砂糖は不要−21
呻く唯斗に、アーサーはそう言いながら唯斗の顎に指を滑らせて促した。何も考えずにアーサーの方を見やると、突然、アーサーは唯斗の唇に噛みつくようなキスをした。
驚いて息を呑む唯斗だったが、それすらもキスに飲み込まれる。
「ん、!」
唇を割って咥内に入ってくるアーサーの舌に驚くも、自身の舌を絡み取られて上あごをなぞられると、それだけで電流にように背中を快感が駆け上がる。
そのままアーサーは唯斗のうなじから後頭部にかけてを撫でて、電流のような快感に震えた。
ようやく唇が離されるが、今度はアーサーの手が唯斗の尻を撫でて、さらに反対側の手はシャツの下から肌を撫でて胸元を摘まむ。
「ぁッ、アー、サーっ、」
「僕の部屋まで来て手を出されないと思ってたのかい?もちろん、嫌がることはしないけれど…どうする?やめる?」
与えられる快感に震えながらアーサーの肩をつかむ唯斗に、アーサーはそんなずるいことを聞いてきた。拒むわけがない。なのに、それを口にしなければならない。
こちらを見上げる翡翠には、情欲はもちろんあったが、しっかりと唯斗の意思を確認しようという意図も感じ取れた。言葉通り、嫌がったらやめるのだろう。アーサーはそういう男だ。
唯斗は自分からアーサーの唇に自分のものを重ねる。触れるだけで、それ以上はまだ唯斗にはできなかった。
顔を離すと、驚いたような瞳と目が合う。
「アーサー、その…嫌じゃねぇから、えと…」
「…、ふふ、ごめんね、いじわるな聞き方をしたね。今から君にもっと触れるけれど、許してくれるかい?」
どう言えばいいのか分からず、それ以上言えずにいると、アーサーはそう笑いながら唯斗の額に軽くキスを落とし、難易度を下げてくれた。
唯斗がそれに頷いて返すと、アーサーはもう一度キスをしてくる。今度は、深い方だ。
再びアーサーの舌が口の中に入ってきて、引っ張られた唯斗の舌を軽く噛まれたり吸われたりする度に肩が跳ねる。
そういえば、先ほどからキスするとチョコレートの味がほのかにした。食べたばかりなのだから当然だが、その甘さに酔いそうになる。
「…なんか、チョコの味すんな」
「君もとっても甘いよ、唯斗」
恍惚としたようにアーサーは言うと、唯斗をそっと抱えてベッドに押し倒す。アーサーの膝の上からシーツの上に移動して、あおむけになった上にアーサーが乗り上げる。
軽く唇を吸うようなキスをしてから、アーサーは唯斗のシャツをたくし上げ、露になった上半身のあちこちにキスを落としていく。
「…うん、どこも甘くて砂糖のようだ」
「ば、か言うな、」
「本当だよ。君とカカオだけでチョコレートができてしまいそうだ」
そんな簡単にチョコレートができて堪るか、と作った側としては思わないでもないが、さすがにそれを言うのは無粋だ。
何より、そんなことを言いながら唯斗の感じるところを的確に攻めていくアーサーに、もはやそんな軽口を叩く余裕はなかった。
「あッ、待っ、そこ、」
「うん?」
そして、胸元を口に含まれると、下半身にずくりと快楽が押し寄せて、唯斗は驚いてアーサーの腕に手をやってしまった。
胸元からこちらを見上げるアーサーは、反対側を指先でいじる。それにすら、熱が溜まるようだ。
「んっ、ぁ、なん、」
「かなり感度が上がったね。いずれここだけでイけるだろう」
「嘘だろ…」
「今度試そうね」
絶対に忘れてほしい事実だったが、アーサーはやると言ったら必ずやる。いつの間にか唯斗のあずかり知らぬところでアーサーに体を変えられてしまっているらしい。
満足げにするアーサーは楽しんでいるようだが、こんなにも強烈な快感の数々を知ってしまったら、本当にどうにかなってしまいそうだ。