長編番外編−マスターゲーム2
「なんかゲームにならなさそうだし、やっぱ俺抜けるわ」
「な〜に言ってんです?あんたがいるから面白いんでしょうが」
ロビンはしかし、唯斗が逃げることを許さず唯斗をぐっと椅子に押しつけるように肩を抱いた。本気で嫌がっていればロビンが助けてくれただろうが、なんだかんだ、楽しげにしている彼らに水を差したくない気持ちの方を優先してしまっていることがバレている。
仕方なく腰を下ろし、手元のジュース(エミヤにワインは1杯までと厳命されている)を呑んだ。
「マスターだ〜れだ!」
すでに何度かゲームは回ったらしく、だんだんと平穏なものから、「悪口を言う」「相手の好きなところを目を見て言う」などいよいよ合コンめいたものになってきた。
というか、そういうノリになるようメイヴや黒髭が誘導している。
「はーい!あたしがマスター!!」
そして今回のマスター役は清少納言だ。わくわくとした顔をしており、何やら嫌な予感がする。
「じゃあ、15番が恋バナ!!」
すっと自分のくじを見て、唯斗は自分の運命を呪った。しっかり15番と書かれているのをロビンが見つけ、ロビンが唯斗の腕を高々と掲げる。
「ここにいますよ」
「おっ!!あたしちゃんこれ完璧なのでは!?」
女性陣は途端に黄色い声を上げるが、一方で男性陣は一斉に「可哀想に…」という表情になった。男女の差である。
唯斗は端っこの席だったことも災いして、全員の視線を浴びてしまう。
「恋バナって…何話せばいいんだ…」
「じゃあ質問式にしよ!唯斗っちに質問ある人!!」
一斉に女性陣の手が上がり、清少納言が仕切り始める。
「じゃあまずは〜、鈴鹿パイセン!」
指名された鈴鹿御前は、ニヤリとして唯斗に質問を問いかける。
「騎士王の一番好きなとこは?」
「ヒュ〜!!」
清少納言ははやし立てるが、もう本当に地獄である。ロビンの憐憫の眼差しが痛い。ランサーとキャスターはニヤニヤとしているし、円卓たちは微笑ましそうにしている。やかましい。
「一番、とか考えたことねぇけど…」
こういうのは考える時間が長い方が地獄が長引くため、唯斗はパッと思いついたものを答えることにした。
「…あの騎士王なのに、隣にいよう、って言ってくれるところ、と、か……」
「かわい〜!!」
「やだ〜!!」
三蔵や鈴鹿御前、清少納言の喜ぶ声と同時に、唯斗は顔を伏せた。いっそ殺してくれと思っているし、そう思っていることを男性陣は全員察していた。さすがの英雄王ですら憐れんでいた。
「じゃあ次あたしね!」
しかし、メイヴが名乗り出たことで、哀れみから緊張感に切り替わる。特にケルト組は、どんなえぐい質問が来るかと身構えた。
「サイズは?」
「…は?」
「だから、アーサー王のペンドラゴンはどんくらいドラゴンなのかって聞いてんの」
「はいアウト!!」
キャスターが制止し、デオンがマリーの耳を塞ぎ、なぜか三蔵は顔を赤くして目元を隠しているが指が大きく開いて全部見えている。
さすがに円卓も事務所NGを出すべく立ち上がる。
「女王メイヴよ!さすがにそれは股かn…沽券に関わります!!」
「ドラゴンなのは…言うまでもないでしょう……素晴らしい聖剣があるビオン……」
「その通りですクイーン、わざわざ聞くのも無粋なほどの聖剣に決まっています」
ガウェイン、トリスタン、ランスロットは後で制裁が必要だ。
一方、メイヴも負けてはいない。
「見たことあるの?ないでしょ?想像で主君の主君を語るなんて不敬ではなくて?」
「それは…!」
「なぜ論破されているのですが卿らよ…」
ベディヴィエールはもう遠い目でツッコミを入れる。ケルトとブリテンのひどい応酬に、信長はゲラゲラと笑って椅子から落ちそうになっていた。
キャスターは早々に諦めるとこちらを向く。
「おい唯斗!もうとっとと答えてやれ!そんで次行くぞ!これ以上女どもに質問させたらこっちが共感性羞恥で死ぬ!!」
キャスターのOKが出たことで、メイヴは「答えろ」という圧をかけてくる。仕方なく、唯斗は出来る範囲で答えることにした。
「…、もうちょい姿勢変えたら、多分、入っちゃいけないとこまで入ってきそうな感じするくらい、って感じかな、ぶっちゃけどれくらいっていうの、分かるほど冷静じゃねぇし…」
今度は男性陣が押し黙り、女性陣は「おお〜」と謎の拍手をした。メイヴは満足そうにする。
「まぁブリテン王にはそんくらいじゃないとね。あとあんたたち、トイレ行くなら自分の部屋のにしてよね」
「お前は恥らいっつーもんをだな!!」
キャスターはメイヴを叱るが、若干顔が赤いのは酒だろうか。