創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラI−7
戦力を増やすために北の山岳に向かったはずだったが、結果はプラマイゼロとなってしまった。
まず、哪吒がこの異聞帯の哪吒と接敵し消失。さらに、この異聞帯を担当しているらしいペペロンチーノとも一瞬だけ相まみえた。
しかしそのあと、シヴァ神とパールヴァティーの子供であるガネーシャ神が疑似サーヴァントとなった英霊と出会い、多大な説得の末に協力を取り付けた。
ガネーシャ、というよりその人格である依り代の人間はカルナと縁があったようだが、本人はあまり詳しいことを語らなかった。カルナも、ガネーシャの依り代と縁があることは理解していながらも、思い出せないことを気にしているようだ。
いずれにせよ、哪吒を失った代わりにガネーシャを仲間とした上で、一同はアーシャに教えてもらった洞窟に戻って夜を明かし、翌日を迎えた。
「…いや、なんだこれ」
唯斗は洞窟の外に広がる光景に目を見張る。
水源も蓮もなく、大地は渇き砂が舞っている。まるでインド全域がラージャスターンの砂漠と化しているようだ。
いや、砂漠というより荒れ地の方が正しい。生命の気配が薄れ、荒廃した世界となっている。
「……末法、って感じだな」
「末法?世界の終わりみたいなやつだっけ?」
唯斗の隣で辺りを見渡す立香が首をかしげる。三蔵もたまに口にしていた言葉だ。
「あぁ。仏教用語だけど、インド思想にも残ってる。ユガは、4つのユガを経ていく度にだんだん徳と罪の割合が変わっていくんだ。クリタ・ユガは徳100%の世界で、そこから4分の1ずつ徳が減って罪が増えていく。そしてカリ・ユガには、徳が4分の1、罪が4分の3となる。仏法が力をなくした終末状態を末法といい、その考え方の根幹となったのがこのカリ・ユガの姿だな」
「なるほど…世も末ってやつだ」
「そういうこと」
まさに世界が終わりそうな光景だ。
カリが襲撃することになっている日ということで、早速一同はこの荒れ地と化した大地を進み、ビーチュの町へと向かった。
なるべく急いでやってきたつもりだったが、ビーチュに入ったときにはすでに、一度目の襲撃のあとのようだった。市街地は壊滅状態、大半の家が崩壊しており、宮殿のような中心部の建物も半壊している。荒れ果てた町の中、家をなくした人々が次の襲撃までに祈る場所を見つけようと右往左往していた。
その中に、アーシャとアジャイの姿も見つける。
「アーシャちゃん!」
「あ、お兄ちゃんたち!」
立香が声をかけると、アーシャは顔を輝かせて駆け寄ってくる。
マシュもほっとしていた。
「良かった、無事だったんですね」
「うん、でも家が壊れちゃって…今、おばさんに家に入れてもらえるか頼んでるところなの」
どうやらアーシャたちは家をなくしてしまったらしい。次の襲撃までに建物に入れなければ極めて危険な状態だ。しかも、この日はひっきりなしにカリが押し寄せてくるらしい。
そこへ、早速カリたちがやってきた。第二波の襲来に、人々は悲鳴を上げて逃げ惑う。なんとか親戚の家を頼れることになったらしいアーシャは、ヴィハーンを抱きかかえ、アジャイと一緒に建物の中へと入っていった。
そうして、再びカリとの戦闘に入る。
アーシャが言っていた通り、昨日とは比べものにならない数のカリだ。唯斗はアーサーとエミヤ、アーラシュも加えて広場より南側を担当し、立香とラーマ、カルナ、ガネーシャ、マシュは広場より北側を主に掃討する。
完全に持久戦となっていたが、そこへさらに新しい敵が急転直下、広場にやってきた。
「あぁ!?知らねえ神気を感じて来てみれば、こりゃどういうことだぁ!?ふざけんな、腹が立つ。あぁ怒りが収まらねぇ。なんでお前がここにいるんだよ、カルナ!!」
「……お前か、アシュヴァッターマン」