神代巨神海洋アトランティスII−1


なんとかアルテミスの砲撃を躱したカルデアは、次の島、ヘカテ島にやってきた。
その道中と島での探索の過程で、ヘラクレス島での出来事を振り返り、この異聞帯に対して認識を新たにする。

住民を巻き添えにしてでも島ごと吹き飛ばした神、そしてそれを喜んで受け入れた住民。
彼らの言葉をそのまま受け取れば、何らかの理由でオリュンポスを追放され、この海で数百年を過ごした者たちということになる。

イアソンもまた、汎人類史とは「神への認識」が異なるのだろうと述べた。

何にせよ、アルテミスをどうにかすることは必須の課題となってしまったわけだが、宇宙空間に滞在する宇宙船を撃墜するためには、アーサーのエクスカリバーを使うのはアーサーを宇宙空間に運ぶ必要があることから現実的ではなく、やはりオリオンが地上から矢を射るほかないという結論に至った。問題は、どんな矢を使うかだが、それは追々検討していくことになる。

また、ヘカテ島での探索では、新たなことも判明した。
まず島の組成だが、探索に同行したネモ・プロフェッサー曰く、宇宙船が墜落して、その残骸に土が滞積して島を形成したと考えられるとのことだった。
やたら機械的な景観が残っていたのはそういうことらしい。

問題は、それがどのようにしてギリシア神話と結びついたかだ。トリトンの権能は、父がアルテミスのようなメカニックな見た目ではなかったと主張しているそうである。
ただ、少なくともこの異聞帯ではアルテミスは宇宙船の姿をしており、そしてこの海には宇宙船の残骸が島となっている。
もし島々の名前がそのまま神を示していたのだとすると、ギリシアの神々は、もとは宇宙から来た機械生命ということになってしまう。
あまりに突拍子もないし、そもそもカルデアにいたギリシア神話の神霊サーヴァントもそんなことはまったく口にしていなかった。アルテミスだって人間味があったし、エウリュアレやステンノもそうだった。
汎人類史と異聞帯との違い、と言うにはあまりに異様すぎるため、この点は後回しとなる。

もう一つ判明したことは、次のデイモス島に新たな手がかりがあるということだった。
ヘカテ島にはメディアを含むサーヴァントたちが滞在していた形跡があり、そこに残された記録から、イアソンは次の目的地をデイモス島に設定し、今はその航海中だ。

爽やかな海の風を受けながら、唯斗はロイヤル・フォーチュン号の甲板の縁で肘をついて水平線を眺めている。
アーサーはいつも通り隣で同じように立っているが、唯斗のように縁に凭れるようなことはなく、こんなときでもしっかりと立っている。


「実に絵になる光景だね。生前のこの船ではあり得なかったものだ」


そこに、バーソロミューがやってきた。一通り、宝具であるこの船に伴っている海賊たちに指示を出し終えたらしい。黒髭と違い、彼らには人格がない。恐らくは海賊としての知名度によるものだ。


「?大西洋はむしろお前の庭だろ」

「ははは、驚いた。いや、不自然ではないけれどね。彼はいつもこうなのかい?キングアーサー」

「そうだね、自分の魅力にとんと疎い。だからこうして一時も離れず傍にいないと、君のような悪い虫が寄ってきてしまう」

「おや、これは心外だ。合意は必ず取るよ、私は規律を尊ぶ海賊だったからね」


バーソロミューの言葉に対して唯斗が返した言葉は、彼にとっては面白おかしいものだったようだ。隣のアーサーも少し呆れつつ、バーソロミューが近づいてきたことで、少し唯斗の傍に体を寄せた。初対面のときのことをまだ忘れていないらしい。


「それにしても海風によって前髪が目に掛かる様がとても良い。常に隠れているものが海風でちらりと見えてしまうのがベストだがこれはこれで…」


一方、バーソロミューはおもむろに早口でそんなことを言い出した。なんの話かてんで分からなかった唯斗だが、とりあえず気持ち悪さに自分からもアーサーに近寄った。


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