サーヴァント・サマー・フェスティバルII−17
ルルハワ到着から13週、計91日目。
ついに、サバフェスでメイヴを抑え、ジャンヌ・オルタの本が優勝した。
完成した同人誌はとてつもない完成度で、ストーリーだけでなく、葛飾北斎やジャンヌ、刑部姫に手伝ってもらったこともあって画力の質も極めて高かった。
完成度の高さに、ギルガメッシュが衝撃で記憶を取り戻したほどだ。
そうして聖杯は立香の手に渡り、さらにそれをキラウエアに使うことでとんでもない災害を引き起こそうとしていたBBの思惑もなんとなく察した一同は、マウナケアに移動してBBと対峙。これを倒して、ペレとBBを引き剥がし、ペレの復活に聖杯を使ってやってから、BBはXXによって銀河警察の宇宙船に連行されていった。
そういえば、銀河警察とはそもそもなんだったのだろう。立香はこの手のトンチキに精通しており、よく知っているようだったが、唯斗は特に興味がなかったため何も聞かなかった。
そして、ギルガメッシュの計らいによって、これまで同人誌作りに明け暮れて一日休みという日がなかったこともあり、サバフェスは1日延長される運びとなった。
これにより、特異点ルルハワからの退去は明後日に決定した。
実に3ヶ月にも及ぶ長い長いバカンスは終わりを告げ、全員、なんでもないルルハワの1日を手にする。
同時に、ロビンと立香はいろいろと察した顔をして唯斗に「頑張れ」と応援の言葉を贈り、いったい何を、と思ったときには、唯斗はアーサーに担がれていた。
それから数十分、ホテルの自室に入ったところで、アーサーはようやく唯斗を下ろす。
「いや、なんだよ急に」
「僕は果てしなく待った。そう思わないかい?」
「え…?」
「90日だ。3ヶ月だ。分かるね?同人誌制作があるからと、座りっぱなしの作業が続くからと、僕はこの13週間ずっと我慢を続けていた。どんなに君が可愛くても、どんなに君が他の男に迫られていても、どんなに君のシャツの間から覗く白い肌がエロくても、耐えてきたわけだ。分かるね?」
圧がすごい。そして、唯斗はようやく、アーサーの温厚な翡翠の瞳は、今ばかりは完全に獣のそれと化していることに気づいた。
思えば、最初にループしたとき、アーサーはこの部屋で唯斗との時間を過ごそうとした矢先に空港へと転移させられた。
あれからずっと不完全燃焼だったということだ。
これはまずい、と思った唯斗は、なんとかアーサーを宥めようと画策する。
「お、俺まだ死にたくない」
「大丈夫だよ、心配しないでマスター」
アーサーはニッコリと笑う。さすがに騎士王たる者、そんな獣のようなことはしないか、と安心しかけたときだった。
「死ぬほど気持ちいいだけだから」
「なっ、ちょ、」
それ以上の言葉を言う前に、アーサーは唯斗の腰を抱き寄せると、強引に唇を重ねた。割り入ってくる舌は乱暴に咥内を蹂躙し、性急に唯斗の舌を絡み取られて勢いよく吸われた。
「んっ、!ふ、あー、さー」
キスひとつで高められてしまうのは、それだけアーサーにいろいろと教え込まれているからだが、今回は特に、アーサーが激しく求めてきていることに興奮を覚えている自分がいた。
アーサーは、いつもなら優しい声で応じてくれるところ、無言のまま呼吸も荒く唯斗をベッドに押し倒した。
視界が反転し、天井がアーサーの向こうに見える。こちらを見下ろすアーサーの瞳は完全に据わっていた。しかし、すぐにそのまま手を出してこないのは、恐らく唯斗が明確に同意していないからだ。
咄嗟に制してしまったため、アーサーは一応唯斗の同意を得ようと自分を抑えている。あと少しすれば、アーサーから問いかけてくるだろう。
だがその前に、唯斗が意志を示すことにした。アーサーにしてもらってばかりではいられらない。
「…いいよ、アーサー。おいで」
「ッ!唯斗っ!」
アーサーは目を見開いてから、再び口づけてきた。今度はベッドに頭を押さえつけられているため、より深く舌がねじ込まれ、魔力混じりの唾液が流し込まれる。その甘さと体に広がるアーサーの魔力が、まるで媚薬のように唯斗の神経の感度を高めた。