brise de printemps−22
唇を割り開いて入ってきたシャルルの生暖かい舌に、唯斗の舌が絡め取られる。どうすればいいのか分からず、反射で同じように返したが、それで良かったようで、舌先をじゅっと吸われる。
「んん、」
つい声が出てしまうと、シャルルはそっと口を離して微笑む。
「そうそう、その調子。息は鼻からするんだ」
「わ、わかった」
「じゃあ、もっかいな。舌出して」
シャルルに言われるがまま、少しだけ舌を出すと、再びそれを吸われながらシャルルの唇と重なる。静かな部屋に、唾液混じりの水音が響き、急に「そういうこと」をしているのだと実感させられてしまった。
顔が火照るような感覚とともに、咥内をまさぐられる感触で熱が下腹部にも集中する。縋るようにシャルルの肩に手を添えると、シャルルは顔を離した。
「ちゃんとついてこれて偉いな」
「…ん、」
「よし、じゃあちゃんとベッド乗せるぞ」
座っている状態で上半身だけベッドに倒されていたため、シャルルは一度、唯斗の体をひょいっと抱えてシーツの上にまっすぐ横たえて、唯斗の体の右側からやはり覆い被さるようにして唯斗を抱き込む。
「緊張するかい?」
「あ、当たり前だろ、はじめてなんだから」
「…無自覚で煽るんだもんなー……」
シャルルは困ったように笑いつつ、その瞳にやや獰猛な影をちらつかせた。一瞬だけ紅に光った気がする。
「シャルル…?」
「だぁいじょうぶ、優しくするさ。シャツ、脱がせるぞ」
自分に言い聞かせるように言ってから、シャルルは唯斗のシャツの裾に手をかける。体を浮かせると、応じて唯斗のシャツを脱がせる。
上半身の肌が晒されたところで、シャルルも同じように、霊衣の上半分を消失させた。
見た目よりずっと逞しい体が服の下から現れて、部屋の照明に照らされる。二人の肌が照明の光を反射して、少し恥ずかしくなってきた。
「…、シャルル…明かり、眩しい」
「ん?じゃあ読書灯にするか」
シャルルはベッドヘッドのボタンを押して部屋の明かりを落とし、読書灯だけを灯す。淡い光によって、シャルルの肉体の凹凸がより陰影となって際立っていた。
思わずその腹筋の影をなぞると、シャルルはおかしそうに笑う。
「カッコ良い?」
「うん」
「唯斗にそう言ってもらえるなら嬉しいなあ。じゃ、俺も触らせてもらうぜ」
満足そうに笑ってから、シャルルは唯斗の上に跨がり、体重をかけないようにしながら体を寄せる。
そして、唯斗の首筋にひとつキスを落とした。白い髪の束が見えているつむじがだんだん下がっていき、シャルルの唇は、唯斗の胸板を滑っていく。
「っ、ふ、」
「声、我慢しちゃ駄目だぞ」
そう言いつけてから、シャルルはついに、左側の乳首を口に含んだ。途端に唯斗の体はびくりと震え、今までに経験したことがない類いの感覚が脳と下腹部を揺らす。
「ッ、く、ぅ、」
「こら、声」
軽くたしなめると、シャルルは注意するように、乳首の先にごく軽く歯を立てる。
「んっ、ぁっ、」
「かわいい」
鋭い刺激がずくりと腹を揺らし、耐えきれず声が漏れる。シャルルは浮かされたようにそう呟いて、反対側の胸の先も舌で舐め上げた。
「ぅ、あっ、んんっ、」
まさかそんなところで感じると思わず、唯斗は動揺する。初めての感覚の連続に、シャルルの肩甲骨あたりにそっと手を添えると、シャルルは安心させるように唯斗の右手をぎゅっと握り込んだ。
指と指が重なって織り込まれるように握られ、シーツに縫い止められる。
「敏感でいいな。すげーエロい」
「っ、変じゃ、ない?」
「全然。めっちゃ興奮する」
シャルルは短く答えると、おもむろに自身の下半身を唯斗の太ももに押しつけてきた。ごり、と固いモノが当たる。
「っ、」
「ちゃんとした甲冑つけてたら激痛だったぜ」
「ばか」
「今のかわいい。ずっとかわいいけど」
しょうもない会話にいくらか気恥ずかしさがマシになる。唯斗のものも張り詰めているのが自分で分かっていて、ジャージとはいえそろそろ窮屈だ。
しかし、下も脱いでしまえばいよいよ後戻りはできなくなる気がした。もちろん、きっとシャルルは途中でもやめてくれるだろう。だが、唯斗自身、この先を知りたいと思った。
シャルルから与えられるものを、シャルルの表情を、見たいと思ったのだ。