神代巨神海洋アトランティスII−14
「…詳しいことは聞かない、碌な目に遭わなさそうだからな。だから、お前を打ち倒すしかないんだろ」
「カルデアの立場ならそうだろうね。しかし、君たちの推察通り、異星の神も数日のうちに降臨する。悪いが、その大事の前に最大の敵である君たちをここで倒し、王手とする」
なんにせよ、やるべきことは変わらない。倒さなければならない理由が一つ増えただけだ。根源のために種族そのものを再構築されたら堪ったものではない。
キリシュタリアもここでカルデアを滅ぼすことには変わりないようだ。
イアソンは唯斗とキリシュタリアの会話が終わったことを理解して、キリシュタリアに向けて口を開く。
「倒すと来たか。いいだろう、受けて立ってやる。それで?手下はどこだ?お友達のゼウス様でも呼ぶか?」
「まさか。君たちを地上から消滅させる程度、私一人で十分だ」
その言葉に、マンドリカルドは木刀を構えて殺気立つ。
「サーヴァントなしで戦闘…!?舐めるなッ!」
「なんにせよ好機…!お館様、参ります!」
千代女も構えて臨戦態勢になる。キリシュタリアは自らの力だけで、これだけの数のサーヴァントを相手にするという。相手が人間ということもありコルデーも参戦する姿勢を見せているが、唯斗は時計塔でのキリシュタリアの名声を思い出していた。
ロードクラスというのは、相手がサーヴァントであっても戦闘できるほどの桁違いの魔術回路と力を持つとされる。それもアニムスフィアの分家であり、時計塔の現役ロードたちすら凌駕するとされた主席の魔術師だったキリシュタリアともなれば、一人で殲滅できるというのも誇張ではないだろう。
「立香、キリシュタリアなら一人でサーヴァント戦できるくらいの実力を持っているはずだ。相手を人間と思って戦わない方がいい、それがロードってやつだ」
「え…わ、分かった」
マシュも複雑そうにしながらも盾を構える。アーサーは聖剣を露わにして戦う準備になっていた。
狭い船上ということもあって、サーヴァントを呼び出して戦うよりは、まずはこのメンバーで戦闘するべきかと思った唯斗だったが、キリシュタリアは優美に微笑んだ。
「
星の形。
宙の形。
神の形。
我の形」
そして詠唱が始まると、キリシュタリアの魔術回路が一瞬、光を放って空中から海へ、大気へ、そして空へと広がっていく。一瞬だったため自信がないが、あれは自らの魔術回路を外界と接続するものだ。
唯斗も一度ロシアでやっているが、あれは直接霊脈に接続したものであり、キリシュタリアのそれは、宇宙空間にまで及ぶ壮大なものだ。
やろうとしていることのスケールの大きさに、唯斗は愕然として言葉を失う。立香がサーヴァントたちに指示を出す一方で、アーサーは無言になった唯斗を振り返る。
「マスター?」
「…、あれは……」
格が違う。その言葉に尽きた。舐めていたわけではないが、あれは、凡夫には理解できない領域のものだったのだ。それを、ようやく今ここで理解した。
「
天体は空洞なり。
空洞は虚空なり」
「っ、アーサー、エクスカリバー解放の準備!」
「な…っ、分かった」
アーサーは驚いたが、すぐに応じて聖剣を解放する議決を開始する。これは攻撃ではない、迎撃だ。
「
十三拘束解放、
円卓議決開始」
『承認。ベディヴィエール、ガレス、ランスロット、モードレッド、ギャラハッド』
「…これは、世界を救う戦いである」
『―――アーサー』
エクスカリバーは黄金の輝きを放ち、莫大な魔力を纏う。一方キリシュタリアは手を頭上に掲げて、詠唱を完遂しようとしていた。
「
虚空には神ありき」
「
約束された勝利の剣!!!」