創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラI−8


現れたのは、マハーバーラタにおいてカウラヴァ側の戦士として登場し、カルナの師の息子にしてカルナの友として描かれるアシュヴァッターマンだった。
色黒の肌に燃えるような赤い髪、そして巨大な輪状の武器。

マハーバーラタでは、カルナと同列かそれ以上に優れた戦士として知られる。

大量のカリと一角獣が押し寄せる状況で、さらにサーヴァントとの戦闘は芳しくない。だが、事態はさらに悪化する。


『待った、また何か町の外から来るぞ。複数の…これは、サーヴァント!』


通信でホームズが焦りを露わに警告する。この状況でさらにサーヴァントが増えるというのだ。
直後、広場に上空から着陸する3騎のサーヴァント。


「へっへ、どうやら時間切れらしいぞう、アシュヴァッターマン」

「非推奨/遊戯の続行。無意味だ」

「同意しよう、実に無意味だ。僕らがここにいることもな」


現れたのは、前日に山で見かけた金髪で肌も黒くなっていた哪吒、そしてゲルマン系らしいボウガンを構えた男と、長い髪にだぼついた服装をした男。
なんであれ、少なくとも哪吒の強さは理解している。


「っ、戦闘態勢強化、交戦します!」

「おっと嬢ちゃん、俺たちに戦う気はないんだ」

「っ!?」


盾を構えて警戒するマシュに、弓兵らしい男はそう気楽な口調で言った。それを見てアシュヴァッターマンは苛立ちを深める。


「チッ、腹が立つなおい!結局てめぇらも来んのかよ!」


彼らの到着とともに、カリたちは姿を消していた。持久戦でこそなくなったが、サーヴァントが4騎、敵対する関係にいるとなると状況は改善してはいない。
一時召喚のエミヤとアーラシュはいまだに瓦礫の上から弓を構えたままだ。さすがに戦力としては厳しい。それに、昨日からサーヴァントたちにかかっている負荷はさらに強まっているようだ。

立香は戦う気はないと言った男に問いかける。


「じゃあ、目的はなんだ!」

「彼が来るというからお供でついてきただけだ。無意味っちゃあ無意味だが、彼には従わんとな。なぜなら、このインドに存在する唯一の神であり、そして最後の神だからだ」


その直後、エミヤとアーラシュがすぐに降りてきた。ひどく慌てた様子だ。


「マスター、ありゃまずい。直感だが、ラスボスってやつじゃねぇか」

「撤退を推奨する」


アーラシュの直感なら、恐らくそれは正しいだろう。何よりあのアーチャーもそう言っていた。
このインドの唯一神なる存在が降臨するというのだ。場合によっては、この異聞帯の王である可能性も高い。
ならば、この場面では撤退という手段しかないだろう。唯斗はいったんアーラシュたちをカルデアに戻して、くすんだ空に出現した巨大な飛行船のようなものに視線を向ける。

ヴィマーナ、古代インドに語られる空飛ぶ乗り物の総称であり、空を飛ぶ寺院、宮殿、要塞、戦車など様々な形態を取って描かれる。
そのヴィマーナの上に乗った存在を見て、カルナは張り詰めた空気を纏う。


「…俺が見紛うはずもない。断言しよう。ヤツは、アルジュナだ」

「アルジュナ!?あれが!?」


灰色にくすんだ肌、長く白い髪、2本の角、姿はあまりに変わっているが、カルナが言うならそうなのだろう。
アルジュナはヴィマーナの上に泰然と佇み、そしてビーチュ上空で止まった。高度は100メートルほどだが、不思議と、その声はこちらにしっかりと聞こえてきた。


「…否。かつては…アルジュナと呼ばれる者であったかもしれないが…私は…神だ」

「っ!なんだこの、総毛立つ感覚は!」

「た、確かに、ぞわぞわするっスよぉ…!」


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