深海電脳楽土SE.RA.PH−7
休息をとったところで、探索を再開することになった。
今回は、非戦闘員であるマーブルと安全地帯の維持のため、トリスタンとマーブルは礼拝堂に残り、エミヤ・オルタは残るサーヴァントたちの陽動のために単独行動に出た。
唯斗とアーサー、ガウェイン、立香、メルトリリスはアームの探索を行うべく、礼拝堂から一緒に行動する。
もともとはセラフィックスの海底探査機能があった区画とのことだが、アームに到着したところで、あの声が響き渡る。
『BBチャンネル〜!!』
突然一同の前に現れた画面には、BBが映し出される。ふざけたファンファーレで現れたBBだが、彼女が刺客として差し向けてきたのは、タマモキャットだった。どうやら玉藻の前が変質してBBの手駒にされてしまったらしい。
カルデアでも世話になっているタマモキャットと戦うのは心苦しかったが、結局倒しきることはできなかった。
BBは何やら意味不明なことを言うキャットを別の場所に強制転移させてから、気を取り直すようにBBチャンネルとやらを終わらせようとしたが、その前にメルトリリスが問いかける。
「待ちなさいBB。今のコントに関しては何も言わないであげるから私の質問に答えて。リップが潰したっていう、新しい128騎ってなに?もう次の聖杯戦争に移るの?」
『ああ、そのことですか。次の準備ができたらまた召喚されると思いますよ?なんせ、このSE.RA.PHにはもう30騎ほどしか残っていませんから。サーヴァントは多ければ多いほどいい。そうしないと…時間神殿の再現には至りません。何千何万という英霊を、このSE.RA.PHは望んでいるのですから!』
BBは明確に時間神殿と言った。カルデアでも気になったが、なぜそこまでこの存在は知っているのだろうか。
ガウェインも語気を強める。
「なぜあなたがあの戦いを知っているのです!」
『…さあ?宇宙の外で起きた出来事の記録なんて、私にはなんとも。私はただのゲームマスター。因果を結ぶのは、いつだって視聴者のカルマです。それでは今度こそ!海底まで現実時間であと1時間!残る半分を切ったSE.RA.PH脱出ゲームをお楽しみください!』
そう言ってBBを映す画面はかき消えた。一筋縄ではいかないことなど今まで何度もあったが、ここまで超越的な存在に出会うのも珍しい。それこそ、ギルガメッシュやマーリン、ゲーティアのような千里眼並みだ。
「…、ただの特異点じゃないのは分かってたけど、いったいここは…」
困惑する立香に、唯斗はその肩を叩く。
「やることは変わらない。なんでセラフィックスが特異点と化したのか、それは多分、天体室に答えがある。それを解明して、管制室にいる生存者を救出する、目的は変わらないだろ」
「…うん、そうだね」
頷いた立香に、今回立香を支えてくれたガウェインも続いた。
「マスターの仰る通りです。我らには目前の景色しか見えずとも、確かな意志と万里を駆ける足があります。それに恐らく、マスターはすでにある程度、大筋は予想がついているのでは?」
「あんま買い被られるのも困るけど…多分、原因はアニムスフィアがここで行ってた実験だ。カルデアのデミ・サーヴァント実験同様、秘密裏に行われたことがある。それが人理を揺るがす力を持ってたってことだ。その力が、SE.RA.PH構築の動力源になってるんだろ。アニムスフィアのことだ、どうせ碌なことじゃないだろうけど」
マシュを生み出した非合法で非倫理的な実験を考えれば、正直まともなことが行われていたとは思えない。だがその魔術的なエネルギーが今回の肝となるはずだ。
「たとえば、その実験とエネルギーに目をつけた魔神柱がセラフィックスに逃げ延び、礼拝堂の記録を残した人物の体を乗っ取ってここを滅茶苦茶にしたとか」
「なるほど…」
「でも、たとえそうだとしてもまだ説明がつかないことがたくさんある。128騎ものサーヴァントを戦わせてることが最たる例だ。わざわざBBみたいなイレギュラーが召喚されていることも不可解だし、そもそもBBがどうやって出現したのか、それ自体が分からない。てかBBが何者なのかってことすらな。BBとアルターエゴ、これがこの特異点で最大の謎だ」
「ふうん、なかなかやるわね。マスター二人、そういう役割分担なわけだ」
メルトリリスは高飛車に唯斗をそう評価した。聞いていたガウェインが胸を張る。
「藤丸殿とマスターは大変良いタッグです。異世界の我が王と私、トリスタンもいるのですから、体制は万全でしょう。前進あるのみです」
「そうだね。まずはキャットを取り戻そう」
そして早速、立香はタマモキャットの救出を次の目標とした。BBの手駒にされている状態から取り戻そうという言葉が真っ先に出てくるあたり、立香は立香だ。