創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラII−9
アルジュナの傍には、コヤンスカヤが蛇蝎のごとく嫌っているアルターエゴがいるらしい。異星の神の使徒3騎にあたる1騎であり、そのアルターエゴが唆したことで、アルジュナはビーチュの反乱市民を駆逐したようだ。
それにあたり、ラクシュミーは自分を責めた。唯斗とペペロンチーノが事前に予想していた通り、彼女の中にいる神性はアラクシュミーなのである。
女神ラクシュミーの姉であり、不運や不幸を司る。アルジュナもさすがに、不幸の神は取り込まなかったようだ。
そのため、アラクシュミーは取り込まれた妹ラクシュミーを救出したいという思いで、その権能のみをラクシュミー・バーイーに託した。
自分を責めるラクシュミーだったが、彼女の不運はカルデア全体に影響するものではなく、もたらされる結果はすべて個々の実力によるものだとラーマが説いたことでなんとか納得し、引き続き力を貸してくれることになった。
その後、ラーマの見立てでアシュヴァッターマンと対峙することにした一同は、5日かけてヒマラヤ近くの山岳地帯に移動し、そこでアシュヴァッターマンと会敵。
アシュヴァッターマンはクリシュナの呪いをアルジュナから付与されたことで、シヴァ神の不死性もあって、死ねないのに死ぬほど苦しい呪いに苛まれ続けていた。
その呪いをラーマが引き受けたことでアシュヴァッターマンはアルジュナの支配下から抜け出し、カルデアに合流。
そして、アシュヴァッターマンの提案で、アルジュナの神性を下げるために、この世界創変を僅かでも否定できれば、あるいは否定できる何かが「在る」という瑕疵があれば、その神性を低下させられるとのことで、ガネーシャとラクシュミーがこの作戦を実行することになった。
その作戦とは、シヴァ神の力とこの異聞帯のめちゃくちゃになった時空を乱用することで、ガネーシャとラクシュミーをアルジュナによるユガの始まる前の過去まで送り、そこから現代に至るまで存在し続けることで、アルジュナを神の中の神たらしめる天地創変のすさまじさを劣化させるというものだった。
「…あのさ、本当に大丈夫?」
トレーター・ユガの初日、インド異聞帯17日目。
少し枯れた様子の平野にて、ガネーシャとラクシュミーを過去に送るべく、アシュヴァッターマンは準備を始める。
そのガネーシャに、立香は何度も大丈夫か尋ねていた。
「何回も聞きすぎっスよ!へーきへーきっス!」
「私からも問いたいほどだ。貴殿は宝具を展開し続けるために、意識を保っていなければならない。数千年もの間、意識を保って閉じ込められ続けるというのは…神といえど発狂するぞ」
「…本当に大丈夫っスよ。それに、うまく行けばもしかすると、っていうマル秘情報もアシュヴァッターマンさんに聞いちゃったっスから」
「それはテメェらが無事に帰ってきて、しかもうまく行けばの話だっつっただろうが!
マハーバーラタの戦いが起きたのは、少なくとも紀元前1000年以前のこととなるため、最低でも3000年は耐久することになる。いくら引きこもりニートを自称するガネーシャであっても、あまりに過酷だ。しかし、他に方法もない。
するとそこに、アルジュナがアシュヴァッターマンの離反に気づいたのか、大量の聖獣がやってきた。この数は、インド全域の聖獣にも匹敵するかもしれない。
そこでラクシュミーは、女神アラクシュミーがカリの2番目の妻だったとされるという神話の力を用いて、カリを呼び出した。大量のカリが聖獣とぶつかり、平原は瞬く間に怪物同士の大戦争となる。
「ギルガメッシュ!オジマンディアス!」
「ワルキューレ!スカディ!」
唯斗と立香の声が重なる。
押し寄せる聖獣たちに、とにかく範囲攻撃を行って時間を稼ぐしかない。アシュヴァッターマンもガネーシャもラクシュミーも動けず、ラーマも呪いによって存分には動けない今、カルデアからの英霊だけが頼りだ。
唯斗はギルガメッシュとオジマンディアスを呼び出し、立香はワルキューレとスカディを呼び出す。