人智統合真国シン−19


「マスター!全員乗り込みました!」

「よし、そのまま3階へ!」

「承りました!」


ガウェインは勢いよく跳躍し、一気に3階まで上ると、3階の通路からこちらに降りようとする兵士たちを階段の周辺で駆逐し、その火炎によって近づけさせない。
一方、ボーダーは1階に残った兵士たちを跳ね飛ばしながら急発進し、シャッターをぶち破って市街地へと出て行った。

3階はガラティーンによる炎が広がり、2階ではアーサーとディルムッドが取り囲まれながらも戦いを続ける。


「マスター、韓信たちが動いた」


すると、エミヤは鋭くそう告げた。
反対側を見れば、ゆっくりと韓信と李書文が通路を回り込んでこちらに向かい始めている。


「…よし、ディルムッドいったん戻れ!」

「はっ!」


ディルムッドは敵を最後に一薙ぎしてからいったん退去する。同時に、唯斗はギルガメッシュを呼び出した。


「ギルガメッシュ!」

「またか」


そう言いながらもすぐに唯斗を守る位置に立ったギルガメッシュ。3階、2階の様子を確認し、すぐに指示を出す。


「ガウェインは戻れ!」

「了解です!」


ガウェインが3階で返事をして消えたのを確認して、続けてギルガメッシュに指示する。


「3階、2階を一気に掃討してくれ。施設は破壊して構わない」

「よかろう」


ギルガメッシュは3階と2階、それぞれに50以上のゲートを開いた。そこから現れた魔杖によって、一気に100人以上の兵士が光線に貫かれる。
3階向かって左側の区画は耐えきれずに崩落し、ディルムッドが追い払ったところを埋めようと押し寄せていた兵士たちごと押しつぶしてそのまま1階へと崩れ落ちていった。

金属が破断する鋭い音が響き渡る中で、立ち上る煙を払いながら韓信と李書文が数メートル離れた位置で止まった。


「なるほどなぁ、魔術によって驪山のようなことを瞬時に行えるわけか。伊達に汎人類史やってるわけじゃねぇってことか」


韓信は興味深そうにしている。軍略と戦争を好む男ならではの視点だ。一方の李書文は、見た目には変わらないながらも、その殺気をどんどん高めていく。肌を突き刺すようなそれに、唯斗は後ずさりたくなるのを必死に堪えた。


「…ギルガメッシュ、ありがとう。戻ってくれ」

「英霊を動かす、という点においては貴様もいっぱしの将。堂々と戦うがよい、我が許す」

「うん」


ギルガメッシュはそう言って退去する。
確かに相手は中国史上トップクラスの武将だ。しかし韓信本人が言っていた。

劉邦に対して、劉邦は10万人程度の兵が似合いの将ではあるが、将に対する将であるからこそ付き従うのだと。

唯斗が指示するのは一騎当千の英霊たち。軍勢ではないが、こうやってこれまでずっと戦ってきたのだ。


「…よし。来てくれ、サンソン、長可」


唯斗は次にサンソンと長可を呼び出した。アーサーは戦い終えてこちらに戻ってくる。これで完全に兵士たちは一掃された。


「サンソンは韓信、長可は李書文を頼む。アーサーは近距離で二人のフォロー、エミヤは遠距離でフォロー」

「承知しました、漢三傑の武将を無力化します」


サンソンはすぐに応じて大剣を出現させる。長可も巨大な人間無骨の槍を構えた。


「ハッ、あの爺さんと決着つけさせてくれるたぁ粋なことしてくれるじゃねェの殿様ァ!」


長可はそう獰猛に笑うなり、唯斗の号令を待たずに走り出した。こちらもそれは承知の上だ。
長可に続いてサンソンも走り出し、それぞれの敵に向かう。

長可は巨大な槍で李書文に斬り掛かるが、身軽に飛び上がって避けた李書文は槍の上に起用に立つと、そのまま鋭い蹴りを突き出した。身動きが取れない長可だが、その蹴りはアーサーの剣が弾き、その隙に長可は槍を振って李書文を落とすと、その大槍を軽い棒きれのように俊敏に振って突き出した。

一方、サンソンは俊敏な身のこなしで大剣を振るい、黒いコートを翻しながら韓信を追い立てる。韓信自身は決して武闘家ではないため、その剣は鈍いが、しかし素人や普通の人間の動きでもなかった。

エミヤは、サンソンの隙を突く韓信の剣や、長可の頭蓋骨を割ろうとする李書文の突きを迅速に剣の矢で牽制してくれる。
さらに、アーサーは李書文の右腕を目に止まらぬ速さの剣戟によって切り飛ばした。李書文の右腕は離れた瓦礫に落下する。


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