ぐだぐだファイナル本能寺−23


「なるほど、確かにこれは神仏にも匹敵する化け物よな。さればあまたの我がここに集まったは、こやつを討つためであったか」

「ノッブ!!」


突然、悪魔の前に背の高い人影が出現した。まだ見慣れない、魔王信長である。
大僧正は目を見張り、聖杯を握りしめる。


「な、なに?!貴様死んだはずでは、どういうことだキャスター!」

「死にましたよ?これはすべての信長さんが集まってできた越後の信長さんです」


久しぶりの意味の分からない言葉だが、事実そういう存在だ。そして、信長が集合したのは、どうやらこの摩玖主大本尊ことマックスウェルの悪魔に対抗するためのものだったらしい。


「くそ、衆生の敵、魔王信長よ!我が大本尊の力で滅ぶがいい!」

「衆生の敵?よう分かっておるではないか。そうよ、我こそが神仏衆生の敵、第六天魔王、いや、三千大千天魔王、織田信長よ!」


そう信長が言った途端、溢れた魔力によって炎が発生し、瓦礫と化した本堂、すなわち本能寺に燃え移った。夜空に煌々と赤い光を照らす火炎に、信長は高笑いした。


「ふはははは!この我が本能寺を焼くことになるとは思わなんだわ!」

「ば、バカな…!こんな、信長の集合体など、それこそ無限の魔力でもなければ…!」

「ええ、その通りです」


ふらりと立ち上がったのは、いつの間にか姿を消していたマックスウェルだった。しかし、その頭からは血が流れている。著しく負傷しているのは、まるで、あの悪魔と同調しているかのようだった。
いや、事実そうなのだろう。景虎の攻撃によって、炉心の制御を取り戻したことで、悪魔が負った傷も同期されている。


「そんなわけで信長さん、魔力の方は問題ありませんのでご自由に」

「気が利くではないか!さあ、この我の前で神を嘯くとは、覚悟はできておろうな!」

「お、のれ、おのれぇ!!甦れ!!摩玖主大本尊!!」


大僧正は聖杯を投げつけるように悪魔に捧げる。それによって、再び悪魔は力を取り戻した。
だがその直後、信長が宝具を発動する。


「三千世界の我が可能性、とくと見よ!!」


その周囲に円を描くように大量に浮かんだのは火縄銃。何層にもなって空中に浮かんだ火縄銃のサークルは、一斉に射撃を開始。回転しながら、銃口が悪魔に向く度に銃弾を発射する。
大量の魔力が一発一発に籠められているため、着弾したところから爆発し、悪魔は細切れにされるようにかき消えていく。

しかし、胸元の聖杯を中心に瞬時に体が戻っていき、銃弾を撃ち終わった頃には、体の半分が回復してしまっていた。


「ふははは!あの聖杯ある限り死なぬか!いよいよ神染みてきたではないか!」

「っ、あの聖杯と悪魔の繋がりを絶つ。最初に長可にやった方法だ、分かるな、二人とも」

「おう!覚えてるぜ殿様!」

「私のゲイ・ジャルグですね」


紅の槍ゲイ・ジャルグであれば、触れたところの魔術をすべて解除できる。基本的には触れている間だけだが、聖杯との神経のような繋がりを切り裂くため一瞬で問題ない。


「長可が聖杯を引きずり出して、それをディルムッドが体から切り裂いて取り外す、いいな」


二人は頷いた。すでに悪魔はかなり体が元に戻っている。


「ディルムッド、森長可、両騎に令呪を以て命じる!『無限』を否定しろ!」

「承知ィ!!」

「はっ!!」


さすがに二画一気に消費すると回路が痛む。ぐらりと視界が揺れたが、踏ん張って前を見据えた。

令呪によって魔力を送られた二人は、瞬間的にその力を増大させる。
残像も残らないような速さで地面を蹴ると、長可は一瞬にして悪魔の胴体に着地し、人間無骨を思い切り突き刺した。
噴き出す魔力をものともせず、突き刺した槍を支えに、それを外側に引きずり出しながら胴体に体を垂直に維持した。

槍によって引きずり出された体の一部分には聖杯の輝き。それを、ディルムッドが紅の槍で一瞬で切り裂いた。


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