禁忌降臨庭園セイレムI−13


すると、そんなメディアに対して、ロビンはおもむろに胡乱な目を向けた。


「……ふーむ、地元魔術師の工房も気になるところだが、俺が気になるのは、だ。あんたなら、この空間を出て行けるんじゃないですかねぇ?大魔女さん」

「…何を言っているの?魔女狩りにかこつけた悪ふざけだったら…」

「おや、開き直るわけだ。ならこう聞いてやろう…なあ、あんた、どこのどなた様?」


そうロビンが尋ねた瞬間、サンソンが唯斗の前に庇うように立ち、マタ・ハリも立香を隠すようにした。マシュと立香、唯斗は目を点にさせる。
アーサーですら、警戒を滲ませていた。


「え…皆さん、いったい…」

「どうしたの…?」

「…やっぱ、メディアのこと、お前らも気にしてたんだな」


呆然とする立香とマシュだが、唯斗はこのメンバーならそれくらいするか、と納得した。メディアはここに来てから、あまりに不自然な点が多かった。

マタ・ハリは困ったように笑いつつ、警戒を解かない。


「ごめんなさいね、マスター、マシュ、唯斗。様子がおかしいし、彼女だけ霊体化できたことも怪しかったものだから、サンソンとロビンに頼んで見張ってもらっていたの」

「そういうことです。あまりあからさまに仲違いするわけにもいきませんし、マスターもマシュも、こういうの隠すの下手くそっしょ?唯斗さんは言っても良かったが、言わずとも気づいてそうだったし」

「さすがに監視しようとまでは思わなかったぞ、俺でも。サーヴァントとして、俺たち以上に気になったんなら、俺も立香も咎めたりはしない」

「え、え、でも、メディアは別に敵対してたわけじゃ…」


立香はメディアを心配そうに見遣る。ロビンは分かっていたようにしていた。


「その通り、敵対してたわけじゃないから、静観していた。けど、あに図らんや、ティテュバの死刑は執行された。あえて見逃したようにも思える」

「それは違うわ。看守たちに監視されて身動きができなかったし、マスターが有罪となる状況を極力避けたかったのよ」

「ほーう?もっともらしいが、どうですかね」

「ど、どうしよう唯斗」


さすがにこういう状況は初めてのため、立香は動揺している。いつもしっかりと指示を出す立香だが、不安そうに唯斗を見てきた。マシュも困惑していた。これはこれで良くない。


「…そろそろカーターも戻ってくる、この辺にしておこう。メディアがなんであれ、ロビンたちが疑っているっていう事実が明らかになっただけで、たとえ仇成すつもりのヤツであっても牽制になる。何より、こうして工房化した技術は本物で、それがなきゃもっと手詰まりだった。それに、立香は信じたいんだろ?」

「……うん」

「じゃあ話は簡単だ。立香はマスターとして信じてやればいい。マシュもな。その分、サーヴァントたちが疑えばいい。アーサー、サンソン、メディアが敵対的行動を取ったら俺の指示を待たずに動いていいぞ。その代わり、俺も立香と一緒にメディアを信じる。メディアがなんであれ、な」

「…そうだね、ありがとう唯斗。ロビンたちも、何かったらお願い。でも、俺はメディアを信じるよ」

「はい、私もです」


唯斗の言葉で、すぐ立香とマシュは気を取り直す。その様子に毒気を抜かれたように、ロビンもため息をつきながら「了解ですよっと」と応じた。
メディアは驚いたように唯斗たち3人を見ていたが、やはり少し呆れたような様子になりながらも、小さく微笑んだ。


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