Dom/Subシリーズ−騎士王の激情4


コマンドには抗えず、欲求が口をついて出てくる。ストレートな言葉に自分で言って恥ずかしくなるが、アーサーは気にせず、持ってきていた袋から柔らかそうなロープを取り出した。
それを使って唯斗の腕を背中の後ろで縛り、自由を効かなくされる。

このまま全身を拘束されるのはさすがにまだ少し怖かったが、アーサーはそれ以上のことはせず、後ろ手に拘束するにとどめた。だがこれだけでも、手が使えず、自分でバランスを取るのも難しくなり、一気に不自由になってしまう。

アーサーが立ち上がり、まだ床に膝をついたままの唯斗の体を支えながら、そっと立たせた。
被虐欲求の解消のためなら、ここでは自分で立たせることもあり得たが、恐らくアーサー自身の介助欲求の発露が始まっているのだろう。こうして「やってあげる」こと一つ一つが解消につながる。

さらにそのまま、アーサーは唯斗の礼装のボタンを外して前を開き、下着越しに胸板を撫でる。そして乳首をぎゅっと指で挟んだ。


「んぁッ、っ、」

「可愛い声が出たね。『隠してはいけない』よ」

「ッ、あっ、んっ!」


突然の快感に口を閉じてしまったが、アーサーのコマンドによって声を出させられる。嬌声を我慢させてもらえず、両方の胸の先を指で弄られ、手が使えず抵抗することもできない。

成すすべなくアーサーにいいようにされている。それを理解しただけで、じんと脳内に痺れるような甘い快感の信号が広がった。

さらに、アーサーは下着をたくし上げると、晒された肌に舌を這わせた。身長差があって屈む必要があるにも関わらず、アーサーは唯斗の上体を舌でなぞり、乳首に至ると口に含む。
生温かい感覚と、舌で敏感なところを舐め回される経験のない快感に、唯斗はついのけぞる。しかし、アーサーはロープを引っ張って唯斗の体を逃がさず、逃げた罰とでも言うように乳首に軽く歯を立てた。

鋭い刺激は脳天まで届き、唯斗の体は震える。


「ッあ!ひッ、んっ!」


アーサーが顔を離した隙に、唯斗は押し寄せる快感の波から逃げるように、アーサーの肩に顔を埋める。この状態では、アーサーは体に刺激を与えることはできない、そう思ったが、それは間違いだった。

アーサーは膝を唯斗の股間に挟み込むと、唯斗の自身をスラックス越しに押した。強く刺激され、ずくりと下腹部に熱が溜まる。
さらに、顔をアーサーの口元に近づけている状態だったのが良くなかった。


「イきそう?」

「ぁッ、ぅあっ、!んッ、」


その美麗な声が耳から直接脳を揺さぶり、直接的な自身への刺激が襲い掛かる。唯斗の様子にそろそろ限界だと悟ったのか、アーサーは耳元で囁くように最後のコマンドを出した。


「『イけ』」

「〜〜〜ッ!!」


その言葉で、唯斗は果ててしまった。下着の中で達したため、白濁が下着を濡らし、急速に気持ち悪さが出てくる。

アーサーは唯斗の頭を撫でて、自分に寄りかからせた。


「お疲れ様。汚れてしまったね、最後にシャワーを手伝ってもいいかい?」

「…ん……」


普段出さない声の出し方をしたこともあり、若干酸欠だ。
アーサーは唯斗を縛るロープをほどき、唯斗を抱え上げてシャワーブースに向かう。これも介助欲求だろう。唯斗の被虐欲求は今のプレイで概ね解消されたため、最後にアーサーの介助欲求を解消する。

騎士王にそこまでさせるのは忍びなかったが、アーサーはてきぱきと唯斗をシャワーで清め、下着を軽く洗って洗濯に回し、寝巻に着替えさせる。
濡れた霊衣はもう変わっており、最後に唯斗をベッドに運び、ケアが始まった。

これですべてのプレイが終了となるため、Dom性によるSub性のケアが行われるのだ。

Sub性は特性解放後、一時的に精神が不安定になるため、それを安定化させるためにDom性が行う行為をケアと呼ぶ。ケアが不足すると、Sub性はSubドロップと呼ばれる重篤な迷走反射のような状態になってしまう。

ベッドの上で、腕枕状態になってアーサーに抱え込まれる。第二特異点でも、宮殿の寝室でこうしてもらったことを思い出す。


「がんばったね。初めてだったんだろう?」

「ちゃんとしたのは、初めてだった…」


少し思考がぼやける。プレイ直後に介助欲求の発露が始まったため、それが実質ケアに近く、唯斗の状態は安定していた。Dom性で介助欲求を持つ者が人気になるのも頷ける。

支配されることに喜びを感じていた状態から、それが終了したことにより、本来は唯斗の反射反応は寂寥感によるものとなるはずだったが、アーサーの介助によってほとんど感じていない。

恐らく今は、被支配性酩酊、いわゆるSubスペースと呼ばれる状態に近い。そう激しいプレイではなかったため、強いものではないが、一時的にDom性にすべてを委ねて心身ともに完全に無防備となる状態を指す。

アーサーは唯斗の頭を撫で、唯斗はアーサーの胸元に顔をすり寄せる。

相性がいいというのは本当だったんだな、と内心でぼんやりと思った。



prev next
back
表紙に戻る