Dom/Subシリーズ−獅子心王の狂気9


相変わらずすごい体だ、と思ってリチャードの腹筋をなぞると、リチャードは微笑んでから手元に小瓶を出現させた。

唯斗の召喚術の刻印とは違う、これは第三魔法のそれだ。すなわち、聖杯による具象化である。本物の聖杯なら、現実空間でも無から有を生み出すことができるが、今回の小規模な聖杯では限りがあり、この位相が異なる魔術的な空間に限ってのみ可能だ。現実ではないため、正確には第三魔法とは少し違う。

その小瓶からは案の定ローションが出てきて、リチャードはそれを唯斗の後ろに塗り付ける。指が中につぷりと入ってくるが、いつもよりも柔らかい。当然だ、特異点で男たちに犯されてからそう時間が経過していないし、中の傷はすでに治癒してある。

だがそれでも、リチャードはきちんと後ろをほぐしてくれた。ろくに慣らさず突っ込んできた男たちとは当然まったく違う。


「別に、そんなんいいのに」


思わずそう言うと、リチャードはキスを一つ落とす。唇が触れ合うだけのそれはすぐに離れたが、至近距離でリチャードはその甘くも精悍な顔で微笑む。


「そうかもしれないが、それは俺が君を大事にしない理由にはならないぞ。おとなしく俺に大切にされているんだな!」

「…なんだそれ」


表現がおかしくて少し笑ってしまうが、同時に、宝物のように大事に扱われていることを実感する。それが嬉しくて、リチャードの背中に手を回した。リチャードも応じて、器用に後ろをほぐす指はそのままに、唯斗の首の裏に腕を回して抱き締めた。


「…リチャード、はやく欲しい」

「…、困ったな。唯斗のおねだりには弱いんだ。一国を明け渡してしまいそうだ」

「12世紀のイングランド王みたいなこと言うのな」

「12世紀のイングランド王だからな」


そんな軽口で笑い合うと、リチャードは体を起こして指を引き抜く。そして、ローションを纏わせた自身を唯斗の後ろに宛がった。
その怒張は太く長く、あの男たちとは比べ物にならない。

それをぐっと押し込まれ、一気に中に入ってくる。肉を割り開く衝撃が、快感に変換されて脊髄を駆け抜ける。


「ッ!は、はっ、」

「痛くないか?」

「だい、じょうぶ…」


根本まですでに押し込まれたそれが中を圧迫し、隙間がないほどだ。すっかりリチャードの形に変えられてしまった唯斗の中は、それが埋まっているだけで断続的に快感を拾っていた。
さらに、唯斗を見下ろすリチャードの瞳が、まるで獣のようにギラギラとしており、逞しい胸板に垂れる結われた髪の束の金よりも輝いているように見えた。

そして、リチャードが「動くぞ」と言った直後、少し引き抜いてから奥を穿つように腰を打ち付けてきた。


「あッ、!」

「は、はッ、唯斗っ…!」


腰をわしづかみにされ、1ミリでも奥に届かせようとするかのように抽送が繰り返される。中の感じるところを正確に押しつぶされ、それに押し出されるように、唯斗の自身の先からも先走りが出てくる。
ベッドはカルデアのものよりも大きくギシギシと音を立て、石造りの中世建築の部屋の中でリチャードにこうして抱かれている光景は、本当にイングランド王リチャード1世に体を暴かれているのだということを強く意識させた。

それに興奮して後ろを締め付けてしまうと、リチャードは快感に眉を寄せて、さらに腰を深く動かす。


「いつもより感じてるか?」

「わ、かんね、あっ、んッ!」

「じゃ、もっと分からなくなっていいぞ。『考えるな』」


ともすれば酷薄な笑みにも見えそうな、本気の興奮で獣染みた笑みを浮かべたリチャードのコマンドによって、急に思考がぼやける。
冷静に周囲を観察することはもちろん、男たちに暴行されたことも、藤丸やダ・ヴィンチたちのことも、カルデアの使命に戻らねばという意識すらも、急速に遠のいていった。

それを助長するように、リチャードは唯斗をシーツの上で搔き抱き、唯斗はその厚い肩に顔を押し付け、背中に手を回して深く抱き着いた。


「あ”ッ、ぅあっ!んッ、っぁ!」


中を突き上げる強すぎる快感以外、何も考えられない。リチャードから与えられるその快楽だけが頭を支配し、耳元に響くリチャードの吐息だけが聞こえる。

いつの間にか達していたようだったが、それすらも混濁する意識の中では分からない。
数分後か、何十分も経ったあとか、あるいは何度かリチャードも中に出したあとだったのかも分からないが、リチャードが唯斗の中で果てると、ようやく動きが止まった。

二人の荒い呼吸が無骨な石積みに消えていく。



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