神代巨神海洋アトランティスIII−19


アルゴーは中央から正面突破で艦隊に突っ込んだ。接舷と同時に立香たちが乗り込んで船員を切り伏せ、マシュが機関部を、マンドリカルドがレーザーセイルを破壊する。

一方、空からはパリスがアキレウスの戦車に乗って援護射撃を行っている。当のアキレウスは左翼方向から艦隊を撃破しており、途中からケイローンとの戦いに入ったことが念話で報告された。
これで最も危険な存在であるケイローンが釘付けになる。

ボーダーは海中から艦隊を攻撃し、エキドナから投下される怪物を仕留めていく。

ロイヤル・フォーチュンは、迷彩機能で隠れたまま全速力で艦隊の横を抜けてネメシス島に向かっているが、途中でアルゴーと合流し、立香たちをこちらに乗せてから再びネメシス島へと向かうことになっていた。
唯斗とアーサーの仕事は、その合流時にフォローすることだが、実際には合流そのものはオデュッセウスに読まれているであろうことから、合流を邪魔する艦船を破壊して立香たちを合流させる手伝いにあたることが主な仕事となるだろう。

戦闘開始から20分、予定では10隻を沈めてから合流する予定だったが、4隻ほどでアルゴーは進めなくなってしまった。思ったよりも艦隊の動きが速い。
唯斗は甲板後方、一段高くなったキャビンで舵輪を操縦するバーソロミューに声をかけた。


「バーソロミュー!予定より早いけど、アルゴーを解放した方がいい!」

「私もちょうどそう直感で思っていたところさ。海賊の直感だ、信憑性は保証するよ」


バーソロミューは涼やかな笑顔でそう言うと、重そうな舵輪を素早く回す。近世の帆船において、舵輪は船の後方に設置されるものだ。それは、舵輪で直接、船体後方の推進舵を左右させて船の動きを変えるためである。飛行機で言えば尾翼にあたるもので、たった一人で舵輪を回して船の動きを変えるというのは、本来とてつもないことだ。
実際、バーソロミューの腕は洋服越しにも分かるほど筋肉が盛り上がって舵輪を勢いよく回しているのが分かる。

船体は大きく曲がり、艦隊へと接近していく。


「オジマンディアス!」

「ようやく決戦か」


甲板に降り立ったのはオジマンディアス。白いマントを潮風に靡かせながら、海の向こうに見えている艦隊を目にとめる。


「アルゴー号に接舷しようとしてる2隻をまとめて消し炭にして欲しい」

「よかろう!」


大きな声で言うと、オジマンディアスは軽く手をかざす。それだけで、どこからともなく巨大なスフィンクスが現れた。

海面を勢いよく駆けていき、そしてアルゴーに接近する船を次々と光線によって破壊、沈没させていく。


「まとめて我がピラミッドで沈めてやってもよいのだぞ」

「追い詰めると今度はアルテミスで辺り一帯をまとめて吹き飛ばされる。適度に交戦しないといけない」

「月女神か。辺り一帯を吹き飛ばすほどの者であったか?」

「この直上、高度500キロ地点に浮遊する衛星軌道兵器だ。驚いたことに、ギリシア神話の神々は宇宙船だったらしい」

「……、余も宇宙船くらいは飛ばしておくべきだったか……」


何を言うかと思えば、そんなところで張り合い始めた。もっと他にツッコミどころはあったが、今はそんなことを言っている場合ではない。

アルゴーは動き始めており、ロイヤル・フォーチュンとアルゴーは合流しようとしていたが、その間に割り込むように10隻ほどの艦船が入ってきていた。
あの速さでは、攻撃するとこちらにも余波が来る。


「ありがとうオジマンディアス、ここからは近接戦に入る」

「唯斗よ。いかに圧倒的な敵であろうと、貴様にはこの神王ファラオがついている。ゆめ忘れるな」

「忘れるわけないだろ、この俺が」

「ふっ、愚問であったな」


何度もオジマンディアスをドン引きさせてきたガチ勢なのだ。オジマンディアスは小さく笑うとカルデアに退去する。
入れ替わりに、唯斗はガウェインと長可を召喚した。


「ガウェイン!長可!」

「ガウェイン、ここに」

「来たぜ殿様ァ!どいつを殺す!?」


甲板に現れた2騎に、唯斗は接舷しようとする艦隊を指さした。


「ガウェインとアーサーはアルゴー寄りに展開して立香たちを誘導。長可はこちら側に近づく船体に乗り込んで暴れてこい。オリオンとバーソロミューは、長可に巻き込まれないようにしながら戦闘してくれ」

「承知しました。異世界の我が王、お供します」

「ああ、行こうガウェイン卿」


アーサーとガウェインはともに跳躍して、こちらに近づく船の上を駆けて次々と飛び移っていき、アルゴー近くまで向かった。
長可は人間無骨を一度回してから、獰猛な笑みを浮かべて迫る艦船に目を向ける。


「殿様の道を塞ぐたァいい度胸じゃねェか…!」


そう言って、長可は一息にジャンプして近くの船に飛び移った。そして、甲板にいた敵兵たちをまとめて槍で薙ぎ払う。

バーソロミューは舵輪から銃を取り出し発砲していく。上空からはパリスが援護してくれていた。
オリオンはポセイドンの力である海面歩行の力によって直接海上に降りて、エキドナから放たれたケルベロスとの戦闘を始めた。


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