深海電脳楽土SE.RA.PH−23
獣としての正体を現したキアラは、光り輝く巨大な両手の上に立ち、大量の魔神柱を触手のように蠢かせて出現させた。
そのおぞましい姿を前に、こちらの戦力は立香とメルトリリス、トリスタン、タマモキャット、鈴鹿御前、ロビンフッド、パッションリップ、そして唯斗とアーサーとなる。
アーサーは風王結界を解除してエクスカリバーの刀身を露わにする。それを見て、キアラは顔をしかめた。
「聖剣…なんとおぞましい。あのとき殺せなかったことが悔やまれます」
「聖なる輝きに慄く愛欲の獣らしい反応だ」
「まぁ。でも、そんなあなたのマスターは、快楽を知るようですけれど」
キアラの言葉に沈黙が落ちる。その意味を遅れて理解した唯斗は、カッと顔に熱が上がった。
「な…ッ」
「へぇ?あなた澄ました顔してやることやってんのね」
「お、俺何も聞いてないから」
「騎士王サマもやりますねぇ」
「私は気まずい…」
ニヤニヤするメルトリリスとロビンフッド、顔を背ける立香とトリスタン。
唯斗はわなわなと震えつつ、アーサーに指示を出す。
「ボコボコにするぞアーサー…!」
「了解したよマスター」
アーサーも応じて戦闘態勢になると、メルトリリスたちもからかうのを止めて身構える。
キアラも話を終えてこちらに手をかざした。
同時に、唯斗たちの周囲に大量の魔神柱が出現した。さらに、足下から白く輝く手が現れて全員を掴む。
そのまま、魔神柱たちの合間に引きずり込もうとした。
唯斗も腕と足を掴まれて引きずられそうになったが、それよりも前にアーサーが手を一瞬にして切り落とす。
また、鈴鹿御前も立香たちを拘束する手を、空中にどこからともなく出現させた日本刀によってほぼ同時に切断した。
その隙にタマモキャットとトリスタンが魔神柱たちを打撃と斬撃で吹き飛ばし、ロビンフッドは魔神柱の合間からキアラ本体にボウガンを放つ。
パッションリップも魔神柱をまとめて叩き潰し、メルトリリスは魔神柱の群れを突き抜けて退路を確保する。
「こっちへ!」
「あたしも攻撃するし。緑茶はマスター守って、かしこまり?」
「緑茶呼ばわりやめてくれませんかねぇ!」
そう言いつつ、飛び上がってキアラに向かう鈴鹿御前の指示通り、ロビンフッドは立香をつれてメルトリリスが切り開いた道から魔神柱の群れを抜けて脱出する。
唯斗とアーサーもその後に続き、トリスタンとタマモキャット、パッションリップは引き続き魔神柱たちをまとめて潰していった。
魔神柱のカーテンを抜けると、ちょうど鈴鹿御前が空中に飛び上がり、自身の周囲に大量の日本刀を円を描いて取り囲むように出現させる。
それを、まるで機関銃のように射出した。
刀が雨のようにキアラに降り注ぎ、キアラは悲鳴を上げる。
「ロビンは宝具解放!鈴鹿は攻撃続けて!トリスタンは手の攻撃を全部潰して!」
「了解!宝具解放、
祈りの弓!」
「かしこまり…っ!食らいな!」
「承知しました」
相次いで立香が指示を出すと、ロビンフッドが宝具を解放する。
キアラを閉じ込めるように木の幹が現れて、キアラを包んで一本の木が生えた。それによって、キアラの悪性がそのままダメージに変換される。
ロビンフッドの宝具が消えたところで、鈴鹿御前の日本刀による攻撃がさらに降り注ぐ。
一方、トリスタンはキアラによる手の拘束を地面から出現した瞬間にすべて切り刻んだ。
そしてキアラが動きを止めた瞬間に、唯斗はアーサーに声をかけた。
「アーサー!聖剣解放!」
「了解した!」
アーサーは応じると、十三の拘束を解除する議決を開始する。半分の拘束が解除され、エクスカリバーは黄金の輝きを身に纏う。そのまま、アーサーは剣を下から上に振り上げた。
「
約束された勝利の剣!!!」
その黄金の光は光線に収束され、ロビンフッドと鈴鹿御前の攻撃で動けなくなっていたキアラを包むように吹き飛ばした。
「が、あああッ!!!」
悲鳴を上げたキアラの断末魔。
エクスカリバーの光が収まると、魔神柱がかき消えて、キアラが乗っていた光の手も消える。
地面に崩れ落ちたキアラの前に、メルトリリスと立香が立ちはだかった。