星間都市山脈オリュンポスI−11


「オジマンディアス!」

「…これは、」


オジマンディアスは瓦礫に降り立つと、周囲の状況に顔をしかめ、そして浮遊するデメテルに目を見張る。さすがのオジマンディアスにとっても、これは大変な出来事だと理解したようだ。


「大地母神デメテル、その真の姿か。なるほど、異質な文明だと思っていたが…して、どうする唯斗よ」

「メセケテットを思い切りぶつけてくれ、あの位置から…」


マシュをちらりと見れば、マシュはすぐに唯斗の聞きたいことを理解して代わりにオジマンディアスに告げる。


「あそこから3時方向に500メートルです!」

「いいだろう、ギリシアの神よ。我が業を見せてくれよう!」


オジマンディアスはデメテルの左側に燃えさかる巨大な船を出現させると、それを思い切りデメテルに直撃させた。
デメテルの船体を押し出して、ビルの瓦礫を溶かし、周囲の炎を一体化していく。山のように巨大なデメテルの球体は少し動いたものの、100メートルほどでメセケテットの方が押し負けた。


『もう…諦めなさい』


さらにデメテルは、その下部にある顔のような瞳から光を放った。マシュは瞬時に盾を立香と唯斗、武蔵、ホームズの前に構える。

そして、その光線はまっすぐカルデアを直撃する。マシュの盾によって唯斗たちは防がれたが、衝撃波によって周囲の瓦礫は一気に吹き飛ばされ辺りは更地と化し、さらにビル街を突き抜けていく。
爆風と耳を劈く轟音が止んでから、恐る恐る目を開くと、周囲の地面は溶けたかのように焼けて土と金属が剥き出しになっており、瓦礫のほとんどが蒸発。ビル街はドミノ倒しのように薙ぎ倒されていた。
振り返れば、まっすぐ一つの線を描くようにデメテルの光線が直撃した跡が延々と続いており、目測で15キロ先まで破壊光線が届いているのが分かった。先ほどカドックと隠れたビルは、高速道路ごと崩落しており、光線に沿ってビルが崩壊し焼け落ちた跡が黒煙とともにまっすぐ伸びていた。

さらに、遠く市街地を抜けた先の空に浮かんでいた岩や何らかの機械機構すら、二つに綺麗に割れている。雲やオーロラまでもがその跡をくっきりと線として残していた。

がくりとしたマシュを慌てて立香が支える。


「大丈夫!?」

「は、い、なんとか…しかし、これはあと二発しか防げないかと思います…!」


二発防げるだけでも大したものだ。
それよりも、唯斗はすぐにオジマンディアスの姿を探した。溶け落ちた瓦礫の山の中、ふらりとする白いマントを目に留める。


「オジマンディアスっ!!」


すぐ駆け寄ってオジマンディアスを支えようとしたとき、その左手が肩ごとなくなっていることに気づいた。マントも破れ、鮮血で染まっている。


「ッ…!」

「かはッ…!フッ、っ、案ずるな、唯斗…」

「な、にを…」


右手の杖に体を預けている様子は、もう保つような状態ではない。情けない声が出てしまったからか、オジマンディアスは苦笑して、脂汗をかきながら唯斗を見つめた。


「最後の…っ、一撃くらいは…残してやろう…!」

「その霊基で、」

「貴様一人を守れずして何がファラオか…ッ!見ていろマスター、我がエジプトが…ギリシアに劣る、道理なし…!!」


オジマンディアスはすべての霊基の魔力を宝具展開に使用する。状況の悪さを理解しているからこそ、オジマンディアスは、唯斗を守るために宝具を展開しようとしていた。
デメテルを落とすためではなく、それができる相手でもないと理解しているからだ。


「我が名は新王国第19王朝がファラオ、神王オジマンディアス!!今も生きるヘレネスの民とその神よ!汝らの1万年の停滞、ここに終わりが始まると知れ!!」


その言葉とともに、デメテルの頭上に巨大なピラミッドが逆さまになって出現する。デメテルの直下からも、地面を突き破って黄金のピラミッドが現れた。
それを阻止するかのように、デメテルは再度光を放とうとする。凝縮されるエネルギーは、あちらの方が速い。


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