサーヴァントでは決定打に欠ける。
(アーサー、宝具を展開しよう)
(出力はどうする?)
(フルでやったら特異点ごと崩壊しかねない。令呪を使うから、代わりに鞘に収めたままで頼む)
(妥当だね)
アーサーとの内心でのやりとりを終えると、唯斗はサンソンを下がらせた。そして、立香のところに向かう。マシュの盾の後ろで、マシュにも聞こえるように言った。
「アーサーの宝具を使う、衝撃波をキャスターとマシュで防いでくれ。あと、他のサーヴァントとネロを下がらせるんだ」
「分かった」
立香は頷くと、立香もテレパシーでサーヴァントに呼びかける。すぐに、清姫とキャスターが戻ってきた。察して、荊軻がネロを連れてこちらに下がる。
一斉に下がったサーヴァントの代わりに、アーサーが一人、レフと対峙する。
まだ見えないままの剣を構えて立つアーサーに、レフは無数の瞳で睥睨する。
「アーサー!吹っ飛ばせ!!」
右手を掲げて、魔力を籠めてアーサーに叫んだ。同時に右手の甲に熱が走り、令呪が一角消えていく。
そしてアーサーの見えない剣が突如として輝き、アーサーは剣を正面に構える。
アーサーの聖剣には、風王結界とアヴァロン、二つの封印が施されている。風王結界は姿を見えなくするもので、アヴァロンは円卓の決議によって、世界を救うためのここぞというときにしか使われないという封印だ。それらをすべてつけたまま、聖剣を宝具として振るう。
令呪によってバランスを取ることで、レフだけを攻撃し周囲への被害をなるべく抑える。
「これは、世界を救う戦いである」
凜としたアーサーの声が響く。さらに剣が放つ輝きは増して、瓦礫に覆われたホールを照らす。レフも動揺しているようだった。
「キャスター、マシュ!」
立香が指示すると、二人はすぐに全員を守るために、マシュは宝具を展開し、キャスターはルーンの結界を展開する。
「
約束された勝利の剣!!!」
その真名を解放し、アーサーが剣を振りかざした。瞬間、光の輝きは猛烈な光線となってレフを飲み込んだ。同時に、背面のホールの壁と天井を吹き飛ばし、轟音とともに地面が揺れて瓦礫が降り注ぐ。マシュとキャスターによってなんとか防がれているが、宝具の80%以上の力が封じられているにも関わらずこの様相だ。
そして光が止んだあと、パラパラと降り注ぐ小さな瓦礫の合間に、アーサーは剣を下ろした。
ホールに別の光が降り注ぐのは、宮殿が崩壊して外の太陽光が入ってきているからだ。
レフは人の姿に戻っており、その背後には、薙ぎ倒されるように崩れ落ちた建物の瓦礫が延々と続き、煙が上がっていた。
「ば、かな…たかが英霊ごときに…我らの柱が退けられるというのか…?いや、計算違いだ、そうだ、そうだろうとも。なにしろ神殿から離れて久しいのだ、少しばかり壊死が始まっていたのさ…」
震える声でなんとか立つレフは、そう自分に言い聞かせる。
唯斗はアーサーの後ろまで進み、立香とマシュも前に出る。レフを追い詰めるように囲むと、レフはこちらに顔を上げる。
「しかし、私も未来焼却の一端を任された男だ万が一の事態を想定しなかった訳でもない」
「まだ、何か…?」
警戒するマシュに、ロマニの声が通信から響く。
『気をつけて!聖杯の活性化を感知した!また何かが起きるぞ!』
「…古代ローマそのものを生け贄として、私は、最強の大英雄の召喚に成功している。喜ぶがいい、皇帝ネロ・クラウディウス。これこそ、真にローマの終焉に相応しい存在だ」
「ローマは世界だ。そして、決して世界は終焉などせぬ!」
「誇りも、方向を誤れば愚直の極みでしかないか。ならば、その目で見るがいい。貴様たちの世界の終焉を!さあ人類の底を抜いてやろう!七つの定礎、その一つを完全に破壊してやろう!我らが王の、尊き御言葉のままに!来たれ、破壊の大英雄アルテラよ!!」