サーヴァント・サマー・フェスティバルII−23
翌日は、アーサーのある意味宣言通りとなった。
朝起きてから朝食までに1回、朝食から昼食までに2回、昼食から夕食までに4回と、ゆっくり時間をかけて何度も抱かれている。
騎士王の体力や精力はかくやというのを身を以て実感した形だ。
もちろん、唯斗の体の負担とならないよう、間隔も空けてひどくゆっくりとしたスローテンポなものだ。昨晩のような獣性を露わにした形ではないし、激しい絶頂にならないようにコントロールしてくれていた。
それでもやはり、7回目を終えた夕方にはかなり疲れており、明日の朝すぐにレイシフトすることからも、今日はこれで終わりということになっている。
アーサーも大変満足したようで、もう立ち上がるのも億劫な唯斗と違い、ツヤツヤとした様子だった。
18時頃となり、アーサーは夕食を部屋に持ってくるために1階へと降りた。このホテルは現在、ルームサービスを停止しているという。そのため、朝食と昼食もアーサーが取りに行ってくれた。
アーサーが1階に言っている間、唯斗はシャワーも浴びてすっきりとしており、髪を乾かしながらシッティングスペースのソファーに座っていた。
するとそこに、インターフォンが鳴った。誰かと思って扉まで向かい、扉越しに声をかける。
「どちら様だ?」
「姫、おっきーだよ」
どうやら刑部姫らしい。他の気配はなく、女性ならいいか、と唯斗は扉を開くことにした。悲しいかな、唯斗に対して危険なのは男ばかりだった。
「刑部姫か、どうかしたか?」
「あ、うん…って、あ…(察し)」
唯斗の様子に刑部姫は一目で察したようにしている。その手には、薄い本があった。コピー本だと一目で分かる。そういえば、この最終周回では刑部姫の発作が起きていなかった。
「姫何も知らない。それでこれなんだけどね」
刑部姫は見なかったことにして、持っていた本を差し出した。
「実はコピー本として今回出そうと思って、結局やめたやつなんだ。姫、生モノとかBLってそこまで好きってわけじゃなかったんだけど、その…」
刑部姫がそこまで好きというわけでもないBLコピー本を作成したのは、唯斗とサーヴァントたちの絡みを見て目覚めたことが原因だった。しかし今回はそういう場面はなかったはずだ。
受け取ったコピー本の表紙には、アーサーと唯斗が描かれている。
「実はね、この前、ビーチでアーサー王が君にプロポーズしてるとこ、見ちゃって。姫さ、声も出せなかったんだ。夕日をバックに指輪の交換をしてキスをする二人が、あんまりにも綺麗だったから。それで、マーちゃんやロビンちゃんにも二人の関係を聞いて。君たちがどんな思いで、どんな覚悟であそこにいたのか知ったら、書いたはいいけど、いたずらに知らせるのってどうなんだろって思ったの」
どうやら今回、刑部姫はアーサーと唯斗のことを見てコピー本を制作したようだが、途中で気が変わったらしい。それというのも、二人の関係性を知って、二人の本気を知ったことで、これを単なる同人誌として頒布するのに抵抗を感じたからだそうだ。
「でもね、今回のコピー本、花の魔術師さんにアヴァロンの様子も聞いて作ったの。なんか二回目とか言ってたけど、姫路城の姫が知ってるわけないじゃんね。それで、わりと本気で作ったものだったから、せっかくなら、二人に一冊だけ渡そうって」
「俺たちだけ?」
「うん。これは君たちだけの物語だから。その派生物でしかないものだけど…良かったら受け取って」
「うん、ありがとう。嬉しい。こちらこそ、手伝ってくれてありがとな。そんで、こうして会えて話せて良かった」
「それは姫も同じだよ。久しぶりにお城から出てきた甲斐あった。じゃ、彼氏が戻る前に姫帰るね」