創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラII−10
「何度も悪い、オジマンディアス」
「よかろう」
「おい貴様、我を中国でこき使ったときには然様な殊勝な態度をしなかったであろう」
王様二人というのは少し魔力の消費が多いが、ここが踏ん張りどころだ。
「神性選手権インド編ってことで、頼む」
「フハハハハハ!!この神王ファラオの威光、遠くヒンディースタンにも知らしめてくれよう!!」
「四大文明の頂点を決めるというわけか。良いだろう、我が魔杖の餌食にしてくれる」
唯斗の言葉に、ノリノリでオジマンディアスはメセケテットを出現させ、大軍を焼き尽くす。莫大な炎が平原をなめ回し、その業火の輻射熱がこちらまで暑くする。
ギルガメッシュも、大量の門を開いて魔杖からの光線の雨を降らせた。
一方、スカディはワルキューレの攻撃力を支援する。
「この古代王たちに負けていい道理はなし。汎人類史の戦乙女よ、その力を見せるがいい!」
「マスターの命令、および女神スカディからの支援を確認。問題ありません」
スルーズは立香、スカディそれぞれに応答すると、上空へと一気に舞い上がり、そこから仮想のワルキューレたちを出現させる。ヒルド、オルトリンデも同じく複数のワルキューレたちを従えて上空で同期していた。
直後、大量の光槍が聖獣たちに降り注ぐ。
コヤンスカヤは、「神造兵器決定戦か何か?」とドン引きしていた。
範囲攻撃をするサーヴァントたちに対して、ラーマとマシュ、アーサー、コヤンスカヤは接近する個体と戦っている。
一方、準備が終わりつつあるのを見た唯斗は、最後にガネーシャに声をかける。
「ガネーシャ」
「なんスか?」
「…以前、第五特異点でも、俺たちはカルナに会ってるんだ」
「…、」
続きを促すガネーシャに、唯斗はアメリカでのことを思い返して続ける。
「ぶっちゃけ朴念仁、って感じの態度だったけど…あいつ、ほっとけないヤツに似ている、って理由で、当時俺たちにとっては敵対する勢力の一つだったサーヴァントについていた。その『ほっとけないヤツ』とやらの話をするときに、カルナ、笑ってたんだ。人並みの感情はある、なんて言ってたけどな」
「…そ、うっスか」
少し顔を赤らめて頬をかくガネーシャ。あのときは、いったいカルナが誰を思い浮かべていたのか判断がつかなかったが、今なら分かる。
きっと、過去にガネーシャはカルナのマスターだったことがあるのだろう。だからこそ、カルナもそれを記憶にないながらも記録しており、ガネーシャを特別視していた。
「…頼んだ、ガネーシャ」
「……了解っス!教えてくれてありがとね、唯斗君」
「おい準備はできたか!?できたな!?」
そこに、アシュヴァッターマン、ラクシュミーの準備が終わったことが報告される。ガネーシャも大丈夫そうだ。
ユガの前からずっと「在り続ける瑕疵」であるもの。その正体は、17日前にここを訪れたときから知っているものだ。
あそこにカリが集まっていたのも道理である。
そして、ガネーシャとラクシュミーは光に包まれて、忽然と姿を消した。無事に過去への転移が完了したようだ。
「あとはこのカリと聖獣の群れか…!」
「キリがありません!」
最も重要な工程は完了した。しかし、恐らく全インドの聖獣が終結しているのであろう平原は、もう一分の隙もない。
しかも、アルジュナはさすがに気づいたようで、ヴィマーナによる移動を開始した。追いつかれては一巻の終わりだ。
しかし今度は、カリたちを跳ね飛ばしながら巨大な車体が爆走してきた。12輪の車輪で岩場もカリもものともせず粉砕し、颯爽とこちらに近づいてくる。
『早く乗り込まんか!!』
なんと、ゴルドルフが運転している。恐らくムニエルとダ・ヴィンチは機関部に集中し、手の空いたゴルドルフが運転を代わっているのだろう。
「マスター!行くよ!」
「了解!」
立香はマシュが、唯斗はアーサーが抱えてボーダーに向かって走り、そしてカリたちを飛び越えてボーダーの甲板に着地した。
ギリギリまで戦ってくれていたカルデアの英霊たちを戻してから、コヤンスカヤたちも乗り込み、ボーダーは猛スピードで南西を目指す。
その先には、泰然と空に聳える神の空岩が見えていた。