深海電脳楽土SE.RA.PH−4


マーブルはそうして、詳しい状況を教えてくれた。
時間神殿を攻略して迎えた2017年1月、世界が復旧する中で、セラフィックスでは異常が始まっていた。突如として油田基地のあちこちが消失し、外部との連絡手段も脱出手段もなくなってしまったのだ。
徐々に油田基地は電脳化されていき、セラフィックスはSE.RA.PHへと変貌。そしてこの空間を支配するのがBBであり、BBからコピーされた存在アルターエゴ2騎を含む5騎のセンチネルという防衛機構が空間を管理している。
このSE.RA.PHがなぜか人体を模した作りになっているため、五体に揃えて5騎のセンチネルが配置されているようだ。

生存者はマーブルを含めて3人、中央管制室にいたが、堪えかねたマーブルは管制室を出てきたのだという。

このSE.RA.PHでは128騎のサーヴァントが殺し合っており、その目的は分からないものの、すでに人間は3人しか生き残っていないことからマスターがいるわけではないだろう、とのことだった。

セラフとは、ユダヤ・キリスト教において熾天使を意味する言葉セラフィムの略語だ。天使の階級において最上位のものだが、どういう意図でこの名称を使っているのだろう。

そうして唯斗も事情を説明しながら進んでいくと、アーサーがぴくりとする。


「マスター、藤丸君たちだ」

「え…あ、ほんとだ、ガウェインのパス感じる」


どうやら立香たちと合流できそうだ。ガウェインとのパスが強くなってきたため、接近しているのだと分かる。向こうはブレストに向かっているらしい。恐らくガウェインも唯斗に気づいているだろう。
唯斗は自分から呼びかけることにした。


「立香!ガウェイン!」

「唯斗!?」


正面の分岐路の左から立香の声が響いてきた。
そして予想通り、唯斗たちが分かれ道に到達したのと同時に、左側の道から立香、ガウェイン、そしてトリスタンともう一人のサーヴァントのような人物が現れた。


「アルターエゴ!?どうしてここに!?」


マーブルが悲鳴を上げる。確かに、青い髪の毛の少女はBBと同じ顔だ。だが、下半身はなぜかニードルのような金属でできており、いびつな体をしていた。
立香が一緒にいることから敵対しているわけではないようだ。


「マスター!良かった、ご無事でしたか。いえ、BBが異世界の我が王はマーリンの妨害でマスターと共にいると聞いていたのですが」

「やはりマーリンの力か。どちらの世界のマーリンによるものか分からないが、恐らく私の世界の方だろう。藤丸君とガウェイン卿が合流できていたのは幸いだ」


BBは全員をバラバラにしようとしたらしく、現に唯斗とガウェインは離れ、立香が連れていたネロと玉藻の前の姿もなかった。
それでも唯斗とアーサーが一緒にいるのは、アーサーの世界のマーリンがそうなるように妨害したかららしい。


「なんでアルターエゴと一緒にいるんですか!?私やっぱり殺されちゃう!?」

「落ち着いてマダム。我々は敵ではありません」


アルターエゴにスタッフが殺されていたことから、マーブルが怯えるのも無理はない。
ガウェインはそれを見て宥めるが、マーブルは「既婚者じゃないです!」と即座に返した。


「あ、でも素敵、笑顔がすごく素敵!ガウェインさん、とおっしゃるんですか?あの、ご職業は?年齢は?年収は?それとこれが一番大事なんですけど、妻帯とかしていらっしゃいませんよね!?」

「それは複雑な質問ですレディ。確かに生前は身を固めていましたが、サーヴァントとなった今ではそれも断絶しています。このガウェイン、妻を忘れたことはありませんが、サーヴァントとしての自由から目を背けるほどの堅物ではありません」

「何言ってんだガウェイン」


唯斗が言うとガウェインは咳払いをする。マーブルに任せると話が脱線するため、唯斗が立香に尋ねた。


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