chapter. 12−2


9月5日。
各地で戦闘が終わってから3日が経過した本日、晴れ渡る残暑の中、華のメティスに11人の王が集まっていた。

情報通のメティス市民は、すでにロタリンギアが完全に優勢な状態で一連の戦闘が終わったと知っており、戦勝国となったことで沸いていた。
そのうえ、史上最大規模の国際会議が行われるともなれば、やってくる旅団による特需景気と歴史に名を刻む高揚でお祭り騒ぎだ。

すでに、市内に宿泊している旅団の高官たちが市民にもてなされ、連日のように舞踏会や宴会が開催されており、夜遅くまで人々の声が響く。
そんな中、すべての王が揃ったことで、宮殿内は打って変わって厳粛な空気になっていた。当然だ、ここからは戦争の第二ラウンドと言ってもいい。

本来、元の世界の歴史では、この規模の国際会議は三十年戦争の講和であるウェストファリア講和会議を待つ上に、この会議もミュンスターとオスナブリュックの2か所で行われている。
全国の王が集まって、ということになると、ナポレオン戦争後のウィーン会議が近いものとなり、これは19世紀の出来事だ。

数百年も前の段階でこのレベルの会議をやることになってしまったこの世界は、当然、こんなことは初めてであり、誰もが緊張している。
メティス宮殿の侍従長や総支配人は緊張のあまり何度か嘔吐した。

宮殿は離宮を動員しても王たちの宿泊に足りず、使われていないメティス伯居城や、市庁舎として使われているメーテンシス宮殿など市内の施設まで使っている。なお、メーテンシスはメティス伯領の古い名前であり、西ラバルム帝国から分裂してロタリンギア王国が成立した560年代にこの辺り一帯を指していた地名だ。
申し訳ないが、イリュリア王と高モエシア王はこれら市内の城に滞在しており、ルシタニア王とバエティア王は宮殿内の離宮に宿泊している。

さらにカンパニア公とアンデシア公に至っては市内の最高級ホテルという民間施設での滞在だ。

そしてブリタニア王、新ラバルム皇帝、ガリア王、ゲルマニア全権大使、ポルスカ大公、アヴァール王は宮殿内にいるが、大公であるシグルドとカドック、そしてアヴァール王マンドリカルドは隣接する別館に滞在し、本館はアーサーとルキウスとシャルルが使用している。

ちなみに、アーサーとルキウス、シャルルは後宮でラウルと宿泊することを提案してくれたが、丁重にお断りした。

なんとか形ができれば、あとは会議をするだけだ。

今回は規模が大きいため、三王会談で使用した鏡の間ではなく、中央棟にある大広間を使用する。ここは戴冠式など大規模な式典を開催する場所だ。
吹き抜けで5階分の高さがある大きな空間は荘厳な装飾が施され、両側に並んでいた木製の長椅子はすべて片づけられている。イメージとしてはキリスト教の大聖堂に近い。
椅子が片づけられて広くなった大理石の床に、巨大ながら瀟洒なテーブルが置かれ、囲むように11人の王が座る。

長方形のテーブルのうち、上座の短辺の中央にはラウルが玉座に準ずる高貴な椅子に着座。両隣はおらず、この辺をロタリンギア王が占有する。
そしてラウルから右の長辺にはカドック、マンドリカルド、高モエシア王、イリュリア王。左の長辺にはルキウス、アーサー、ルシタニア王とバエティア王。
最後に向かいの短辺には、シャルルとシグルドが並ぶ。

シャルルの後ろには小さなテーブルが用意され、そこには王や大公と同じ席に着くことができないアンデシア公とカンパニア公が座っている。

また、アーサーの背後には戦闘を指揮した円卓の騎士としてガウェイン、ランスロット、ベディヴィエール、パーシヴァル、ガレスの5人が整然と立ったまま並び、カドックたちの後ろにはカストロとポルクス、コンスタンティノス、モレーが立ち並ぶ。
いつも通りロビンは姿を隠してこの空間におり、あとはレッツェ城の侍従長とメティス宮殿の執事長だけが控えている。

全員の用意ができたのを確認し、カストロがよく通る声で告げる。


「これより、ロタリンギア王、新ラバルム皇帝、ブリタニア王、ガリア王、スウァビア大公、ポルスカ大公、アヴァール王、ルシタニア王、バエティア王、高モエシア王、イリュリア王による神聖なる会談の開催を宣言する!」


今ここに、二度目の開戦の火ぶたが切って落とされた。


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