創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラII−19


立香とマシュは、これまでクリプターと積極的に戦闘に臨んできたわけではなかったが、それでも戦う意思は示していた。
ペペロンチーノは、あまりに立香たちにとって、優しすぎた。

唯斗は代わりに一歩前に出る。ペペロンチーノはにっこりと微笑んだ。


「あなたはそうよね、唯斗ちゃん」

「唯斗さん…!?」

「マシュ、立香。俺たちがペペロンチーノを大事に思うのと同じくらい、ペペロンチーノは、クリプターたちのこと…オフェリアやカドック、虞美人…芥ヒナコのことも、大事に思ってた。いや、いざとなれば切り捨てられるんだろうけど、そうせずに筋を通すことを選んだんだ、こいつは。なら、俺たちこそ理解できるだろ。絶対折れないって」

「いやん、照れちゃう。それに泣いちゃう。本当にいい子になったのね。自慢の彼氏でしょう?騎士王さん」

「なっ、」


こんな場面でも調子を崩さないペペロンチーノに、唯斗はさすがに動揺する。アーサーは少し呆れたようにしつつも、警戒を緩めず剣の切っ先をぶらさないまま、不敵に笑った。


「もちろん世界で一番、自慢して回りたい恋人だが、ライバルが多くてね。マスターが取られてしまわないか気苦労は絶えないとも」

「ちょ、アーサー…!」

「いいじゃない!眼福なカップルよね。さて…そちらはどうかしら?マシュちゃん、立香ちゃん」


なんにせよ、唯斗は戦う意志を示した。一方、立香とマシュはまだ迷っている。
ならば、まずは限界そうなカルナからまずは話をつけることにする。


「ペペロンチーノ。先にカルナを」

「そうね。あなた、もうギリギリでしょ?気力だけで現界を維持してるものね」


そう、カルナの霊基はアルジュナ・オルタとの激戦と宝具の最大火力展開によって、すでに消失しかかっていた。気力だけで踏ん張っているのだ。


「えっ、カルナ…!?」

「すまないマスター。実のところ、消滅しかかっている。しかしこれは借り物だ。だから、返したいと思う。何よりヤツがそう望んでいる」

「そう、なんだ。アシュヴァッターマンに…まぁ、確かに、施しの英雄が施されっぱなし、とはいかないか」


カルナの霊核そのものはアシュヴァッターマンのものだ。そのため、カルナは霊基をアシュヴァッターマンに返してから退去するつもりらしかった。立香はカルナとも付き合いが長いため、しょうがない、というように小さく笑う。
ガネーシャは、寂しそうにしながらも、諦めたように笑った。


「カルナさん…ここで筋通すとか、マジあり得ねー。空気読めー」

「すまん」

「素直だし。ま、それがカルナさんっスから」

「俺としては、そのガネーシャのかぶり物をしたお前と、また共に戦う機会があるような気がするな」

「あーだめだめ!現実になっちゃうっスから!僕はバトルキャラじゃないんスよ!…まぁ、でもいっか。それはそれで……じゃ、さよなら」

「ああ」


短く最後に挨拶を済ませると、カルナは微笑んで退去した。同時に、入れ替わってアシュヴァッターマンが出現する。


「あーむかつくぜ。貸してたもん返されちまった」


巨大な戦輪チャクラムに炎を纏い、赤い髪をオールバックにしてシヴァの第三の目のような魔力帯を額に現していた。


「状況は見てた。約束通り、あんたの代わりに怒るときが来た、そうだな」

「そうしてくれると助かるわぁ」

「あ?お願いじゃねぇ、命令しろ、マスター」

「…ふふ、じゃあ命令よ。私の怒りっぽいサーヴァント」


ペペロンチーノはそう言ってから、立香たちに改めて向き直る。ここに来てサーヴァントが現れたことで、ガネーシャ、全快したラーマ、ラクシュミーもアーサーに並んだ。


「さあ、あとはあなたたちだけよ、立香ちゃん、マシュちゃん。ここまで来た責任を果たしなさい」

「…責任、か」


立香はその言葉にハッとする。そして、マシュと目を見合わせた。


「ええ、先輩。責任と言うのなら。やらなければならないことだ言うのなら。私たちだって、退けません!」

「行こう!唯斗、唯斗はアキレウスとアーサーと一緒に空想樹の方をお願い。結構やばそうだ」

「…了解。じゃあなペペロンチーノ、できれば生きてまた会おう」

「もォ〜、ふてぶてしくなっちゃって!」


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