brise de printemps 3−8
「ぁッ!っぅ、あ”ッ!は、まっ、て、」
「待たねぇ」
短くすげなく答えたシャルルは、さらに抽送を激しくしてくる。果てたばかりなのに相次いで快感が強制的に与えられ、思わず制止しようとしてしまったが、シャルルが止まる気配はない。
さらに、シャルルは腰の動きを止めずに、唯斗の胸板に顔を寄せると、乳首の先に歯を立てた。鋭い快感が脳天を突き上げ、目がチカチカとする。
「ひっ、ぁ…ッ!!」
「はは、ちょっとイっちゃったなあ?かわいい」
依然として低い声のまま、恍惚としたように耳元で言われ、唯斗はどうすることもできず、少し達してしまったことで腹筋から垂れる自身の白濁を感じた。
「唯斗、かわいい、すきだ、愛してる、俺の愛、あんたは、ぜんぶ、俺のモンだ」
腰を打ち付ける動きに合わせて、掠れた声でシャルルがそう途切れ途切れに述べた。唯斗も必死に背中に腕を回して抱き着きつつ頷く。
「お、れも、っあ、んッ!す、きだ、おれの、そばに、いて、ぁッ、!」
「あぁ、ずっとそばにいるさ、永遠に、死ぬまで、ぜってえ、離さねえ」
そして再び、シャルルは唯斗の中で果てる。その吐精の熱に、唯斗も数瞬遅れて3度目の絶頂を迎えた。
頭がくらくらするような酩酊は魔力の飽和によるものであるのと同時に、あまりの気持ちよさに飛びそうになっているためでもあるのだろう。
「…ッ、!は、はッ、大丈夫か、唯斗」
「……ん、だいじょーぶ…」
「大丈夫じゃなさそうだなぁ」
さすがにシャルルも衝動を落ち着かせたのか、先ほどよりも冷静に、唯斗の頭を撫でて至近距離で見下ろす。その手にすり寄ると、シャルルは苦笑して、自身を抜いてから唯斗を抱き締める。
「んん…っ、」
「魔力余り過ぎて感じやすくなってる?かわいいな」
「…そればっかじゃん……」
「そりゃ、あんな可愛いこと言われちゃあな。可愛すぎてイっちゃったの、さすがにカッコ悪いかと思ったけど、なんかもう、ありゃ仕方ねーな」
確かに先ほど、唯斗は自分の中で蟠っていた感情をついすべて吐き出してしまった気がする。すっきりしているのは行為のおかげだけではない。
シャルルがすべて受け止めてくれたおかげで、唯斗はどこか、ためらっていた距離を簡単に超えられるような気がしていた。
唯斗はシャルルの胸板に顔をすり寄せて自分からもう一度抱き着く。少しシャルルは驚いたようにした。
「そんな嫉妬した?」
「いや、あのビッチより俺の方が普通に優良物件だろ」
「やっと気づいたか…ってそうじゃなくて」
冗談めいた言い方をすれば、シャルルはさも当然というように返した。そういうことではなかったのはこちらのセリフである。
「…ここまで全部さらけ出して、それでもシャルルは、そんな俺でいいって言ってくれた。くそ恥ずいけど、可愛いとまで言ってくれた。なら、もう、どういうくっつき方しても問題ないだろって」
「お、ハードルなくなった感じか?」
「…ん、たぶん。酒なくても、もうちょい、その、距離詰められると思う、っていうか…」
「あの女の子たちファインプレーだな!これだけは感謝しなきゃだ。いつでも甘やかしてやるからな〜」
後頭部を撫でられ、自然と腕枕させられた態勢でもあるため、唯斗はシャルルの首筋に鼻を寄せる。
「デロンデロンのドロンドロン、だっけ?」
「そうそう!」
思い出して互いに小さく笑う。
いつぞやの夜、まだ自分から甘えるなんてできなかった唯斗にシャルルが言ってくれたことだ。あれからそんな日にちは経過していないはずなのに、やはり一日の濃さが違うからだろう、なんだか随分と成長したような面持ちだ。
アメリカに着く頃には、二人はどうなっているのだろう。この先のことを楽しみに思えるようになったのはこの旅が始まってからだが、それは日に日に増していくような気がした。