深海電脳楽土SE.RA.PH−19


ゼパルの目的は人類の情報を管理すること。そのために、地球の事象を記録する演算装置であるムーンセルを利用しようとした。そのためには、セラフィックスを電脳化する必要があった。
キアラはそれを自身の目的の第一段階として利用することにして、ゼパルを少しずつ掌握していった。施設の職員たちとの肉欲や愛憎劇を通して、肉の喜びで正常な思考を奪い、少しずつ、ゼパルを逆に乗っ取っていったのだ。

そうしてSE.RA.PHが生まれた。この特異点が女性の体を模しているのは、キアラが自分自身を特異点化するためだった。
これこそが第一の目的、時間神殿のように、自分が何人もの英霊に殺され続ける快感を得ること。

情報特異点SE.RA.PHと化したキアラは、これを楽土に変えて、128騎のサーヴァントによる聖杯戦争を通して快感を得つつ、そのエネルギーも吸収して、さらに力を獲得していった。


「そこまで行けば、もうゼパルは不要でした。ゼパルの自我を奪い、殺し、完全に消失させた。管制室の魔神柱はただの死体なのです」

「…なるほどな。そしてBB、お前はゼパルに召喚されたのではなく、キアラが並行世界で取り込んだ存在であり、SE.RA.PH構築にあたって並行世界のキアラの体から摘出された存在ってことだな」

「その通り。私とアルターエゴたちは並行世界のキアラからサルベージされた存在。私の役割はこの聖杯戦争の監督役であり、キアラが真の力を取り戻し、その獣性が目覚めるまでSE.RA.PHを運営することでした」


獣性、とはっきりBBは述べた。
そう、キアラは完全に、人類の肉欲という欲望から生まれた獣であり、その目的によって人類を滅ぼし得る存在であった。そうなれば、そのクラスは特定される。


「…ビーストなのか、あいつは」

「その蛹ですね。ビーストIII、それがキアラの正体です」

「…クソ、最悪の展開だな。そんでビーストIIIキアラは、SE.RA.PHを通して、地球と接続するつもりだな。ムーンセルを通して月と接続しようとしたように」

「ええ。SE.RA.PHは情報体、実体を失っています。そのため、マリアナ海溝の海底に到達すると、そのままリソスフェアに突入します。あとはマントル、外核、内核と至り、地球の中心で地球と一つになり、全人類70億の命を使って自慰に耽るのです」


これで謎は一通り解けた。
魔神柱ゼパルが取り憑いたキアラは、並行世界のキアラと繋がったことでビーストIIIの蛹となり、セラフィックスをSE.RA.PHに変えて地球の内核を目指している。
ここで行われていた殺し合いは、キアラの性的欲求を満たしつつエネルギーを得るためだった。

残る最後の疑問を、唯斗は口にした。


「お前の目的はなんだ。BB個人の目的もあるだろ?じゃなきゃ、ただキアラの自慰を手伝ってるだけってことになる」

「…その解釈は大変不愉快ですね。さすがに見過ごせないのでお答えして差し上げましょう。私の目的は、キアラをカルデアに倒してもらったあとにSE.RA.PHを再構築し、これをムーンセル代わりにして人類を超越する超級AIとなり、愚かな人類を監督することです!ビーストには聖剣がうってつけですから、センパイだけで勝てなかったときに備えて、あなたたちには最終決戦まで生き残ってもらう必要がありましたし、相手をビーストとして認識してもらわなければなりませんでした。だから、こんな面倒な説明役をやってあげたわけです」


BBは最後に一息に説明すると、「さてと」と踵を返す。


「そろそろ買い出しを頼んだ緑茶さんが戻ってくることですし、この辺でさよならです☆」


もう話は終わったらしい。BBはこちらの返答も聞かず、早々に興味も関心も失って去って行った。

再び放課後の教室には沈黙が落ちる。会話の間、一度もアーサーは起きなかった。やはり相当に消耗しているようだ。

とんでもない話の連続で、特にキアラの目的は理解がまったく追いつかないが、やるべきことははっきりとしている。
人類悪は、人類が滅ぼすべき悪。ビーストIIIを倒す、これがこの特異点修復の目的であり、その後、BBの目的も止めるのだ。


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