自由の風に吹かれて−6
翌日、唯斗たちは早速、街中の温泉を巡ることにした。
まずはメジャーなところから行こうということで、カラカラ・スパという地元のリゾート会社が経営する施設、カラカラ・テルメとフリードリヒスバードにやってくる。ちなみに、完全に混浴である。
とはいえ、多くは裕福そうな大人たちばかりであり、若者の姿はほとんどない。サウナ以外は水着かバスローブで過ごすこともあって、あまり混浴というのが気になる場所ではなかった。
それにしても、と、サウナで男3人になってバスタオルを腰に巻いただけの姿になりながら、唯斗はマンドリカルドと立香を見遣る。
二人とも体つきがしっかりとしていて、特にマンドリカルドは引き締まった筋肉質な体を惜しげもなく晒していた。もちろん、ルームシェアする中で上裸くらいなら見たことはあったが、互いにタオル1枚で、ということは初めてだ。
個室に入って3人で木製の長椅子に座る。蒸し暑いサウナの中には心地よい自然の香りが満ちていて、保養地の高級な施設だけあってとても気分はいい。一方で、すぐ隣に座るマンドリカルドの腕の太さやしっかりとした腰、胸板を流れる汗にドキリとする。
男相手になにを、と思う唯斗だったが、あまり見ているわけにもいかず視線を逸らす。危うく、タオルに隠された下半身の方まで見ようとしていた。さすがにそれは友人であってもまずい。
「めっちゃいろんな種類あるね、温水プールもあるみたいだし」
「そうっすね。隣のフリードリヒスバードはもっとすげぇんすよね」
「そうみたい。なんか箱根のスパリゾート思い出すなぁ」
立香とマンドリカルドは気にせずいつも通り話している。唯斗が一人で気にしすぎている。少し深めに息を吸えば、途端に熱気が喉を焼くように降りていき、目が覚める。
せっかく保養地に来たのだ、唯斗もどうせなら楽しもうと切り替える。
「このあとプールで泳いでから、マッサージも受けるんだっけか?」
「オフェリアたちはマッサージまでやる気まんまんだったね。試験で肩凝ったし、俺も楽しみ」
「女子二人は10分くらいでサウナ出るって言ってましたけど、俺らもそんくらいにしとくっすか」
「そうだな、俺あんま長居できねぇかも」
唯斗はサウナで長くとどまることができるタイプではないため、早々に女子たちと合流する形でいいと思っている。
二人も同意したため、しばらく駄弁ってからサウナを出る。
そのまま軽くシャワーを浴びてから療養用の味気ない水着に着替えると、女子たちと合流して屋内の温水プールに向かった。
それなりの人で賑わっている屋内プールは、ガラス張りの壁が円柱状に囲む巨大な円形のプールで、中央に噴水のように水が出ている。温水のため、温かい湿気が籠っていた。
「夜は青くライトアップされるのですよね」
「ええ、とてもムードあるナイトプールになるわ」
豪華な様子にマシュがテンションを上げていて、オフェリアも微笑みながら頷いた。愛らしい女子二人が金持ちの男の下品な視線を受けないように、立香が会話に加わりながら周囲をけん制している。
唯斗とマンドリカルドもなるべく女子たちから離れないつもりだが、一方で広々として金持ちばかりのこのプールであれば、そうしたことはあまり心配なさそうだ。
プールサイドからプールに入ると、ぬるい湯舟のような程よい温度の温水に浸かる。浮き上がる体を浮力に任せて泳げば、サウナからこうして全身水に包まれるのがとても心地よく感じられた。
あまりはしゃいで騒ぐ場所でもない、5人は落ち着いて楽しみながら、プールの中央へと向かった。