神代巨神海洋アトランティスI−11


その後、マンドリカルドの案内でやってきた神殿は、まさにオーバーテクノロジーと言える様相だった。外見こそギリシア神殿だが、中身はSFか何かのようだ。
そこで、テオス・クリロノミアというナノマシンがネモに投与された。

ギリシア語ではθεός κληρονομιάと書く。テオスは「神の」を意味する言葉であり、ラテン語ではテオドロス、ドイツ語などではテオドール、英語ではセオドアに変化する人物名の語源である。θのラテン文字表記はthのため、ドイツ語やフランス語ではタ行に近い発音となるものの、英語では前歯に舌先を当てるサ行になる。
クリロノミアは「遺産」を意味する言葉で、頭のギリシア文字κ(カッパ)は英語のkやcにあたる。なお、χ(カイ)もクと発音できるが、こちらはkhやchと表記される方であり、厳密には発音が異なる。たとえば、Christ(キリスト)のキはχの方であり、これがクリスマスをXmasと書く理由だ。

そうしてある程度回復し意識を取り戻したネモだったが、まだ本調子ではなく、再びノーチラスを外殻として纏うためには更なるテオス・クリロノミアの摂取が必要だった。しかし、この神殿では今回限りということになってしまい、別の島に移動することになった。

同じタイミングで、神殿にて防衛軍兵士とも会敵してしまったこともあり、アルテミスに見つかる前に、急いでこの島を離れる必要もある。

そこで、バーソロミューのロイヤル・フォーチュン号によってボーダーを曳航することになり、一同は海岸へと移動。ムニエルたちと合流し、バーソロミューはボーダー曳航のために準備を行う。
ダ・ヴィンチとホームズはテオス・クリロノミアの解析、ネモたちスタッフはボーダーのできる限りの修繕、そしてマスター二人は休憩が言い渡される。

唯斗はアーサーをバーソロミューの手伝いに行かせて、自分はどうしようかと思いながら通路を歩いていた。
立香とマシュはマスターの部屋にいるため、そこに合流してもいいのだが、二人の間に入るのも気が引けた。手伝いをするにも断られてしまうだろうし、適当な通路で考え事でもしようか、と思っていると、通路の先にマンドリカルドの姿を見つけた。


「ああ…えっと、唯斗か」

「マンドリカルド?どうかしたのか」

「いやぁ…えっと、なんか手伝うこととか、あるっすかね」

「俺も手伝えることなくて手持ち無沙汰だったからな、特に何も…あ、そうだ」

「お、なんすか」


手伝えることがあるのかと顔を輝かせたところ悪いが、唯斗はマンドリカルドに、きっと彼が思っているのとは違うであろうことを提案する。


「俺の暇つぶしの手伝いしてくれ。具体的には、文献に残ってないタタール人の話とか」

「え…えっ!?俺と世間話ってことっすか!?」

「そんな驚くことか…?」


やたら驚愕するマンドリカルドにこちらも驚いてしまう。マンドリカルドはあたふたとしてから、なぜか訝しむように唯斗を見遣る。


「…俺、陰キャっすよ。コミュ力低いし…俺と話してもぜってー楽しくねぇと思うんすけど」

「それはこっちの台詞だけどな。俺もコミュニケーション能力は全然だし、カルデアに来て立香と出会う前は友達とかいなかったしな」


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