創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラI−9


ラーマとガネーシャは一気に緊張感を高める。アーサーも、エクスカリバーを握る手に力が入った。
アルジュナはこちらを睥睨する。


「外より来たる…パールヴァティーの子…ヴィシュヌの化身…そしてスーリヤの息子…カルナ。それだけ、か」

「おいおい、わざわざ来ておいてそれだけかい」


アーチャーは呆れたように言い、もう一人の男もため息をつく。
アルジュナはすでにこちらへの関心をなくしていた。


「…今の私にとっては…この眼下に散見するもの…すべて、等しく…不出来にして、未熟にして、無価値らしい」


その言葉に、カルナの敵意が跳ね上がった。なんであれアルジュナに言われる言葉としては、カルナにとってまったく看過できないだろう。


「完全なる世界に…在るべきではないという意味で…それは、邪悪だ…不出来なものを、神は見た。次のユガには、不要なり」


そう言った瞬間、アルジュナに向かって急激に莫大なエネルギーが集積し始めた。光が集まり、立ちこめる黒煙を照らす。
通信からは、ムニエルの焦った声が聞こえてきた。


『まずい!あれはマジでまずい!』

『あれは宝具などという言葉では説明できない。こちらの観測機器がオーバーフローを起こしている!』


スカディは、その権能を世界の維持に当てていたため、ほとんど戦う力を残していなかった。しかしこのアルジュナは、まさにすべてのインドを管轄する唯一神としての権能を有している。
圧倒的なエネルギーを前に、アーサーは唯斗を振り返った。


「…マスター。あのエネルギーは駄目だ。すぐにボーダーに戻って虚数潜航を行うべきだ」

「え…今すぐにか。それは…まずいな」


アーサーがここまで言うのならば、そうすべきだ。しかしここからボーダーの待機しているところまで、本来数時間を要する。
アシュヴァッターマンたちが、何よりあの神であるというアルジュナが許すとは思えなかった。

しかし、カルナは果敢にもアルジュナに声をかける。


「俺に意識を向けろアルジュナ!武器を取れ!でなければこの槍が卑怯の槍となる!」


そのカルナの言葉は、聞こえているはずなのに、アルジュナは何ら反応を示さなかった。普段から感情の上下に乏しいカルナが、その気配を怒りに歪ませた。
一方、ラーマは事態の重さを理解しており、宝具を解放する。


「カルナ、悪いが余はヤツを敵として見なし攻撃態勢に入る。マスター、許可を」

「お願い!」

「よし。羅刹を穿つ不滅(ブラフマーストラ)!!」


ラーマはヴィシュヌの権能を部分的に解放し、そのエネルギーを輪のようにして放つ。まっすぐにアルジュナを直撃したエネルギーの塊はしかし、儚く霧散した。
あれはインド神話の最高神の力だ、それすらを弾くとなると、唯斗は愕然とする。


「…多神教世界のインドにおいて、ヴィシュヌの力を持った宝具すら弾いたなら、あれは本物の唯一神、なのに、このインドと矛盾しない…あぁそうか、シヴァ神はもういないのか、だからマーラが特異点を…」

「唯斗…?」

「…立香、撤退だ。すぐにボーダーに戻って虚数潜航する。ホームズ、聞こえてるな。すぐにこっちにボーダーを走らせろ。あれは真に唯一神。なら、これから…文字通り、世界が滅びる」

「さっすが唯斗ちゃん、その通りよ。あれはこのインドの神性すべてを統合している超存在なんだから!」

「なっ、!?」


すると、そこに突如として背の高いケバケバしい男が現れた。スカンジナビア・ペペロンチーノ、昨日山で見かけて以来となる。


「急いで逃げなさい。でないと、すべてが終わるわ」


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