brise de printemps 3−6


ホテルに着いたのは16時近く、まだまだ外は明るい時間だった。買い物に出るのももう少し後でいいだろう。
車を降りてホテルに入り、宿泊している部屋に向かう。

もやもやとしたものは車に乗っている間からずっとあったが、部屋に入って扉が閉じたところで、ついに唯斗はそれを吐き出した。


「…あのさ」

「うん?」

「……本当は、あの二人が言ってたこと、間違ってないと思ってるんだ。だって、シャルルは俺といるより、ああいう人たちと楽しく騒いで過ごす方が性に合ってるんだろうし。でも、俺が言ったことも、俺の本心で、シャルルもそうだってことも理解はしてるんだけど…」


本当に良かったのか、勝手に断って良かったのか、そもそもシャルルだって唯斗とは違う人と楽しく過ごしたいという気持ちがあるのではないか、そんなことが首をもたげて心の中に居座っている。
二人の覚悟は疑いようがないものだ。シャルルの愛もまったくぶれていない。それでも、自分といても楽しくないだろう、という気持ちはなくならなかった。


「…こればかりは、仕方ねぇよなぁ。唯斗が自分に自信を持てないのは、これまでの唯斗の人生を考えれば当然のことだ。少しずつ、この南米の旅で変わってきてくれてるけどさ」

「シャルル…」

「俺はすっげー楽しいよ。唯斗と一緒にいるの。そりゃ、馬鹿なやつとバカ騒ぎすんのも楽しいさ。そういうのも好きだし、勇士たちとのノリってぶっちゃけそういう感じだったしな。でも俺は、楽しいヤツと一生を添い遂げたいんじゃない。愛しいヤツと、一緒にいたいんだ」


そんな唯斗の不安をシャルルは否定せず理解してくれた。そのうえで、分かりやすく、この上なく明瞭な言葉で応えてくれた。


「楽しいかじゃなくて、愛しいか…」

「そういうこと。でもさっきも言ったけど、唯斗と一緒にいるのも楽しいぜ!やっぱいろんなこと知ってるし、話してて新鮮なことばっかだ。何より、唯斗が話してくれる世界や歴史は、目に映る光景をもっと特別なものにしてくれた。唯斗がいなきゃ、アレキパの白さもミスティ山の形も、俺には何も特別じゃなかったはずだ」


シャルルは正面から唯斗の腰を抱き、至近距離で青い瞳を和らげながら、そう話す。唯斗が自分の心の動きに自分で動揺していても、明快な言葉でもって、その愛を確かなものにしてくれるのだ。
不安は一転して、好きだ、愛しいという感情に切り替わる。それが溢れそうになって、唯斗はつい、シャルルの肩に顔を埋めた。ぐりぐりと顔を押し付け、背中に手を回す。


「シャルル……」

「んー?」

「…その、」

「うん」


言い淀む唯斗に、シャルルは優しく促す。恥ずかしさよりも、感情の発露を優先したかった。


「…すき、好きだ。その…したい、んだけど」


かなり小さい声になってしまった自覚はあったが、シャルルの耳元だったため、聞き取っているだろう。シャルルは一瞬動きを止めてから、息を深く吸い、そして唯斗を抱き締める力を強くする。


「…破壊力やべー、勃った」

「えっ」


ごり、と太ももに押し当てられたシャルルのものはもう臨戦態勢だ。まったく色気も何もなかったであろう唯斗の蚊の鳴くような誘いの言葉でこうなったらしい。


「俺も好き、愛してる。可愛い、世界一カッコ良い俺の愛。抱かせて?」

「っ、ん…」


シャルルも唯斗の耳元で囁くように応じて、唯斗は必死に頷く。するとシャルルは、勢いよく唯斗の体を抱え上げると、そのままベッドに押し倒した。
あっという間に寝室の天井がシャルルで遮られる形になり、唯斗は焦る。


「ちょ、待て、まだシャワーしてな…」

「だーめ。待てない」


甘く、しかしいたずらっぽく言ったシャルルは、手際よく唯斗のリネンシャツを脱がせるとシャツをたくし上げる。
晒された胸元に口を寄せ、乳首を舐めあげた。


「んっ、シャル、る…っ」


シャルルの手が唯斗の股の間をまさぐり、チノパン越しに緩く扱かれる。上下の快感に震えてシャルルの背中に手を回すと、シャルルは胸元から顔を離してキスを落とした。

唇を割り開いて入ってくるシャルルの舌を受け入れていると、いつの間にかチノパンと下着が脱がされており、直接自身に触れられて体がおののく。



prev next
back
表紙に戻る