伝承地底世界アガルタI−3
特異点に関する説明が一通り終わったところで、ダ・ヴィンチは「さて」と話を切り替える。
「次は同伴サーヴァントについてだ。通常、定礎値が高い特異点にはアーサー王のような特殊な存在でもない限り、サーヴァントをレイシフトさせることはできない。でも亜種特異点については、適合するサーヴァントであれば帯同可能だと判断した」
「適合?」
首をかしげる立香。
思えば、新宿は小特異点だと考えられていたため編成を特に考えなかったが、今回見つかった特異点のレベルではそうもいかない。しかし亜種特異点はその不安定さから、適合するサーヴァントであればレイシフト可能であるようだ。
「すでにトリスメギストスによる演算は完了していてね。現在カルデアにいるサーヴァントから適合するサーヴァントをリスト化したんだが…」
そう言ってダ・ヴィンチは、モニターにサーヴァントのリストを表示する。
何人か並んでいるが、思ったよりも少ない。
立香は自身のサーヴァントの中で適合する者たちを読み上げる。読み上げられるだけしかいないのだ。
「デオン、アストルフォ、ダレイオス、ギルガメッシュ、ハサンたち、ダビデ…だけか」
「俺もギルガメッシュとアーラシュだな。なんだこれ、中東のサーヴァントか?いや、それにしてもなんでデオンとアストルフォも…」
見たところ、中東系のサーヴァントが並んでいるようだ。現在ではイラクにあたる地域から二人のギルガメッシュ、イランのアーラシュとダレイオス、シリアのハサンたち、イスラエルのダビデだ。しかしなぜか、デオンとアストルフォも並んでいる。
そのわりに、サンソンやマリーは名前がなかった。フランス、という括りではないらしい。
とりあえず考えても仕方がない、トリスメギストスは人間や通常のスパコンではできない高度な演算を行うものだ。理解が及ぶものではない。
「この中から選んで行けばいい?」
「いや、それがそういうわけにもいかなくてね。レイシフトのコストと、現地でのパスの数という点で制約が厳しいんだ。実はもう一つ重大な出来事がカルデアで起きている。何人か、サーヴァントが消えているんだ」
「は、消えてる…?」
「それ早く言ってよダ・ヴィンチちゃん!」
「説明にも順序があるんだ、それにサーヴァントがふらりといなくなるというのも、十中八九、この特異点が原因だ。というか、この特異点が観測された瞬間にサーヴァントたちが消えたんだ」
なんと、この特異点発見と同時に、サーヴァントが何人か消失したらしい。座に還った、というようなことではなく、純粋に消えたのである。
「消えたサーヴァントは4騎。ヘラクレス、フランシス・ドレイク、エレナ・ブラヴァツキー、そしてフェルグス・マック・ロイ。共通点について、トリスメギストスは一致なしと回答した」
「なんかきな臭いな…」
またも普段と趣の異なる特異点である。
なぜか人口の希薄なチベット山脈、しかもその地下空間。さらに消えた4騎の関わりのないサーヴァント。
「状況証拠的な考えだが、私はこの4騎は当該亜種特異点にいると考えている。その場合、立香君が現地ですでに4騎のパスを繋げてしまうことになる。もしも現地でサーヴァントと合流するとすれば、立香君の魔力に懸念が生じるから、ここは唯斗君のサーヴァントだけに絞るのが望ましいんじゃないかな」
「立香は現地のサーヴァントとの契約に集中するってことか。合理的ではあるな」
「うーん、そうだね。4人のことも心配だし」
「最悪、カルデアから遅れて派遣することもギリギリできそうだ。もしもやばそうなら、二人くらいなら追加で派遣できるよ」
ダ・ヴィンチはもしもに備えて保険もかけているようだ。いざとなったら立香のサーヴァントも二人までならカルデアから追加レイシフトできるというのであれば、まずは唯斗のサーヴァントだけに絞るのも現実的だ。
今回、唯斗はアーサーと、アーラシュ、キャスター・ギルガメッシュを伴ってレイシフトするということで確定した。イレギュラーだらけだが、急遽レイシフトを行った新宿とセラフィックスに比べればマシかもしれない。