いざ遊園地


日曜日。
山間の盆地に広がる巨大なテーマパーク、ネズミーハイランドへやって来た。
真堂、トバリ、そして弟と妹たち総勢7人である。特に下3人はテンションがうなぎのぼりで、様々な音が満ちる非日常の空間におおはしゃぎだった。大人びた上の2人もワクワクとしているのが分かって、トバリとしてはそうやって喜んでいるのが伝わって嬉しくなった。

ただ、トバリ、そして真堂の今日の使命は、この5人を無理させずに行きたいところへ最大限連れて行くことだ。迷子にさせない、怪我をさせない、体調を崩させないという3つのことを心がけるつもりである。
快晴の青空は、午前中から少し太陽の厳しさを感じさせるもので、午後はもっと気温が上がるのであろうことは容易に想像できる。


「最初どうする」

「ジェットコースター!」

「お化け屋敷!」

「メリーゴーランド!」

「見事にバラバラじゃねぇか」


トバリが下3人にとりあえず聞いてみると、口々にまったく違うところを叫んだ。声小さくしていいぞ、と思いつつ、バラバラさに呆れた。


「うーん、こういうのは並ぶジェットコースターから行くのが定石だけど…」


真堂はこの中で唯一遊園地経験があるため、どうするべきか考えてくれるものの、末の女子2人を見る。


「ジェットコースターはサラちゃんと美紀ちゃんは乗れないからなぁ」

「えっ、サラ乗れないの!?」


小2の次女サラはジェットコースターに乗れないという事実に愕然とする。身長制限というものがあるのだ。三男の月人でぎりぎりである。


「あっちのジェットコースター乗ろうな」


トバリは子供用の親と乗るジェットコースターを示す。あれもなかなか迫力がある。サラは渋々頷いていた。どうやら大人用のジェットコースターの迫力がすごすぎて気圧されている部分はあったらしい。


「先輩、並ぶだけ並ぶんで、順番来たら月人以上の3人と乗ってもらえますか。俺はサラと美紀と待ってます」


問題はどう行動するかなので、トバリはとりあえず全員で並んで、順番が来たら待機に回るという方法を提案した。それに対し、真堂はニヤリとする。


「いや、俺は乗ったことあるし、トバリは乗りなよ。経験しとくといいよ」

「えっ、いや、別に、」

「あ、お兄ちゃん怖いんでしょ」


そんな真堂の言葉に否定を返すと、ユイが今度はにやけて言った。完全にバカにしている。夏夜は呆れていた。


「別に怖いとかじゃねぇけど…」

「じゃあ乗っておいで」


真堂とユイがタッグを組むと勝てない。トバリの勝てない2人が組んでいるのだから当然だ。仕方なく、トバリは並んで月人たちと一緒に乗ることになった。

列に並ぶと、すでに1時間待ちくらいになっていた。真堂が気を利かせて飲み物やポップコーンを買っておいてくれていたおかげで、なんとか耐えられそうだ。
久しぶりに兄弟全員が、こうして一緒に長い時間を共にするので、いろいろと話をするだけでも時間が持つ。早々に美紀が疲れたので抱き上げようとすると、真堂が先に抱き上げた。

そこでトバリは気づく。トバリは真堂と2人で、5人の弟たちを引率する心づもりでいるが、真堂にとってはトバリも気遣う対象なのだ。そんな必要はないと言いたいところだが、夏夜たちがいる手前そんなことは言えない。
どうしてもトバリは長男で一番上だから、自分だけが誰かに気を遣うのが当たり前だったが、年上の真堂からすればトバリも年下。こうして自分もそういう対象になっているという状況になるのが慣れず、その優しさにくすぐったくなった。


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