節目と自覚−8
忍耐力は確かに騎士王たるゆえんだが、意図的にそれを解放すると決めたときのアーサーがどうなるか、サバフェス最終日に嫌という程思い知った。
しかしそのことを考える暇もなく、アーサーは唯斗の後ろに濡れた指を差し入れた。
「っ、」
「やはり…きついね」
以前はここまで時間をおいたことはなかった。サバフェスも、確かに体感では3ヶ月もの時間が空いていたが、一方で体は1週間分だけしか過ごしていないことになっていたため、体を繋げてからの空白は2週間程度だったのだ。
特異点探索も、レムナントオーダーはサバフェスを除いて2週間程度で済むものばかりだったため、2ヶ月という期間は初めてとなる。
異物感が勝る感覚に息が詰まり、それを理解しているアーサーは、先ほどまでの獣性を潜め、慎重に進める恋人として丁寧に後ろを解し始めた。
だが、やはり回数はものを言う。空白の期間のせいで少し時間は掛かったが、20分もすればじくじくと疼き、すっかり解れていた。
「…よし、そろそろ大丈夫そうだ。挿れてもいいかい?」
「…ん、きて」
「っ、わかった」
アーサーは起き上がり、霊衣をすべて消失させると、自分のものを唯斗の後ろに宛がった。
ぴとりと縁を広げるように押し当てられたそれに、早くそれを受け入れようとする浅ましいもどかしさが湧き上がる。
そして、ぐっと押し入ってきた感覚に、目がチカチカとする。
「…ッ!は、っ、んっ」
「く…っ、まるで初めてのときのようだ」
きつそうにしながらも、すべてを収めたアーサーは息をつく。
またこうしてアーサーと繋がっている。ここに至るまでの過酷な半年間が思い出されて、つい、唯斗は腕を伸ばしていた。
「アーサー…」
「唯斗、」
アーサーも応じて、体を倒すと唯斗を抱き締める。肌と肌が触れ合い、分厚い体に手を回した。逞しい腕に抱き込まれることで、アーサーの体をすべて感じている。
「アーサー、アーサー…!」
「うん、唯斗、愛してるよ」
「お、れも…」
アーサーはそう囁いてから、腰を揺する。緩い衝撃が脳天まで突き抜けて、途端に息を詰めた。
「っ、ぁっ、」
「またこうして君と繋がれたことは、奇跡であり、努力の証左だ。ふ、っ、唯斗、君が僕の腕の中にいる、それだけで、僕は、幸せだ」
腰を徐々に打ち付けるスピードが速く、強くなっていく。ただの衝撃は、快感に早くも変わっていく。久しぶりという感覚がなくなるほど、すでに唯斗の体は快感を得ていた。
「ッぁあっ、んっ、ぅ、!」
「唯斗…!ふ、っ、はッ、」
「やば、きょう、も、だめ、」
「いいよ、我慢しなくていい。僕も、同じだ」
上り詰める感覚の速さは、久しぶりであるがためだろう。それはアーサーも同じなようで、今日はいつになく、揃って早かった。
もう少し焦らしてより長く繋がることもあり得たが、アーサーは唯斗の体の負担を気にしてくれていて、今日はこのまま揃って達してしまうことを選んだようだ。
「あー、さーっ、ぁッ、イ、く…っ!」
「くっ……!!」
そして一際大きく腰を打ち付けられた瞬間、その衝撃で唯斗は達して、その締め付けでアーサーも中にすべてを吐き出した。
唯斗の吐精は胸元まで飛んでいて、アーサーもいつもより長く中に入ったままだっった。
飛び散った白濁を見て、アーサーはうっそりと微笑む。
「あぁ…素敵だよ、唯斗。たくさん出たね」
「っ、言うな…恥ずいから…」
「かわいいね。今日は僕が洗ってあげよう」
やはり2ヶ月ぶりということで、疲労困憊とした唯斗を、アーサーが洗うと申し出た。唯斗は頷きつつ、中から出ていくアーサーの腕を控えめに掴んだ。
「唯斗?」
「あ…いや…なんか、さびしくて」
「………、今度、本当に覚えておくように。次は寂しさも感じないほど、ドロドロに抱いてあげよう」
ぼう、としていた頭も冴えるアーサーの欲を抑えた低い声に、唯斗は未来の自分に謝る。
この時限爆弾のような彼氏の獣性が解き放たれたとき、多分、唯斗は一歩も動けなくなっていることだろう。