水着剣豪七色勝負−16
広々とした豪華な部屋の中、その一室である寝室に至ってようやくアーサーは唯斗を下ろした。そして、後ろ手に扉を閉める。
「さて唯斗。僕がなぜこの部屋にしたか分かるかい?」
「……分かりません」
「寝室に鍵がかかる部屋にしようと思っていたんだ。まさか水着獅子王の配下で働くことになる上にあんな格好まですると思っていなかったからね。君を取り戻せたら、この部屋にしばらく閉じ込めなければ、と考えたんだ」
「………へっ、」
かなり間抜けな声が出た。今アーサーはなんと言ったのか。
アーサーは立ち尽くす唯斗を正面から抱きしめると、耳元に口を寄せて繰り返す。
「僕は君をこの部屋にしばらく監禁する。何日か、このホテルはおろかこのスイートから出ること自体できないと考えていてくれ」
「監禁て…え、冗談、だよな…?」
「明日にはわかるさ」
そう言って、アーサーはゆっくりと唯斗の体を後ろに追いやる。後ずさるうちにベッドに足が当たり、それ以上は歩けなくなったことで、膝が曲がってベッドに座り込む。さらにそのままシーツに押し倒された。
ようやくそこでアーサーの表情が目に入る。
その翡翠の瞳は、窓から差し込む煌びやかな夜景の明かりを受けていたものの、照明のついていないこの寝室の暗がりでは、どろりとした感情がより一層深く見えていた。
本気だ。本気で、アーサーは唯斗をここに閉じ込めるつもりでいる。
「つい1か月もしないほど前に言っただろう?次は覚えておけと。僕が理性ではなく本能を優先するようになったらどうなるか覚悟しておけとも」
「あ……」
「君は今日からイかされ続けるし、僕に抱かれ続ける。僕以外の人間の声も聞くことなく、僕以外の人間を見ることもなく、僕だけを見て、感じて、受け入れる。数日に渡って繋がることになるし、僕は今まで我慢していたあらゆる行為を試そうとも思っている」
「っ、」
息を呑んだ唯斗に、アーサーは微笑む。優しさはもちろん見えているが、それ以上に、まったく隠さなくなった欲望がダイレクトに向けられていた。
「受け入れてくれるね?」
「え、と…」
「…唯斗」
アーサーは体を倒して唯斗の耳元で直接囁く。その声が脳内にダイレクトに響いて、ほかならぬアーサーに監禁された上に数日間好き勝手され続けるという事実をようやく知覚する。
その瞬間、唯斗はそれだけで下腹部に熱が溜まるのを感じた。
それを理解して、思わず笑いたくなってしまった。
この状況にまんざらでもないと思っている自分も大概だ。思えば、もともとアーサーにはM寄りだと指摘されていた。今まで実感はなかったが、ようやくどういうことか分かった。
「お、れも…全部、アーサーに、支配されたい、っていうか…頭のてっぺんから足の先まで、アーサーのモノにされたい、かも…」
「…ふふ、知ってるよ」
アーサーはそう恍惚としたように笑うと、唇を重ねて舌をねじ込む。性急なキスは一気に快感を高め、ぞくりと震えてしまう。
唯斗の礼装を手早く脱がせたアーサーは、上半身の肌を撫で上げる。
「…手始めに、乳首だけでイってみようか」
「っ、本当にそんなん、できんの」
「君ならできるとも」
特に嬉しくもなんともない期待だが、アーサーは微笑んでから唯斗の胸元に顔を移す。
そして、舌を出すと唯斗の乳輪をなぞるように円を描いて舐め始めた。中心には触れず、焦らすように周囲だけ舐められて、唯斗はアーサーの腕に縋る。
「ちょ、アーサー…んっ、」
「うん?なんだい?」
「っ、」
とぼけたように聞き返してから、今度は反対側でも同じように色づいた輪だけを舐めとっていく。もどかしさに腰が揺れると、アーサーは礼装のズボンだけ片手で器用に脱がし、そして下着越しに唯斗のものを膝で押し上げた。
「っあッ、ん、はっ、アー、サー…!」
「どうして欲しいか言ってごらん?」
どうやらアーサーは唯斗に行為を言わせたいらしい。試したいことの一つだろう。
顔に熱が上がり口吃るが、恐らく言わない限り開放してくれないだろう。膝で押される自身はそれだけで達しそうなのに、半端な刺激にとどまる。
「う…あー、さ…」
「うん」
「っ、ちゃん、と、いじって」
「どこをどうやって?」
精一杯そこまで言ったにも関わらず、アーサーはそれでは許してくれないらしい。まったく触れられていない胸の中心は焦らされて熱が集中しきってしまっている。
頭が茹だるような気がして、唯斗はついに、羞恥心などをすべて破って口にした。
「むね、先まで、ぜんぶ、めちゃくちゃに、いじめてほしい…!」
「…っ、いいだろう」
アーサーは欲の滲む声音で言うと、そのまま右側の乳首全体を口に含んだ。一気に生暖かいものに包まれて舐め上げられる。それだけでびくりと震えたが、さらに、アーサーは乳首の先に歯を立てた。
最初は甘噛みからはじめ、すぐにぎゅっと強く噛まれる。痛みを感じるはずなのに、ジンとした強い快感が胸板から下半身に殴りつけるように広がった。
「ッッ!!」
声を発することもできないまま、その衝撃にのけぞった。アーサーにとっても急な動きだったため、唯斗がいきなり上体をそらしたために乳首はアーサーの歯の間から引っ張られ、さらに強すぎる刺激が走る。
気づけば視界にチカチカと星が舞っていて、一瞬頭が真っ白になっていた。
「…はッ、ぁっ、ッ、はっ、」
「……乳首だけでちゃんとイけたね」
アーサーの言葉でようやく視界が正常化し、ピントが合う。視線を向けると、下着が濡れて布地から白濁が滲み出ていた。どうやら、本当に乳首だけで達してしまったらしい。
アーサーはいたわるように咬まれた部分を優しく舐めたが、その刺激も依然として強く、びくりとする。アーサーは体をずらして唯斗と顔を近づけると、唯斗の頭を撫でた。
「いい子だ」
そんな言葉とともに撫でられると、なぜか褒められることを達成したような気になって、嬉しくなってその手に擦り寄ってしまう。