伝承地底世界アガルタI−9


やがてアーサーによる大半の兵士の駆逐と、アーラシュによる他の場所にいた奴隷の解放も無事に成功し、死者も出さずに戦闘を終えることができた。
特にアーサーもアーラシュも苦戦した様子はない。


「こっちは戦闘終了した。そっちは?」

『今、アマゾネスが来た方に街があるっていうんでそこに向かってる』

「了解」


立香もアマゾネスとの戦闘で大きな問題なかったようだ。
さて、と唯斗は30人ほどの集団を振り返る。まさかの足手まといができてしまった。もちろん守るが、間違いなく足枷にはなるだろう。


「…はぁ、昔なら速攻で見捨ててたのに」

「君は良い方向に変わったよ」


隣に立っていたアーサーも、唯斗の言いたいことを理解して先回りする。
以前の唯斗だったら、彼らを見捨てていた。今はとてもそんなことをしようと思えない。それは良い成長だと、アーサーは何度も伝えてくれた。


「…自分でもそう思う、なんて、自分で言うのもアレだけどな。よし、移動するか」


唯斗は息を吸ってから、談笑しているアーラシュと男性たちのところに行く。早速打ち解けているのはさすがだ。

その後、男性たちとともにアマゾネスが使っていた船を鹵獲して、3艘に分乗した。
何かあったときに身動きが取れなくなってしまうものの、唯斗とギルガメッシュの結界で人々は守れる。アーサーとアーラシュがいれば火力に問題はないが、動きに制限が出るのは確かだ。

しかし幸いにも、そのまま船は何事もなく川を下っていき、1時間ほどが経過した。そういえば食料なども考えなければならないのか、と考えていると、通信が入る。

3艘の真ん中の船に乗っている唯斗は、隣のギルガメッシュに索敵を頼んでから通信に集中する。


「どうした?」

『先輩がまたサーヴァントと合流しました。街での危機的な状況から、なんとか脱して逃げるのを手助けしていただいた形です』

「それは良かった。で、誰だ?」


マシュは立香の現状を報告してくれたか、唯斗の質問に言い淀む。


『それが…記憶喪失の男性サーヴァント、としか。こちらでも、クラスはライダーであろうとは観測しているのですが、情報が乏しく、ダ・ヴィンチちゃんは大航海時代初期の船乗りだろうと考えているようです』

『服装や言動からそう判断したよ。立香君たちは現在、保護した人々とともにそのライダーが本拠地としている場所に向かっている』

「…怪しくないか、それ。まぁ、デオンとアストルフォ、フェルグスもいるから問題ないだろうけど…」

『新宿のアーチャー、モリアーティの件もあるからね。気持ちは分かる。ただ、その辺りはほら、いつも通りだよ』

「……それもそうだな。合流した方がいいか?」


記憶喪失の大航海時代らしき近世の船乗りだというライダー、当然、大航海時代ともなれば候補は多い。
ドレイク以外にも、世界一周を成し遂げたマガリャンイス(マゼラン)やアメリカ大陸を発見したコロンブス、喜望峰に到達したカブラル、アメリカが新大陸であることを立証したアメリゴなどがいる。

記憶喪失だというのは信用していいのか微妙だが、立香が信じるというなら唯斗も信じるまでである。

そこで、合流した方が良いかカルデアに確認を取ったが、そこに立香が入ってきた。


『まぁモリアーティみたいなことになったら、今度はアストルフォがなんとかしてくれるよ。それで合流なんだけど、このあとイースっていう、東の湖にある大きな街を攻略するらしいから、それに乗ることにした』

「イース…?てか、湖の都市ってのは、敵性勢力なのか?」

『あ、ごめん、そこから説明するね』


立香はライダーから教わったという、この特異点の現状を唯斗に教えてくれた。


113/314
prev next
back
表紙へ戻る