水着剣豪七色勝負−4
ガウェインはそんなことを言ってくれたが、アルトリアはニヤリとする。
「おっと、しかし勝負は勝負。そうさな…ガウェイン卿、そのままテーブルにつきなさい。卿がカジノ・キャメロット代表です。初心者2名とちょうど釣り合うでしょう」
「…かしこまりました」
ガウェインは恭しくお辞儀すると、「それでは失礼して」と唯斗の左側に腰かけた。
どうやらアルトリアがディーラーのもと、唯斗・アーサーVSガウェインということらしい。
アーサーはアルトリアが直接戦わないことに少し不服そうだったが、あくまでガウェインが全権を委任された以上、それを拒否するつもりもないようだ。
そうして、なぜか始まった円卓の内紛onポーカーが本番を迎える。
「では全員アンティをポットへ」
アルトリアの号令で、3人とも白チップを1枚ずつポットに置いた。
その後、優雅な所作でカードが配られる。
手札を見た唯斗は、ものの見事に揃っていない様子にため息をつきたくなるが、いくら心理戦が薄いといってもゼロではないことを思い出し堪える。
カードを交換するターンとなり、アーサーから順にカードを交換していく。唯斗は3枚交換したが、引き当てたカードの中に、先ほど交換対象として捨ててしまったカードと揃うものがあり、内心で盛大に舌打ちする。
「全員交換を終えましたね。では、ベッティング・インターバルとします」
「ではベットしよう」
アーサーは赤チップを2枚ポットに出した。唯斗はとりあえずコールしておく。
すると、ガウェインはなんと、緑チップ2枚を出した。50万円ということだ。驚いた二人に、ガウェインは輝かしい笑顔で答える。
「せっかくですから、大胆に行かせていただきました」
「…そうか」
アーサーは口元を引きつらせると、「レイズだ」と言って、黒チップを1枚出した。100万円である。何を張り合っているんだ、とアーサーを窺うが、完全に負けず嫌いスイッチが入っている。円卓には負けられないとでも言うのだろうか。
嫌な予感がした唯斗だったが、もしかしたらアーサーは勝算があるのかもしれない。であれば、ここは掛け金を大きくしてこちらの勝ち分を大きくするべきか。冷静に考えていると、アルトリアはふっと笑う。
「おや、もう一人のマスターは随分と臆病なようだ。ただのゲームでも怖くて足が竦みますか?」
「は?レイズ」
一瞬の考慮もなく、唯斗は茶色チップを2枚出した。
ここでは茶色が500、紫が5000というスタンダードな設定になっているようだ。つまり唯斗の心の中での計算用レートでは、1000万円を出したことになる。
「マスター…?」
アーサーも少し呆れたようにしたが、ガウェインは「さすがです」とにこやかに言って、紫チップを4枚出した。
2億円である。
「………お前さ」
「異世界の我が王に恥じぬベットをしなければ。そうでしょう?」
「その通りだともガウェイン卿」
アーサーは「レイズ」と言って、金色チップの真ん中の白い部分に「10」と記載する。金色チップは紫チップ以上の額面でかつ任意の数字であるため、5000万円以上とすれば、すなわち10億円という意味である。
「……付き合ってらんね」
急にばかばかしくなって、唯斗はフォールドを選択した。もちろん、賭けた分は返ってこない。そもそも唯斗は勝てないのだ、レイズするどころか真っ先にフォールドするべきなのである。
ガウェインもさすがにコールとしたようで、同じく金チップを10億としてポットに置いた。もういくらここにあるのか分からなくなってきた。
「ふふ、ではオープンしようか」
そう笑うと、アルトリアの指示で全員カードを開く。唯斗はアクティブプレイヤーではないため公開する必要はないが、一応開いておいた。
結果、アーサーはワンペア、ガウェインはフラッシュだった。